南極海保護区の設置に関する要望


共同要望書 2015年10月15日

内閣総理大臣 安倍晋三殿
外務大臣 岸田文雄殿
環境大臣 丸川珠代殿
農林水産大臣 森山裕殿
水産庁長官 佐藤一雄殿
農林水産省顧問 飯野健郎殿

私たちは、日本政府にオーストラリア・ホバートで開催される南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)の会合で、ロス海と東部沿岸に南極海保護区を設置することを支持されるよう要望します。

南極海域は、世界の海洋の10%を占め、地球上で最も手つかずの海洋環境が残されています。私たちは手遅れにならないうちに、日本がCCAMLRと共に広範囲に永続的な海洋保護区(MPA)と禁漁海洋保護区のシステムを構築し、重要な南極海の生態系を保護するよう求めます。

乱獲や気候変動の脅威が拡大しており、今こそ南極海が直面する今日の脅威に対し、更なる保護策を講じてください。

CCAMLRは2012年までに南極海に海洋保護地域体系を構築すると表明し、数年にわたりロス海および南極東岸海域の保護区案を検討してきました。

提案国は他の加盟国の意見を受け入れ提議案を大幅に変更してきました。

これ以上の変更は、海洋保護区を事実上無意味なものにし、この素晴らしい生態系を十分に保護することができなくなる恐れがあります。

また、国際的な基準と同様、海洋保護区は恒久的なものでなければならず、保護区に期限を設けるべきではないと考えます。

2010年に名古屋で開催された国連生物多様性条約会合(COP10)では愛知目標を採択し、その個別目標11に「2020年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の17%、また沿岸域及び海域の10%、特に、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域が、効果的、衡平に管理され、かつ生態学的に代表的な良く連結された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全」するとしています。

海洋に依存する国家として、私たちはとりわけ海洋や魚類その他の多くの海洋生物種を適切な管理で守り健全な状態で次世代に残すため予防原則に基づく措置に取り組むべきです。

愛知目標を採択した議長国であり、またCCAMLRの加盟国である日本は、CCAMLRをリードし、10月に海洋保護区の設置が実現するよう、環境保護への強いコミットメントを示す時ではないでしょうか。

日本が賢明な選択をし、未来の世代のために南極海の保護に力を尽くすことを切に望むものです。

賛同団体(団体名五十音順)

  • イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
  • 国際環境NGO FoE Japan
  • 特定非営利活動法人 気候ネットワーク
  • 国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
  • 国連生物多様性の10年市民ネットワーク
  • コーラルネットワーク
  • WWFジャパン
  • 公益財団法人 日本野鳥の会
  • バードライフ・インターナショナル
  • ペンギン会議
  • 認定NPO法人 野生生物保全論研究会(JWCS)

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