声明 2010年8月6日
8月4日の新聞報道によると、前原誠司沖縄担当大臣は、3日に東門美津子沖縄市長が示した新たな泡瀬干潟埋立計画である「東部海浜開発事業(スポーツコンベンション拠点の形成)」に対して、その場で、干潟が保全される、また、経済的合理性があるとして埋立の再開を認めたとされています。
しかし、この新たな埋立計画は、わずか10ページだけであり、環境に関する記述も、わずか3分の1ページに過ぎません。前原大臣は、二期工事を中止した結果、干潟の約98パーセントが残ることから、干潟が保全されると錯覚されたのかもしれませんが、一期の堤防工事で囲われた浅海域(海草やサンゴの生育場所)は、干潟と一体となっている自然環境であり、浅海域の埋立と人工島の出現により、残された干潟部分もやがて環境悪化が進むことは、中城湾港新港地区の人工島埋立の例からも明らかです。人工島建設によって砂泥の流動がどのように変化し、干潟部分にどんな影響が出るのか、この重要な問題は過去の環境アセスメントでも触れられていません。また、人工島における植樹や具体性のない野鳥園、生物聖域ゾーンなども言葉の羅列だけであり、環境への配慮と言うわりには無内容です。
新たな埋立計画では、沖縄県の観光入域客数1,000万人(平成28年)構想をもとに、泡瀬地区には415万人が訪れるという予測をしていますが、この右肩上がりの予測は、昨今の景気の動向から見ると、明らかに過大すぎると思われます。
また、スポーツ主体の計画であり県民利用を選択するとのことですが、泡瀬には、すでに沖縄県総合運動公園があり、近隣にもコザ運動公園や隣接する市もそれぞれスポーツ施設を整備しており、これらは連動するどころか競合するのが実情と思われます。
ホテル等の施設の需要についても、たとえば、宿泊は1日当たり247人、商業施設は1日当たり5,403人など、合計で1日当たり8,959人が利用すると計算されますが、これも過大すぎると思われます。また、企業進出数や利用者数、収益、沖縄市の財政負担についても多くの問題を含み、第三者の専門家による検証が不可欠であり、それがなければ、経済的合理性があるとの判定は困難です。
一方、情報公開と住民参加、合意形成のしかたから見ても、大きな問題があります。東門市長が新たな埋立計画を公開したのは7月30日であり、同日、市議会各会派等には説明したものの協議はなされず、また、市民や環境団体、専門家等への説明と意見聴取はなされていません。特に、東門市長は選挙の際に4政党と「経済的合理性がないときは推進しない」旨の協定を結んでおり、まずは4政党と経済的合理性の検討をするべきです。同時に、市民や環境団体、専門家のヒアリングも不可欠です。突然、前原大臣に説明し、その場で認定を受けるというのでは、市民の信頼を得ることはできません。
また、前原大臣は、有識者の指摘について言及したことが報道されており、事前にそのようなヒアリングをしていたのであれば、その有識者の氏名とヒアリング内容を公開し、今後の議論に供するべきです。さらに「コンクリートから人へ」というマニフェストを再度、思い起こすべきでしょう。
なお、泡瀬干潟の埋立事業に関しては、那覇地裁、福岡高裁那覇支部が、経済的合理性がないことを理由に公金支出差し止めを命じた判決が確定しています。それから1年もたたないうちに、「スポーツコンベンション拠点の形成」と看板を書き換え、内容が不十分なままに新たな埋立計画を取り繕い、十分な協議や議論をしないままに、大臣と市長のみで埋立再開を決定してしまうことは、あまりに拙速と言わざるを得ません。これでは、さらに政治不信に陥ると思われます。
以上のことから、突然の泡瀬干潟埋立の再開決定に対して強く抗議するとともに、以下の点を実現するように要請します。
- 東門市長は、新たな泡瀬干潟埋立計画である「東部海浜開発事業(スポーツコンベンション拠点の形成)」に関し、情報を公開し、市民、環境団体、専門家等と議論をつくすこと。あわせて、市議会各会派との協議を行うこと。
- 東門市長は、「スポーツコンベンション拠点の形成」計画に関して、経済および環境、合意形成手法の専門家(第三者)の検証を受けること。
- 前原沖縄担当大臣は、来年度予算に、泡瀬干潟の埋立事業費を計上しないこと。
以上
この件に関する問い合わせ
WWFジャパン 自然保護室 花輪伸一 hanawa@wwf.or.jp
TEL.03-3769-1711、FAX.03-3769-1717
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