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WWFの活動

環境指標「エコロジカル・フットプリント」の具体的活用に関する要望書

要望書 2010年8月25日

環境大臣 小沢鋭仁 様
農林水産大臣 山田雅彦 様
経済産業大臣 直嶋正行 様

財団法人世界自然保護基金ジャパン 会長 德川恒孝

 

拝啓、時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。日頃、自然・環境の保全にご尽力を下さり、感謝いたします。

さて、このたび、持続可能な社会づくりの指標である、エコロジカル・フットプリント*を使って「日本のエコロジカル・フットプリント報告書2009」をまとめました。ここにその内容をご報告させていただくとともに、エコロジカル・フットプリントをより一層活用し、世界の環境政策をリードしていただくよう、以下のとおり日本政府に対して要望いたします。

世界の持続性を把握する共通指標としてエコロジカル・フットプリントを位置づけ、日本の環境政策に積極的に取り入れるとともに、国際社会に活用を提案し、世界の環境保全に貢献する。具体的には、

  1. 日本の環境基本計画や生物多様性国家戦略の指標として、数値目標の導入を検討する。
  2. 生物多様性条約第10回締約国会議(CBD COP10)の主要議題である、「ポスト2010目標」のなかに、指標のひとつとして「基準年レベルに下げる」などの具体的目標を取り入れることを提案する。

詳細について、下記をご検討いただきたく、よろしくお願いいたします。

敬具

*エコロジカル・フットプリントとは、地球規模で、自然資源と経済活動のバランスを数値化したもの。

 

 

A. 要望事項

1. 日本の環境基本計画および生物多様性国家戦略の指標として、数値目標の具体的な導入を検討する。

将来の環境基本計画見直し、および生物多様性国家戦略策定のときに、エコロジカル・フットプリントを指標とし、具体的な数値目標を取り入れていただきたい。

理由:
現在、環境基本計画では、重点分野ごとに指標群が定められている。その多くは、直接的で因果関係が明確なものであるが、分野間で対立する結果が得られた際の調整には利用しづらいのも確かである。その点、環境への負荷を包括的に調べる指標として、エコロジカル・フットプリントは有効である。
日本政府は、2006年4月7日に閣議決定した第三次環境基本計画の中で、エコロジカル・フットプリント指標を利用して計画の進捗状況を評価することとしており、また、2010年5月に発表された日本版、生物多様性総合評価においてもエコロジカル・フットプリント指標を利用している。現在の活用は参考程度であるため、より具体的な活用策を期待する。

2. CBD COP10の議題のひとつである、ポスト2010目標のひとつに指標として入れる。

具体的には、
ポスト2010目標案目標4「2020年までに政府およびすべての関係者が、限りある自然資源の利用を続けるために、持続可能な計画をたて、実行している。」
を以下のように変更する。
「2020年までに、世界全体のエコロジカルフットプリントが2000年レベルに下がっており、減少傾向にある。」

理由:
「生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という「2010年目標」は達成されずに終わった。この「2010年目標」は、目標が抽象的で、計測しづらかったという反省がある。
CBDでは、2010年目標4.2「生物資源の非持続的な消費、あるいは生物多様性に影響を与える消費の減少」の指標として、エコロジカル・フットプリントの導入をすでに決定している(第8回締約国会議(2006)の決定DecisionVIII/15)。ポスト2010年目標において、目標のなかに具体的なレベルを取り込むことで環境負荷削減の実現可能性が高まる。

 

B. 要望の背景

1.国際生物多様性年に世界が新しい約束をすることが求められている。

国連ミレニアム開発目標に、「2010 年までに生物多様性の損失を大幅に抑える」という目標を設定したにもかかわらず、世界全体の認識は低く、自然劣化はすすんでいる。いままでのやり方ではなく、新しい施策が必要である。そのひとつは、世界がひとつになって、共通の指標を使い、環境に与える負荷を減らす施策を具体的に検討することである。ポスト2010年目標を採択するCBDCOP10の議長国である日本政府は、今後2年間、この議論をリードし、決着させる大きな責任を負っている。

2.日本のエコロジカル・フットプリントの傾向は、具体的で効果的な解決策を示唆している。

今回作成した「日本のエコロジカル・フットプリント報告2009」では、高い生活水準と低エコロジカル・フットプリントの社会が、かつての日本に存在していたことが示唆された。日本政府は、エコロジカル・フットプリントの指標としての具体的導入を国際社会に働きかけると同時に、この低エコロジカル・フットプリント社会の再現の道筋をつけることで、世界の環境政策のトップランナーとなりうる。

3.環境基本法の基本理念を具体化できる。

我が国の環境に関する憲法にあたる「環境基本法」の基本理念には、「人類存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきている」とある。さらに、私たちがめざすのは、「環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら、持続的に発展する」社会である。「経済の成長」ではなく、「持続可能な社会の発展」を実現する方法を国、行政、事業者、市民が一緒に推進しなければならない。
エコロジカル・フットプリントは、この内容を具体的に数値化し、わかりやすく示したものである。環境基本法の基本理念を実現するためにも有効な手段である。

 

エコロジカル・フットプリント・レポート 日本2009

日本語版(オリジナル) / 英語版(Japan Ecological Footprint Report 2009)

 

  • ※2010年9月3日にレポートのP.13の図5をはじめ誤植や誤表記のあった数カ所を訂正いたしました。すでにダウンロードを済ませていらっしゃる皆さまには、大変ご迷惑をおかけいたしました。お詫び申し上げます。改めて最新版をダウンロードの上、ご利用くださいますようお願いいたします。
2010/8/25

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