ゆらてぃく南の島エコ体験飯舘~白保こども交流会


2012年3月27日~4月1日、東日本大震災の直後に、WWFジャパンが支援をさせていただいた「NPO法人エコロジー・アーキスケープ」の仲立ちで、放射能の影響により外で思いっきり遊ぶことも出来ずにいた福島県飯舘村の子どもたちを、沖縄の石垣島・白保に招待する企画が行なわれました。白保の地元から、被災地の子たちに、島の自然を体験してもらいたい、という声が上がったことをきっかけに、実現した、エコツアーのモデル企画です。

福島県飯館村から沖縄・石垣島へ!

2012年3月27日~4月1日の5泊6日で、福島県飯舘村の子どもたち11名が、沖縄県石垣島の白保でエコ体験を行ないました。

東日本大震災の直後に、WWFジャパンが被災地緊急支援募金を通じて支援をさせていただいた「NPO法人エコロジー・アーキスケープ」の仲立ちで、放射能の影響により外で思いっきり遊ぶことも出来ずにいた福島県飯舘村の子どもたちを白保に招待する、という企画です。

この企画はまた、WWFサンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」が現在展開している、白保集落が主体となった「持続可能なサンゴ礁保全の仕組み」の確立に向けて支援を行なっている、エコツーリズムの取り組みでもあります。

今回は地元の白保で、東日本大震災の被災地の子どもたちに、白保の自然を体験してもらいたい、という声が上がったことをきっかけに、このエコツアーのモデルツアーとして、実現したものです。

実施にあたっては、白保在住の10名の方による「検討チーム」が中心となり、事前に何度も打ち合わせを行ない、プログラムを検討しました。また、受入は、多くの地域の住民の皆さんのご協力により実現。期間中は大半が好天に恵まれ、全てのプログラムを予定通り実施することができました。

飯館の子たちが、何の心配もなく外で遊べる日が1日でも早く来てほしいものです。
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子ども達が作った横断幕でお出迎え

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詳細報告

1日目:ようこそ!石垣島へ!

今回、白保を訪れた飯舘村の子どもたちは、7歳から11歳までの11名。
なんと朝4時に福島に集合し、その後、バスで高速を走り飛行機に乗って移動すること9時間半! ようやっと石垣空港に到着しました。

空港では、ホームステイ先の家族や白保の子どもが、自作の横断幕をかかげて、飯舘の皆さんをお出迎え。初めての顔を合わせて、その日の宿へと移動します。

ご飯の用意が出来るまでは自由時間だったのですが、長時間の移動もなんのその。白保の海岸を皆で散歩したり、ヤギに草をあげたり、民宿の中でも外でも、元気いっぱいに走り回っていました。

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この頃の福島の日の入りは18時前。石垣島は19時前で、1時間の差があります。
福島ならもう暗くなる時間なのに、石垣ではまた明るいのがなんだか不思議で得した気分だったようで、「まだ明るい~」と言いながら子どもたちは遊んでいました。

ちなみに、前日の気温は、福島は最高気温7.7度だったのに対して、石垣は22.5度と15度近い気温差でした。夕飯では、ホームステイ先の家族も加わって、石垣牛のカレーを食べつつ、自己紹介をして、1日目は終了しました。

2日目:島を満喫!充実の1日

この日は、春休みを返上して、白保小学校の1年生から5年生までの児童80名が、飯舘の子どもたちと交流するために集まってくれました。

はじまりの会では、予想以上の歓迎ぶりに、ちょっと緊張した面持ちの飯舘の子どもたちでしたが、運動場でキックベースボールやしっぽ取りゲームを一緒に楽しむうちに、打ち解け、お昼を迎えるころにはすっかり仲良くなっていました。

終わりの会では、多くの子どもたちが新しい友達ができたことを喜ぶ感想を発表してくれました。

また、白保の子どもたちからは、ジュズダマで作ったストラップのプレゼントがありました。お昼は白保小PTAの皆さんが用意してくれました。

昼食の目玉は、何といってもマグロの解体ショー!沖縄近海でもマグロが獲れるのです。おいしい刺身に、ジューシーおにぎりや八重山そばなど、たくさん食べました。

午後は、島内観光へ。日本百景のひとつ川平湾を始め、玉取崎展望台やバンナ展望台で青い海や島の景色を眺めました。

この日は、石垣市長も表敬訪問。その後は、夕日が見える展望台にも行きましたが、子どもたちはひたすら遊び、どこでも元気いっぱい。
夕食後には、国立石垣島天文台で星空観察を行ない、夜遅くまで石垣島を満喫。この晩は、白保の7軒の家庭に分かれてみんなでホームステイをしました。

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3日目:南の島の自然の中で

初めてのホームステイを終えた子どもたちは、翌朝、「しらほサンゴ村」に集合。午前中は轟川のカヌー体験と乗馬体験の2本立てです。

まず前半は女の子チームがカヌー体験、男の子チームが乗馬体験をします。
カヌーでは、パドルの扱い方の説明をしっかり聞いて、いよいよ出発! 子ども1~2名とスタッフが一緒にカヌーを漕ぎますが、中には子どもたちだけで頑張って漕いでいるチームもありました。

最初は水ではなく空をかいていたパドルも、徐々に水をかけるようになりゆっくり奥へと進みます。

一方の乗馬体験は、2頭の馬に乗って浜辺を散歩しました。
鞍にまたがると、思ったよりも視線が高く、ゆったりとした振動に若干緊張しながらも楽しんでいたようです。

手綱をひいてくれたのは、白保の高校生(こどもクラブOB)と大学生の二人でした。

女の子チームのカヌーが戻ると、交代!
男の子チームのカヌー体験では、自分たちだけで漕ぎ出したものの、前と後ろでパドルさばきが合わずに、右の川辺から左の川辺へと行ったりきたりして全く進めない組もあり、見学していたお母さんたちの笑いを誘っていました。

飯舘の子はもちろんですが、白保の子どももカヌーや乗馬など体験する機会は、普段ほとんどないので、とても喜んでいました。
またこのカヌー体験、乗馬体験の様子はNHKでも放送されたそうです。

お昼ごはんを食べた後は、カーブヤーというひし形の凧作りをしました。作り方自体は簡単なのですが、初めて凧作りをする子どもたちは、凧がとばないと大変なので、ひとつひとつ確認しながら作業を進めていました。

自分の好きな色のカラーテープで凧の足をつけると、早速浜辺で凧あげ大会開始!
東風が強く吹いていたこともあり、どの凧もよく上がりました。講師で来てくれていた凧愛好会の方が、凧糸を上下するおもしろいしかけも披露してくれて、楽しい凧あげ大会でした。

この後、明日のシュノーケルのための器材の説明とフィッティング(試着)を行なって、その後は自由行動。
男の子たちは白保の子どもとサッカーをしに、女の子たちは見学やおしゃべりに行くなど、かなり打ち解けてきた様子でした。

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4日目:サンゴ礁の海へ

この日はいよいよ、白保の海でのシュノーケル。初めてのサンゴ礁の海を体験です。
初めてのウェットスーツを何とか着こんだ飯館の子どもたちは、地元の子らと一緒になって、チームごとに浜辺で練習を行ないました。

陸上では半袖で十分な気温でしたが、海水は冷たい! 若干冷たさに震えながら練習をし、船に乗ってシュノーケル・ポイントへ向かいます。

最初は足がつかない水深で浮き輪につかまっていた子たちも、慣れてくると徐々に手を離していきます。中にはクロールで泳ぎだす子もいました。

海が冷たいことは、とてもよい面ももたらしてくれました。水の透明度が高く、色とりどりの魚やアオサンゴなどのサンゴを観察することができたのです。

お昼を食べてからは、草木染め体験をしました。
白いハンカチに、割り箸やおはじきを輪ゴムでとめ、模様を作っていきます。
青はリュウキュウアイ、黄色はフクギ、茶色はヒルギという風に、植物から染料がとれます。この3色で好きな色・柄に染めていきます。1色の子もいれば、多色使いの子もいて、オリジナルのハンカチに仕上がりました。

子どもたちが草木染めを体験している頃、台所では地元のおばぁたちが、沖縄のお菓子サーターアンダギーを作ってくれました。子どもたちも作る様子を見学したり、揚げたてのアンダギーをもらって頬ばっていました。

この日は、みんなテントでのキャンプ。夕方から白保公民館の裏の空き地にテントを設営しました。地元の「白保こどもクラブ」OBの高校生4名がお手伝いに来てくれました。

日が沈んだ頃、キャンプファイヤーが始まりました。大きな火の女神(?)様が登場し、火をつけてくれました。その後は火を囲んで、踊ったり唄ったりしながら過ごしました。
また、このキャンプ期間中に、お誕生日の子が二人いたので皆でお祝いしました。

花火、また、地元の子らによる獅子舞い「子ども獅子」の披露も。そして、最後には、楽しいような怖いような肝試しです。誰もいない夜の小学校の教室にあるお菓子を取ってくるというものでしたが、ちょっぴり泣いちゃった子もいれば平気な子もいて、かなり盛り上がったようでした。

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5日目そして最終日

5日目は、朝食後、テントを片付け中に雨が降ってきました。雨はすぐにやみましたが、少し肌寒い天気となりました。

この日は、白保小学校の校門部分の石積みが行なわれていたので、地元のおじぃの指導のもと、みんなで石積みを体験。この石もサンゴの石灰岩です。

その後は、それぞれお世話になっていた、白保のホームステイ先の家族と一緒に1日を過ごしました。ちょっと足を伸ばして竹富島へ行ったり、石垣市の中心街でお土産を見たりして過ごしたようです。

今回の期間中、3回あったホームステイの機会も、この夜で最後。
翌日はいよいよ飯館の子たちが、帰る日です。

お別れは、小学校のグラウンドでした。今回のツアーの感想を一人ひとりが述べ、お別れ会をした後、皆で空港へ見送りに行きました。

おばぁがたくさん揚げてくれたサーターアンダギーをお土産に渡し、ハイタッチや握手をして見送りました。

飯舘村の子ども達は、ここからまた長時間の移動となります。飛行機のトラブルで乗り継ぎの出発時刻が1時間以上延びるなどのアクシデントもありましたが、みんな無事にその日のうちに家へと帰れたとのことです。

こうして、5泊6日のゆらてぃく南の島エコ体験・飯舘~白保子ども交流会は終了しました。

期間中のほとんどが天気に恵まれ、何より、多くの白保の皆さんのご協力のおかげで、全てのプログラムを予定通り実施することができました。

石垣島に来た飯舘村の子どもたちのはしゃぎぶりを見て、スタッフは嬉しく思う反面、大きなストレスの下にあった子たちの心を思うと、胸も痛くなりました。
外で遊ぶこと、とりわけ、安全で豊かな自然の中で、自由に動き回ることは、子どもたちの心身、成長にとって、とても大切なことです。

飯館の子たちが、何の心配もなく外で遊べる日が1日でも早く来てほしいものです。

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