WWF、宮城県と福島県で海と共に生きる暮らしの復興支援を開始
記者発表資料 2011年10月21日
【東京発】WWFジャパン(公益法人世界自然保護基金ジャパン)は、東日本大震災によって甚大な被害を受けた東北地方の「沿岸域の生態系の回復と、海と共に生きる暮らしの復興」を目的として『暮らしと自然の復興プロジェクト』を展開している。その一環として、甚大な被害を受けた東北地方の水産業復興に寄与するため、宮城県南三陸町(戸倉地区)と福島県相馬市(松川浦)の2地域で支援活動を開始した。
沿岸の生物多様性と水産業への東日本大震災の影響
東 日本大震災の地震と大津波は、沿岸の人々の暮らしと自然環境に大きな打撃を与えた。砂浜など地形の変化や地盤の沈下、砂や泥の移動による海底や海岸の地形 といった環境の変化や、藻場や海岸の生態系の破壊、がれきからの有害化学物質の流出、そして福島第一原子力発電所の事故からの放射性物質の放出など、被害 の様相は多岐にわたる。さらに沿岸の動植物の生息環境におけるこうした被害は、海の生物多様性を産業の基盤としている水産業にも大きな影響を与えており、大震災による自然環境の影響評価と回復に向けた活動支援は、地域水産業の復興にも大きく寄与する。
選定理由と選定方法
本プロジェクトでは、支援地域を選定するにあたって、沿岸域の生物多様性が高いことと水産業が産業基盤となっている地域に着目した。
図に示すように、東日本の太平洋沿岸には、数多くの生物多様性の高い地域(生態系サービスの供給源)がある。この中からいくつかの候補地を絞り、現地を訪問し、漁業者や自治体、市民団体等から、被害状況や復興に向けた課題等について聞き取りを行った。その上で、2011年6月27日に、漁業経済、文化人類、地形、海藻類、底生生物、鳥類、化学物質の専門家との検討会を開催し、各分野からの最新情報や課題を共有した。その情報を踏まえて検討を重ね、前述の2地域を支援することを決定した。
2地域の特徴
2地域は同じ被災地でありながら、被災状況も、自然環境も水産業の実態も異なる。
宮城県南三陸町(戸倉地区)は、①南三陸金華山国定公園②志津川湾が重要湿地500(アマモやアラメなどの海草・海藻類の生育域)③環境省モニタリングサ イト1000(藻場)の調査地④ギンザケ、ワカメ、カキなどの養殖業が中心、という特徴がある。また、戸倉地区管内では、過密養殖を改善し、環境にやさしく持続可能な養殖業の再建を目指している。
福島県相馬市(松川浦)は、①福島県立自然公園②松川浦が重要湿地500(ホソウミニナ、アサ リなどの生息地)③環境省モニタリングサイト1000(シギ・チドリ類、底生生物)の調査地④ノリやアサリ(松川浦)、ホッキやカレイ類(相馬海域)などの産地、という特徴がある。また、市民団体による将来構想会議が進められているが、原発事故の影響により、漁業は自主休業中である。
今後の活動について
生物多様性への影響や、地域社会のニーズ・実情に十分な配慮がないまま復興計画が策定されることを避け、WWFと地域の共同で、自然再生と持続可能な水産業の復興モデルを提案・実行していく。
次のようなステップで活動を展開していく予定である。
ステップ1:情報収集
自然環境および地域経済・社会実態について調査を実施して科学的情報を収集し、震災による変化とその影響を正しく把握していく。その際、得られた知見は関係者に還元し、復興に向けた問題点を共有する。
ステップ2:体制作り支援
ステップ1の知見を各地域や水産業の復興計画と照らし合わせ、各地域の実情とニーズに沿った、自然環境の回復と水産業の復興に必要な課題を整理する。優先して取り組むべき課題については、実行のための体制作りを応援する。
ステップ3:持続可能な水産業の支援
自然環境と水産業に支えられた地域のさらなる復興のためには、環境配慮、持続可能性、安全安心といった時代のニーズに合わせた取り組みが必要である。生産者による持続可能な水産業への取り組みを応援しつつ、流通や販売に関わる企業、消費者、行政へも協力を働きかける。
WWFジャパンでは、順次、専門家と共同で調査や支援活動を開始していき、地域ともに長期的な視野で取り組んでいく。
■問い合わせ■WWFジャパン 水産プロジェクト担当:前川 広報担当:町田 tel:03-3769-1713
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