辺野古・大浦湾の埋立て工事着工に対する緊急要請書


2017年4月27日

内閣総理大臣 安倍 晋三殿
環境大臣 山本 公一殿
防衛大臣 稲田 朋美殿
沖縄・北方担当大臣 鶴保 庸介殿
沖縄防衛局長 中嶋 浩一郎殿

(公財)世界自然保護基金ジャパン
会長 德川 恒孝

沖縄防衛局は4月25日(火)に、辺野古・大浦湾の普天間空港移設に係る埋め立て工事に着工した。WWFジャパンは、この埋め立て工事開始を受け、その沿岸海域の環境の重要性を鑑み、直ちに工事の中止と計画の見直しを要請する。

南西諸島の島々及び沿岸海域は、世界的にも貴重且つ多様性に富む生態系を有しており、WWFジャパン設立当時より、その保全活動に取り組んできた。その中でも、沖縄本島北部沿岸の辺野古沿岸や大浦湾は、アオサンゴ群集の世界の北限に位置し、これまでに数多くの新種の甲殻類をはじめ、ジュゴンをはじめとした絶滅危惧にある生物の重要な生息海域であることが、これまでの調査により明らかとなっている。

WWFではこれまで、新基地(普天間代替施設)建設計画に対し、その生態系を損失する行為であり、たびたびの計画の見直しを内閣府、防衛省、環境省など関係機関に要請を重ねてきた。しかしながら、今回の埋め立て工事着工は、それら要請を一蹴し、将来にわたり禍根を残す我が国による蛮行であるといわざるを得ない。

野生生物種やその生息域は、一度損なわれた生物の多様性を再生することが困難であり、不可逆的に取り戻すことのできない日本国の国民の財産であるだけでなく、世界共通の宝である。このため、今回の工事計画とその着工は、国際社会とその未来に対する日本の責任を蔑にする行為である。

WWFジャパンはここに改めて、対象海域の生物多様性保全の観点から、直ちに現在進められている工事を中止するとともに、関係省庁はもとより、地方自治体や住民など、様々な関係者の意見を踏まえ、また包括的な調査の実施とその結果に基づく計画自体の再検証を行うことをここに緊急要請として求める。

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