WWF、温室効果ガスの二国間クレジット制度について懸念を表明
記者発表資料 2010年11月8日
現在、経済産業省や環境省は、日本の低炭素技術・製品の普及を通じた排出削減量を、二国間協定などを通じて日本の削減量として独自に認定する新たな仕組みを構築し、鳩山イニシアティブを具体化するものとして、二国間クレジット制度を推進しています。2010年8月からは、制度実現に向けた実証実験プロジェクトも始まりました。その内容は原子力、石炭火力、鉄鋼、セメント、省エネ製品の普及などとなっています。
また、この二国間クレジット制度が、コペンハーゲン合意などの国際合意で認められたスキームであるとの認識が国内で広まっています。
WWFは、この二国間クレジット制度について、以下の6点について懸念を表明します。
- 二国間クレジット制度は、国際合意の中で認められたものではない。
- 国連の気候変動枠組み条約及び京都議定書における多国間交渉から背を向けるととられる危険性が高く、今の国際交渉への負の影響が大きい。
- ルールが都合よく作られ(追加性の問題)、地球規模での削減にはつながらない恐れがある。
- 国内における削減努力からの逃げ(補完性の問題)になりうる。
- 排出量と資金援助のダブルカウントになり、真の排出削減とならない:
1)先進国の排出削減と途上国の排出削減のダブルカウント
2)先進国の目標達成のためのオフセットを途上国への資金援助としてダブルカウント - 財源はどこか。企業に対する貿易補助金に等しくなり、公平性に欠けないか。
多国間の枠組み合意が遅れている中、合意を待つだけではなく、できることから前へ進めていくため、途上国の緩和行動のあり方や、算定、報告、検証の手法などを実証実験する中で、知見を積み上げ、国連交渉の議論に具体的に貢献していくのが、純粋な意図であるなら望ましいことです。
それならば、実証事業の内容は吟味するべきで、原子力やCCSなど国連ルールで認められていない事業や、確実な排出量算定が困難な消費ベースの算定を目指す事業を、鳩山イニシアティブの名目で二国間クレジット制度の実証事業として進めるべきではありません。
今のところ、政府はこの二国間クレジット制度そのものを国連交渉に提案する意図はないようですが、現段階でこの制度を提案することは慎むべきです。世界に向かって日本が多国間交渉を否定しているととられ、次期枠組み合意を妨げる行動になるためです。あくまでも日本は国連の場における多国間合意を目指す意図を明らかにし、オフセットルールも多国間で交渉していく姿勢を堅持するべきと考えます。
WWFは、環境立国を自認し、二つの環境条約に日本の都市名(京都&名古屋)を有する国の責任として、日本政府に思慮ある行動を求めます。
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■この件に関する問合せ
WWFジャパン・気候変動プログラム
Tel: 03-3769-3509 Fax: 03-3769-1717 Email: climatechange@wwf.or.jp (担当:小西)




