WWF、「リオ+20」採択予定の成果文書素案(ゼロドラフト)に懸念を表明
記者発表資料 2012年1月19日
【スイス発】今年6月、ブラジルのリオデジャネイロにおいて、「国連持続可能な開発会議(通称リオ+20)」が開催される。1月10日、リオ+20事務局は、各国政府やその他団体などから提出されたインプットをもとに、会議の基礎となる成果文書素案(ゼロドラフト)を発表した。WWF(世界自然保護基金)はこれに対し、方向性は良いとしたものの、修正が必要な点を指摘するコメントを発表した
公開されたゼロドラフト “The Future We Want「私たちが望む未来」”では、貧困の撲滅、食糧安全保障、持続可能な開発の必要性については認識されている一方で、今後10年間に、世界的な食糧、水、エネルギーの問題を解決する具体的な手法については、ほとんど触れられていないことがわかった。
「この文書では、1992年に開催された地球サミット後の20年間、国際社会が環境と開発に対して効果のある行動をとれなかったことを指摘しておきながら、今後10年さらにその状態を継続し続けることを認めているようなものだ。世界が望んでいるのは、文書で提案されている「自主的なコミットメントの登録制度」ではなく、具体的なで拘束力のある目標だ。」とWWFインターナショナルの自然保護ディレクター、ラッセ・グスタフソンは強く主張する。
WWFは「食糧、エネルギー、水」の問題解決の重要性を訴えた活動を展開している。この会議は地球サミットから20年の節目に開催され、「持続可能な開発の推進」に新たな息吹を吹き込むべき重要な会議のはずである。しかし「最初の段階から、水問題については、単に衛生施設普及へのコミットメントを再確認するだけにとどまっており、淡水の問題は触れられていない。問題解決に必要なのは政治的境界線単位ではなく、生態系単位での水の管理である。淡水生態系の保護と復元、水供給源となる森林の保護、気候変動の影響による水供給への深刻な悪影響への対策をどうするかというコミットメントだ。」とグスタフソンは言う。
WWFは持続可能な海洋資源管理のコミットメントが盛り込まれたことについては歓迎する。しかし、公海保全システムや、減少の一途をたどる漁業資源の実現可能な持続可能性への施策、海洋生物の違法な搾取を防止する点について、コミットメントがないことに対しては問題だと指摘する。
グリーン経済を発展させるためには、政府と産業界のための枠組みが必要であり、低炭素社会への移行、環境に悪影響を及ぼす補助金制度の廃止などを含め、重要な課題が認知されたことについては歓迎する。
その他、WWFが指摘する懸念事項
- 国ごとの「自主的な国ごとのコミットメント」では法的拘束力がない。そのため、各国が目標を設定することや期間内に行動することは困難となることが予想される。各国政府は、目標・実施期間・資金についての合意が必要である。
- グリーン経済の発展に関する文章には、国民経済計算、税制度、認証制度に社会的・環境的コストを計算にいれることが必要である。
- 食糧、水、エネルギー安全保障への取り組みに対する提案では、一定の目標と確固たる実施策、資金提供の合意が必要である。
- 食糧、水、エネルギーの供給を下支えしている生態系サービスと、それらに非常に大きな影響を及ぼす気候変動を文書案は考慮していない。
- 森林消失抑止の目標や、効果的な水管理目標など、提案の多くに明確な目標と期限が記載されていない。
公開されたゼロドラフトは、1月25-27日に予定されている国際会議で議論される。事務局ではセクションⅠとⅡについては1月23日までに、Ⅲ~Ⅴについては2月17日までにコメントを提出するよう加盟国に通達している。
【問い合わせ】 WWFジャパン 町田(広報担当) TEL:03-3769-1714




