WWF、パーム油購入企業のスコアカードを発表 勢いを増す、持続可能なパーム油へ向かう世界的な流れ
記者発表資料 2011年11月22日
【マレーシア、コタキナバル】WWF(世界自然保護基金)は、最新のパーム油購入企業調査を実施、そのスコアカードを発表する。
調査により、欧州、オーストラリア、日本の企業が、これまで以上に多くの認証された持続可能なパーム油の調達を進めていることが明らかになった。しかし、熱帯林を無秩序に伐採するようなアブラヤシ農園の開発圧力を封じ込めるには、さらに踏み込んだ行動が早急に求められる。
このスコアカードはマレーシアのコタキナバルで開催されている第9回「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」の場において発表される。調査対象となったのは、RSPO会員と非会員を含む132社。このうちの87社(約66%)が2015年までかそれよりも早くRSPO認証油の調達を100%とすることを公約しており、今後の認証油市場のさらなる発展を予兆させるものである。
スコアカード 一部抜粋
しかし小売業者のほぼ半数と製造業者の約5分の1は、自らのパーム油調達が環境や社会に及ぼす影響に対する責任を十分に果たしているとは言えず、スコアが非常に低かった。
WWFの「パーム油購入企業スコアカード2011」は、2年前実施した初回のスコアカードの最新版で、主要小売業、消費者製品製造業132社に対して実施された。国際的に認知されたRSPO(*)基準により認証された認証油の調達拡大の公約と、その調達実態を調べたものだ。
調査対象企業の中には、認証パーム油の調達を増やし、結果的に非認証油による森林減少を軽減させるような賞賛に値する進捗を示した企業が多くあることが確認できた。
また、前回調査を実施した2009年と今回2011年の両方の調査対象になったほとんどの企業において一定の進捗が見られ、持続可能なパーム油の調達が徐々にではあるが、主流になりつつあることが示された。
RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)理事会でWWF代表を勤めるWWF英国の上級政策担当のアダム・ハリソンは「スコアカードにある先駆的企業を見れば、ほとんどすべてのパーム油用途で認証油の採用が可能であることが示されたことになる。
いまだ行動を起こさない企業にとって弁解の余地はない。」と述べ、さらに「企業にとって今ほど責任あるパーム油の調達が容易になったことはない。
今回調査対象となった全企業が使用するパーム油のうち、まだ半分しか認証を得ていないことも明らかになった。
このことは製造業者や小売業者の中には、認証油の比率を100%にするという公約を達成できていない、またはまだまったく購入さえしていない企業が含まれていることは明白だ」と、まだ不十分な側面について指摘する。
パーム油調達量の大小にかかわらず、企業はRSPOへの参加と持続可能なパーム油の利用を進めることが必要だ。
また、WWFが2009年に最初のスコアカードを発表して以来、認証パーム油の供給量は劇的に増加し、いまや500万トンに達している(パーム油世界総生産量の10%)が、半数が非認証パーム油として扱われ、認証油として流通していない実情がある。さらに、企業のパーム油使用量の情報が不透明なことが、持続可能なパーム油生産者のさらなる積極的な取り組みを阻害する要因にもなっている。
本スコアカードでは持続可能なパーム油の主要な市場であるヨーロッパ、オーストラリア及び日本に焦点を当てた。しかしながらWWFはそれら以外の国もパーム油の世界市場で重要な役割を担っていると認識している。
例えば世界の消費市場の27%を占める中国とインド、パーム油の大半を生産するインドネシアとマレーシア、またパーム油消費量は多くないが世界的に影響力を持つ多数の企業が本拠地としている米国などがある。
こうした国々が将来より大きな役割を果たすことなしには、持続可能なパーム油はニッチ市場に留まり続け、非認証パーム油の生産が拡大し続け、森林減少を引き起こす伐採が続いていくことになる。
WWFは今回評価対象となった全ての企業に対し、認証油市場拡大のために引き続き改善すること、使用するパーム油量のより透明性の高い情報開示、2015年までに認証油を100%調達するという年次目標の設定、そしてそれぞれの公約を可能な限り早期に達成することを求めていく。
日本の企業に対して
- アブラヤシ農園拡大による熱帯林や地域住民への深刻な影響については、我が国ではいまだ広く認知されておらず、企業による対応も限られていた。この度、本調査においてRSPO会員企業である日本の製造業7社が、進展の度合いの違いはあれ、持続可能なパーム油の利用に前向きであることがわかった。
- しかし今回の調査対象は国内のパーム油に関わる企業の中のごく一部に過ぎず、特に輸入量の約8割を利用する食品系企業や小売業における先駆的な取り組みがいまだ見えないことは非常に残念である。
- 急迫する生産国の森林破壊の現状を考えれば、持続可能な認証パーム油への転換は時間との競争であり、パーム油を使用する我が国の全ての企業に対し早急に調達方針の策定や見直しを強く求めたい。
スコアレポート全文(英語)はこちらから(WWFインターナショナルのサイト:英語)
http://wwf.panda.org/palmoilscorecard/2011
注意:スコアカードの見方
本ランキングは下記の評価基準に従って一律に評点をしたもので、あくまである時点における各企業の取り組みの進展状況を切り取ったものである。したがって、取組のスタート時期、業種や企業規模の違いなどは反映されておらず、優劣の絶対的な評価ではないことに留意願いたい。
スコアカード採点基準
公開されているデータをもとに以下の4つの観点から評価した。(9点満点)
- RSPOの会員かどうか、及び年次報告を提出したか(2点)
- 持続可能なパーム油調達に関する方針。特に遅くとも2015年までRSPO認証油調達100%とする方針の有無(1点)
- 購入/使用するパーム油総量開示の有無(1点)
- 2010-2011年に使用/販売したパーム油総量中のRSPO認証油の比率。利用したサプライチェーン区分は問わない。(5点)
(*)持続可能なパーム油のための円卓会議Roundtable on Sustainable Palm Oil
パーム油に関連する様々なステークホルダー(パーム油生産者、加工業者、消費製品製造者、小売業者、銀行・投資家、環境・社会NGOなど)の参加により、世界基準による持続的可能なパーム油を促進する民間組織。2004年に設立され、会員団体数は700を超す(2011年11月現在)
【問い合わせ】WWFジャパン村田(パーム油担当)町田(広報担当)TEL:03-3769-1714
補足資料
大小を問わず先駆的企業は進むべき道を示す
使用するパーム油量の大小にかかわらず、企業はRSPOと持続可能なパーム油に大きな役割を果たすことができる。ネスレやユニリーバのような非常に大量のパーム油を利用する大企業でも、2社とも9点満点中8点の評価を獲得したように、相応の責任ある行動を示すことができる。
他にはイケア, Royal FrieslandCampina, United Biscuitsのようにそれほど使用量が大規模でなくてもその中で相当量の認証油を使用しており、8点やそれ以上の評価を得た場合もある。
Burton's, Cadbury, Premier and Remiaといった使用量中程度の製造業者やASDA, Carrefour, Morrisons, Sainsbury's, Tescoなどの小売業者も良い評価を獲得している。
また以下のような中小規模のパーム油扱い量の事業者も9点満点のうち8点以上を取っている。
製造業:Allied Bakeries, Brioche Pasquier Cerqueux, Findus, Ginsters, Göteborgs Kex, Harry's, Henkel, H J Heinz, Karl Fazer, Nutrition et Santé, Oriflame Cosmetics, Santa Maria, St Hubert
小売業 :Coop Switzerland, Marks & Spencer, Migros, Royal Ahold and their subsidiary ICA, The Co-operative Group UK, Waitrose
パーム油使用が比較的少量の製造業:Cloetta, Devineau / Bougies La Française, DSM Nutritional Products, Iglo Group, L’Oréal, サラヤ, 磐田化学, The Jordans and Ryvita Company, Warburtons, Yves Rocher
パーム油製品扱いが比較的少量の小売業:Axfood, the Body Shop, the Boots Group
残念な点として、小売業43社のうち17社、製造業89社のうち15社が3点以下であった。これはいまだ多くの企業が、パーム油の調達が森林、生物種、地域社会に及ぼすマイナスの影響に対しわずかしか、あるいは全く責任が取れていないことを意味する。
*パーム油利用規模に応じた詳細な企業パフォーマンス評価については http://bit.ly/vwyuOF を参照
いまだ緩慢すぎる進捗
WWFが2009年に最初のスコアカードを発表して以来、認証パーム油の供給量は劇的に増加し、いまや500万トンに達している(パーム油世界総生産量の10%)。そのことには勇気付けられるが、一方それら認証油の約半量しか認証油として流通していない現実もある。それは2009年の状況がそれほど変わっていないことであり、企業にもっと真剣に責任ある調達を拡大すること、もっと早急に対応することをWWFは再度求めている。
透明性の欠如が進捗を妨げている
最も問題なのは企業のパーム油使用量に関する情報が不透明であることである。それが持続可能なパーム油生産者のさらなる積極的な取り組みに対する主要な阻害要因になっているとWWFは考える。今回の調査において使用したパーム油の全体量、及びその内で持続可能と認証された量に関する情報の求めに対し、多くの企業は使用量の大きな範囲のみを答え、その他の多くの企業から回答は得られなかった。
WWFからの追加的提言
事業者は:
- RSPO会員となり、積極的に活動する
- 遅くとも2015年までに調達するパーム油は100%RSPO認証品とする
- パーム油の使用量に関しより高い透明性を持たせる
- 直ちに認証パーム油を使い始める
- 認証パーム油のサプライチェーン調査に投資する
- 小売業者は自社ブランド製品だけへの責任を超える取り組みを行なう
- RSPO及び認証パーム油に対する認知度を上げる
消費者として:
- 認証パーム油に対する調達目標を公約している会社の商品を選ぶ
(モバイル機器でのアクセスは http://bit.ly/tvMstr) - RSPOロゴマーク商品を探す
- 小売業者に自社ブランド製品だけでなく、全てのパーム油使用商品に認証パーム油が使われているよう求める
- 製品のメーカに対し認証パーム油を使うよう求める
- WWFにコンタクトし他に参加できる活動がないか尋ねる
パーム油は熱帯地域だけに育つ生産性の高いアブラヤシから得られる非常に多用途な植物油。その消費は世界的に増加しており、現在の5000万トンから2050年には7700万トンになると予測される。パーム油生産のための熱帯林減少は野生生物や地域社会に深刻なダメージを与え、加えて人為起源の温室効果ガス排出の主要な原因の一つになっている。




