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COP15:コペンハーゲン合意について

コペンハーゲン合意 全文

コペンハーゲン合意(Copenhagen Accord)の主な内容

  • IPCCのAR4の科学的知見を踏まえ、世界の気温上昇が2℃を下回るべきと認識し、世界の排出量を大幅に削減する必要があることに合意。
  • 適応とリスポンスメジャースはすべての国に対する挑戦。特に後発開発途上国や小島嶼国における適応が急務であること。
  • 先進国(附属書Ⅰ国)は、2020年に全体または個別に、経済全体に対する削減目標を実施することとし、2010年1月31日までに附属書1に記載するべく提出する。京都議定書の批准国は、京都議定書の目標を更に強化する。削減目標の実施状況と途上国に対する資金援助は、COPにより測定・報告・検証(MRV)される。
  • 途上国(非附属書Ⅰ国)は、削減行動を実施することとし、2010年1月31日までに、附属書2に記載するべく提出する。削減行動は、国内のMRVを経て、結果は2年に1回の国別報告書で通報され、国際的な協議や分析も行われる。支援を受ける削減行動については、関連する技術・資金・キャパシティビルディングと合わせてレジストリ(登録簿)に記録し、附属書2のリストに追加記載され、国際的なMRVを受けることとする。
  • 先進国は、2010~12年の間に300億ドルの新規かつ追加的な資金による支援を行い、また2020 年までに、先進国合同で年間1,000 億ドルの資金を目指して、途上国の需要に応えるべく動員することを約束する。
  • COPの下にハイレベルパネルを設立し、このゴールを満たすために、代替的な資金ソースを含む資金源を検討する。
  • REDDplus、適応、キャパビル、技術開発と移転を含む、途上国における緩和に関する政策や活動を支援する、条約の下における資金メカニズムの運営組織として、「コペンハーゲン・グリーン気候基金」を設立する。
  • 2015年までに、条約の究極の目標を含んで、本合意の実施の評価をする。それには、1.5℃の気温上昇に関連するものを含む、科学が示す様々な事柄を参照し、長期目標の強化の検討を含む。

 

解説

コペンハーゲン合意(以降CAと記す)の意味するところ

1. CAの位置づけと「留意する」の意味について

1-1. CAは、正式にはUNFCCC外の文書。

【解説】「採択する(ADOPT)」ではなく、「留意する(TAKE NOTE)」とされたCAは、COP決定として採択されたものではない。したがって正式な位置づけはUNFCCC外の文書となる。次の会議において、CAを交渉文書の下地としていけるかどうかも、未知数である。CAを交渉の下地とすることは、各締約国が賛同すれば可能となるが、まずはその話し合いから必要となることになる。

1-2. 賛同する締約国だけがリストに名を連ねる。

【解説】気候変動枠組条約ではコンセンサス方式であるため、最後にわずか数カ国の反対で採択されなかったCAは、賛同する国だけが、CAの最初のページに名を連ねることで、かろうじて会議の決裂を免れたというところである。しかし、多くの締約国が賛同すれば、それだけCAの政治的価値はあがると考えられる。

 

2. 先進国の削減目標と途上国の削減行動について

2-1. アメリカを含む先進国が、国別に付表に総量目標を書き記すことになった。

【解説】 CAでは、先進国が、国別総量目標を付表に書き込むことになっている。この先進国にはアメリカも含まれる。今までは、各国が自主的に発表した目標に過ぎなかったものが、付表に目標が記載されることによって、国際的な約束へと位置づけられたといえる。しかし、CA自体には法的拘束力はなく、したがって目標達成へ向けた推進力は弱い。
また、最大の欠点は、各国それぞれの自主目標を国際的に約束するボトムアップであるため、科学が必要とする削減幅へ向けた、交渉そのものが行われない形であること。したがってCAをベースとするなら、国連の交渉の場に持ち込み、科学の示す幅とのギャップを埋めなければならない。

2-2. 途上国がはじめて削減行動を国際的に示すことになった。

【解説】コペンハーゲン会議の前に、ブラジル、中国、インドと、相次いで2020年の国内目標を発表していた。自主目標とはいえ、途上国が削減行動を国際的な合意の中に書き込むことに賛同したのは、今までのかたくなな態度を思えば、歴史的な転換ともいえる。ただし、新興国(or中国)は、CAの中に、いずれ法的拘束力を持つ協定となる、という文章が入ることを強く拒んだと伝えられており、今後法的拘束力が確保されるか不透明である。

2-3. 途上国の国内削減努力分も、国際的に報告されることになった。

【解説】今回の争点の一つとして、先進国(特にアメリカ)がこだわったのが、途上国における国内削減努力を国際的に算定、報告、検証させることであった。そもそも主要途上国は、自助努力で削減を進めるべきと考える先進国側は、強く自助努力の透明化を要求したのである。それに対し途上国側は、先進国からの資金と技術援助を受けて行う削減行動分については、国際的な算定、報告、検証に応じながら、自助努力分を国際的に算定、報告、検証されることには強く抵抗してきた。今回のCAでは、国内自助削減分は、途上国内だけで、算定、報告、検証することになったが、2年ごとに国連に提出される国家報告書(排出量の報告書)でもその結果を報告することになり、COPで合意された国際的なコンサルテーションと分析の対象となった。これはアメリカ(及び日本を含む他の先進国)の望むぎりぎりのラインをなんとか確保したといえる。

2-4. 先進国の削減目標と、途上国の削減行動の結果は、COPによって確立される(既存も含む)ガイドラインによって、算定、報告、検証がされる。

【解説】これで、少なくとも先進国、途上国それぞれに統一された算定スタンダードが確立されるので、基準年も目標も使用する目標達成手法もばらばらの各締約国の、削減の野心レベルが比較できる可能性が高い。ボトムアップの目標の積み上げにとどまっている現状で、野心のレベルが比較できることは、今後の目標引き上げの交渉に有効なツールとなるので、2010年に早急に確立していくべき課題である。

 

3. 途上国への資金について
3-1. 新規で追加的な資金を途上国へ提供する。先進国合同で、2010~2012年に300億ドルと、2020年までに毎年1000億ドル動員するというゴールを約束する。

【解説】今まで交渉官レベルでは口の端にも上らなかった資金規模が、首脳レベルの合意ではじめて国際的に言及されたことの意義は大きい。また2010年から2012年に数百億ドル、2020年に1000億ドルという資金の水準は、理想的とは言わないまでも、それなりの意義を認めることができる水準である。しかし、詳細が明らかではないために評価が難しい部分もある。
特に2010年から2012年の資金に関して、資金が真に新規で追加的な資金であるかどうか、単にすでに約束された資金のリサイクルでないかを見極める必要がある。2020年の資金は1000億ドルを動員するという約束であるため、特に気候変動の影響に脆弱な途上国に、必要な公的資金がどの程度カバーされるのか(カーボンマーケットからの資金が大部分であったりしないかなど)、詳細をつめていく必要がある。

3-2. 先進国からの資金援助は、COPによって確立される(既存も含む)ガイドラインによって、算定、報告、検証される(4)

【解説】先進国からの資金援助が算定、報告、検証されることは、途上国が強く望んできたことであり、バリ行動計画に沿った内容である。詳細は未定である。

3-3. ガバナンスについての「ハイレベルパネル」が、COPからのガイダンスとCOPへの説明責任を持って設立され、「コペンハーゲン・グリーン気候ファンド」が、条約の下の運営組織をもった資金メカニズムとして設立される。(9,10)

【解説】COPの下に新たに設立されることは評価できるが(次回開催国のメキシコの資金提案を考慮した?)、ガバナンスを従来の世銀などにまかせたい先進国と、途上国側の意向を対等に扱う新組織を立ち上げたい途上国のギャップはすべてあいまいなままであり、今後にゆだねられている。

 

コペンハーゲン合意:全体評価

そもそも会議最終日3日前に出たCAのドラフトは、もっと強いものであった。
「法的拘束力のある協定を(一つ、あるいは複数)採択すると硬く決意することを確認し、この決定はなるべく早く、遅くともCOP16/CMP6とする。」と入っていたのである。
それがまず数カ国の首脳会談中に落ちてしまった。しかも最終的には数カ国の反対でCOP決定として採択すらされずに、かろうじてCOPが「留意する」という形で決裂を免れた。

結果としてCAは、正式にはUNFCCCの枠外に追いやられ、同意する国だけの政治合意と位置づけられることとなった。COP決定として採択されていれば、今後のUNFCCCの交渉のベースとなっていただろうが、今後どのように扱っていくのか、あいまいなままである。

また当初は、2050年に世界全体で排出量を半減、先進国は80%削減と入っていたが、それも抜け落ちている。

一方、先進国、途上国双方の国別目標、あるいは削減行動が国際的に示され、統一した算定ルールが確立され、途上国の自助努力も一定の透明性を確保し、また資金援助の額と資金の使い方が算定・報告・検証されることを定めているのは評価できる内容であり、コペンハーゲンにおいて、HOSレベルにおいてのみ妥協したとはいえ、合意できた点は評価できると考えられる。

つまりCAは、ほぼすべての締約国が賛同し、UNFCCCの交渉のベースとされ、あいまいなままの上記の点に真に野心的な肉付けをしていくならば、次のメキシコにおけるCOP16において、野心的な協定になりうる文書になっていると言える。と同時にCAは、政治合意に過ぎず、法的拘束力のある協定になる約束もなく、非常に荒い骨組みでしかないので、全く約束が果たされない弱い合意になりうる可能性もあるのである。
すべては今後の締約国の政治的意思にかかっている。

 

今後のプロセスの注目点

1. 1月31日:各国が数値目標を(提出先は国連か?提出先すらあいまいなままで、1月中に締約国と条約事務局が話し合うと思われる)提出する期限である1月31日が一つの試金石。

何カ国が賛同するか?

  • まずは、何カ国が留意するか、会議の最終日に反対したスーダンなどの数カ国を除いて、ほぼすべての締約国が留意したならば、CAの価値は高まることになり、交渉の下地となりうる可能性が高くなるだろう。
  • 1月31日、先進国、主な途上国の双方が、きちっと国別削減目標及び削減行動を書き込んでくるか。それがCAに対する各国の真剣度を測る尺度ともなり、CAの“政治的拘束力”を高めることになる。
  • 個別の注目点は、日本は国内の反対派の声に屈することなく、2020年25%削減目標を後退させずに国際的に約束できるか。またコペンハーゲン会議において、ついに野心のレベルをあげなかったEU(20%から30%へ)とオーストラリア(5~15%から25%へ)が、1月31日に目標を引き上げることができるか。

2. 6月SB(2010年5月31日~6月11日)

  • CAをUNFCCCの交渉の下地とすることが確保されているか。2010年は、6月と12月の通常会議以外に、今のところ中間会合の開催は決まっていない。2010年の最初の会議は、6月となる可能性が高く、ここではじめてCAの位置づけを議論すると思われる。CAをUNFCCCに持ち込み、UNFCCCの交渉プロセスがメインであることを確認することが大切である。また、メキシコにおいて法的拘束力のある協定に合意すべく、議論の方向性を絞ることが望まれる。
  • アメリカが中間選挙(2010年11月)の前に、上院において、法的拘束力のある数値目標が入った、温暖化法案を可決できているかどうか。温暖化法案が上院で可決されれば、アメリカは国際的に次期枠組みにおいて同等の約束を行うことが確実になると思われ、他の締約国に安心感を与え、交渉を前進させることにつながる。

3. 9月/10月ごろ

  • 12月のメキシコにおけるCOP16に向けて、交渉を加速するべく中間会合が開催されることになっているか。

4. 11月/12月 メキシコCOP16

  • 次のホスト国で、重大な役割を果たすメキシコが、2010年の前半から積極的に交渉をまとめようと動いているか。

 

2009年【COP15/CMP5】国連気候変動コペンハーゲン会議

2009/12/21

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