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WWFの活動

沖縄・久米島でサンゴの大群集を発見

記者発表資料 2010年5月18日

WWFジャパン「久米島応援プロジェクト」現地調査

【東京発】沖縄島の西約100kmに位置する久米島(沖縄県久米島町)の沿岸(ナンハナリ)において、水深15~35mの海域に広がる大規模なサンゴ群集が確認された。このサンゴ群集は、2009年8月に久米島の漁業者とダイビングインストラクターによって発見され、2010年4月及び5月にWWFジャパン「久米島応援プロジェクト」に参加している研究者らの潜水調査によって確認された。

調査によると、発見されたサンゴ群集は、枝状のミドリイシ属の一種(現時点で種は未確定)が優占する大群集を中心に、数百メートル四方を超える広大な範囲に広がっており、学術的にも貴重なものである。「久米島応援プロジェクト」では、来月にも現地での説明会を開催し、漁業関係者や地元ダイバーと恊働しながらこのサンゴ群集に関する調査を進め、持続的な利用を考慮した保全のあり方を模索する予定。

発見の経緯 「深場」に広がるサンゴの大群集

今回確認されたサンゴ群集は、久米島南東部沿岸の「ナンハナリ」と呼ばれる場所の水深15~35m付近にあり、2009年8月に久米島泊漁港の漁業者(田端敦氏および田端裕二氏)とダイビングインストラクター(COLOR CODE 代表の塩入淳生 氏)とによって漁とダイビングポイント調査の過程で発見された。一方、WWFジャパンが中心となって進めている「久米島応援プロジェクト」では2009年11月から現地調査を開始し、久米島の漁業者への聞き取り調査を行う過程でその情報を入手。2010年4月と5月に、同プロジェクトに参加する研究者らと、発見者らとによる合同潜水調査を行い確認した。

発見の学術的価値

この大群集は、枝状のミドリイシ属の一種(今後、採捕許可を得て標本を採集し、種同定や群集の規模等を調査の予定)が優占する群集を中心に、水深15~35m付近のやや深所に分布する、被度70~80%の高被度群集である。

今回の予備的調査で主要な群集の分布範囲を長さ300m、幅200mまで確認できたが、全体の規模はさらに大きいものと思われる。また、本群集には、枝状ミドリイシ類以外にも多くのサンゴ種が含まれており、周辺海域への幼生の供給源として、生態学的価値も高いと考えられる。

大規模なサンゴ群集としては石垣島白保のアオサンゴ群集(南北約300m、東西約150m)、深所のサンゴ群集としては西表島網取湾のアミトリセンベイサンゴ群集(水深40~50m)が良く知られるが、特に深所にある大規模群集については,その成立過程、維持機構、生態系における役割などについての研究例も少なく、この点からも学術的価値は高い。

今回の大群集の発見は、同様の水深帯(環境)での野外調査の重要性を示している。今回のように、地域の海域に詳しく高い潜水技術を持つ漁業者及びダイバーと、研究者とが密に連携して研究を行うような体制づくりを進めれば、今後、他地域でも同様の発見が期待されるであろう。
沖縄のサンゴ礁は、近年、赤土等の流出やオニヒトデ大発生、白化現象を引き起こす高水温などの影響により、サンゴ被度の低い状態が続いており、全般に健全とはいえない。このような状況下で今回のような高被度群集が形成・維持されていたことは、大変興味深く、同時に希望を抱かせるものといえる。

観光利用と保全のあり方

今回発見されたサンゴ群集は、やや深所にあるものの、レジャーダイビングでも十分楽しめるため、ダイビングポイントとしての利用が考えられる。

しかし、多数のダイバーが頻繁に利用することになった場合、経験の浅いダイバーの接触によるサンゴの破壊等の影響が懸念される。また、久米島周辺の多くのダイビングポイントでは船の係留ブイが設置されていない状況にあり、船のアンカーによる破壊も懸念される。

一方、同海域は地元漁業者にとって重要な海域であり、漁場として利用されているため、係留ブイが漁業の操業に支障をきたすことも十分理解する必要がある。今後の対策としては、

  1. 漁業の邪魔にならないような係留ブイ(中層ブイ)の設置
  2. レジャーダイビングにおける利用ルールの設定
  3. 地元ダイバー/漁業者による定期的な監視(モニタリング)

などを行なって持続的な利用を目指すことが考えられる。

対策の実行にあたっては、漁業者・ダイバー・研究者間での十分な協議が必要であると思われる。「久米島応援プロジェクト」では、6月にも今回のサンゴ群集の発見についての現地説明会を開催し、今後の持続的な利用と保全のあり方について模索する予定である。

 

関連情報

久米島応援プロジェクトについて

 

問合せ先

安村茂樹(WWFジャパン自然保護室) TEL:03-3769-1713  yasumura@wwf.or.jp
藤田喜久(NPO法人 海の自然史研究所・代表理事/琉球大学大学教育センター・非常勤講師)galatheids@yahoo.co.jp
井出裕一(久米島ダイビング安全対策協力会・会長)TEL:098-985-7774

画像の入手について

久米島応援プロジェクトでは、今回発見したサンゴ群集の様子を水中写真家の横井謙典氏に依頼して、写真・動画(ハイビジョンカムHVR-Z1J)の撮影を行いました。入手希望の報道関係者は、安村(yasumura@wwf.or.jp)までご一報下さい。

2010/5/18

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