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活動トピック

愛知目標の達成のためには「種の保存法」の改正が不可欠である

記者発表資料 2012年2月21日

生物多様性条約に対応する国内法の中で、唯一改正されていない法律

本日、トラフィック イーストアジア ジャパンは種の保存法の改正および関連する国内流通制度の改善を求める要望書を環境省自然環境局野生生物課に提出したが、WWFジャパンとしても、この要望を強く支持する。野生生物取引の調査と監視を専門におこなってきた団体としての説得力のある提言がふんだんに盛り込まれている。

以下、当会としても、種の保存法を抜本改正すべきことを、昨年12月22日に同課に提出した意見をもとに述べる。

我が国は生物多様性条約の加盟国である。この条約に対応する国内法として、政府は、平成18年6月9日の谷博之議員の質問趣意書への答弁の中で、「鳥獣保護法、自然公園法、自然環境保全法、種の保存法」をあげている。これら法律のうち、同条約の目的にかなうよう適宜、改正を経てきたものは、鳥獣保護法、自然公園法及び自然環境保全法である。この3つの法律には、いずれも第1条(目的)において「生物の多様性の確保」の文言が組み入れられている。(この3つの法律も第2条以下の条項で生物多様性をどのように確保するのかが記されておらず不十分であるが、ここでは問題にしない)

しかしながら、「種の保存法」(正式名称:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)については、いまだに実質的な改正を受けずにいる。地方分権一括法などの成立に際して、微細な修正はあったが、1992年の成立以来、抜本的な改正がない。第1条の目的条項の中にも、いまだに「生物多様性」の文言すらない。今年の6月5日になれば、法律の公布日からまる20年が経過してしまう。種の保存法は、1992年当時、生物多様性条約を批准するための必須条件であったことを考えれば、抜本改正がない事態は受け入れがたい。
これは生物多様性条約の加盟国にして、2010年の名古屋のCOP10(第10回締約国会議)から議長国を務める我が国には、ふさわしいあり方とは言えない。去る2月9日に開催された中央環境審議会の平成23年度第1回自然環境・野生生物合同部会において、細野豪志環境大臣が発言したとおり、細野大臣自身が本年10月にインドで開催されるCOP11に至るまで議長の任に当たっている。議長国にふさわしいものとなるよう、種の保存法も可能な限り早期に抜本的に改正し、生物多様性の保全に資する法律と位置づけ、その国際的な責務を果たすべきときを迎えていると考える。

特に、COP10で採択された「愛知目標」のうち目標12に示された「2020年までに、既知の絶滅危惧種の絶滅及び減少が防止され、また特に減少している種に対する保全状況の維持や改善が達成される」への貢献を果たすためには、我が国としては、種の保存法を改正するのが近道のひとつである。生物資源の消費国として、我が国はとりわけ絶滅危惧種の保全に向けた取り組みが求められる。現行法のままでは、COP10はもちろん、1992年以降の国際的議論から立ち後れたままとなる。

当会が考える法改正の要点を一部抜き出せば、以下の通りとなる。これらの論点は、昨年12月22日に環境省自然環境局野生生物課に意見として提出している(「絶滅のおそれのある野生生物の保全施策に関する意見」)。

  • 第1条の目的において、生物多様性の保全に資する法律であることを明記する
  • 環境省のレッドデータブックに記載された種は順次指定を進める(レッドデータブックの3,155種のうち平成23年4月現在、約2.7%にあたる87種が指定されているのみ)
  • 沿岸・海域に生息・生育する野生生物も指定する(87種のリストには含まれていない)
  • 地域個体群も指定できる制度にする(例:四国のツキノワグマは絶滅のおそれのある地域個体群だが、現行法では指定を受けられない)
  • 種の指定において国民の提案権を認める(京都府の希少種条例のように市民の提案権を盛り込む。実際、京都では市民提案が種の指定に結びついている)
  • 多様な主体の参画を種の保存法に明記する(上位法である生物多様性基本法第21条を受けた「多様な主体の連携及び協働」の仕組みを取り入れる)
  • 第36条の「生息地等保護区」の設置を積極的に進める(平成19年10月現在、7種9ヵ所885haにとどまる)
  • 種の指定と同時に回復計画も策定する(米国の絶滅危惧種法Endangered Species Actのように原則として、種の指定時に回復計画を策定する仕組みとする)
  • 国際希少種の国内流通に関してはトラフィック イーストアジア ジャパンの本日付の要望書およびプレスリリースに述べるとおりにする

上の要点が盛り込まれた法改正が実現すれば、我が国は愛知目標の12に加えて、11の「陸域の17%、海域の10%が保護区などにより保全される」、15の「劣化した生態系の少なくとも15%以上を回復させる」などへも同時に貢献することとなり、議長国の責務を果たしうると見る。また、17の「参加型の国家戦略及び行動計画を策定する」は国家戦略レベルの話ではあるが、個別法にもこの精神は反映されるのが好ましい。

当会では、2008年5月29日付のプレスリリースにおいて、生物多様性基本法の成立を歓迎し、附則の第2条に目を向けた。生物多様性基本法はWWFジャパンをはじめとするいくつものNGOが提起して、議員立法により成立した野生生物関連法の上位に位置する重要な法律である。その附則の第2条では、「野生生物の種の保存、森林、里山、農地、湿原、干潟、河川、湖沼等の自然環境の保全及び再生その他の生物の多様性の保全に係る法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」とあり、種の保存法の改正に道を開くものと捉えている。それ以来、種の保存法を点検する会議は開催されるものの、具体的な改正の日程は示されていない。

生物多様性条約の議長国として愛知目標という国際目標に貢献するために、また生物多様性基本法という国内法の定め(附則の第2条)にしたがって、COP11までに抜本改正の目処をつける必要があると強調するものである。

問合せ先:WWFジャパン事務局長付草刈秀紀Tel:03-3769-1772
/広報担当:大倉寿之Tel:03-3769-1714

 

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