要望書 2009年12月11日
滋賀県近江八幡市 市長 冨士谷英正殿
WWFジャパン 事務局長 樋口隆昌
拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
当財団が貴職に、西の湖の保全をお願いいたしました2009年9月3日と10月22日の要望書に対する、ご回答(近八環第637号 12月4日付け)を拝領いたしました。ありがとうございました。
丘陵地がなく市域のほとんどが農地であること、平成19年から市内各地において候補地を検討されてきたが適地が確保できなかったというご事情は理解できました。しかし、私どもが抱いております予定施設の西の湖への悪影響に関する懸念(2009年10月22日の要望書。付記Bの2「WWFが考える西の湖の保全」)が払拭された訳ではございません。
西の湖が生物多様性豊かなホットスポットであること、その至近距離に予定地があること、さらに予定地が湧水のある軟弱地盤地帯であることは変わらないためでございます。
自然環境や生態系維持及び景観の保全を重視いただくとのこと、ありがとうございます。いただきました貴信の添付「建設予定地の取組経過」に記されている第二次選定には、物理的条件ばかりが列挙されており、現予定地の自然環境への配慮が欠如している理由が理解できました。西の湖への影響が重大であると思われることは過去2回の要望に記しましたが、予定地の水田への影響も考えていただきたいと存じます。
水田は自然生態系の宝庫であり、昆虫、魚類、両生類などが多く見られる場所です。ことに湖や内湖に近い水田が固有種のビワコオオナマズやニゴロブナの大事な産卵場であることが明らかになってきております。予定地が固有種の産卵場とは断定できませんが、重要な場所にあると思われます。
7ヘクタールもの水田が消えることの損失は重大です。当法人の立場をご理解いただきありがとうございます。私どもの持つ知識や情報をもとに支援をとのご要望ですので、次の2件をアドバイスさせていただきたいと存じます。
- 西の湖は、日本政府と地元(近江八幡市と安土町)が世界に対して保全を約束した場所であることを再確認ください。環境省の方針では地元の合意なしに、登録が進められることはありません。今後、保全を進める上で、様々な方策をとられることを期待しております。
- 事業アセスメントに入る前に、生物多様性基本法の理念に基づいて、戦略アセスメントあるいは計画アセスメントを実施されることをお薦めいたします。戦略アセスメントに従い、事業実施に入る前に、一般国民や専門家、環境保全機関などの関与を得て、現状(現在の施設や処理方法など)を精査し、改善の余地があるかないかを検討すると共に、今一度、いくつかの候補地を上げ、環境や社会面を考慮し、選択作業を進めることになります。10月22日の要望に記しましたように、生物多様性基本法が求めるもので、総合的に環境への配慮が十分になされます。
2に関して、私どもでは、戦略アセスメントが実施されず、事業アセスメントの結果のみを基に事業が実施された場合は、ラムサール事務局に「モントルーレコード」への記載を求めることになります。事業アセスメントでは不十分と考えておりますし、その不十分なアセスメントでリスクがないと結論が出ましても、安心できません。また、リスクを知りながら、行動を起こさないのは、条約事務局の国際パートナー機関としての責務を放棄することになるためでございます。戦略アセスメント実施についてご高配をお願いいたします。
蛇足ではございますが、私どもは廃棄物の処理施設整備に反対している訳ではございません。あくまでも、生物多様性保全の観点から、西の湖の重要性と予定地の位置、施設の持つリスクの西の湖への悪影響を懸念しております。ご理解いただきますようお願い申し上げます。
敬具
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WWFジャパン 自然保護室(小森/岡安) 03-3769-1713
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