記者発表資料 2009年12月21日
【東京発】WWFジャパン(財団法人世界自然保護基金ジャパン)は、この度、日本の海洋保護区の設定状況を評価したレポートを発表した。何らかの法的根拠によって保護されている面積はわずかに3.7%にとどまった。漁業者や地域住民による自主的な保全管理を行っている場所や、海洋保護区の定義が明瞭でなかったり、まとまったデータが存在しないため、保護区として集計することが不可能な場所も存在した。既存の保護区の管理手法の見直しを含め、これらの区域をどのように整理し、海洋保護区として位置づけるかが今後必要である。
海洋保護区は、危機的状況にあるといわれる水産資源を持続的に利用していくための有効な手段の一つといわれている。地球規模で見ると、陸上の表面積の12%が保護区となっている一方、海洋で保護区となっているのは1%にも満たない。世界最大の環境国際条約である生物多様性条約の第8回締約国会議(2006年)において、2012年までに海洋沿岸の少なくとも10%が実効的に保全されるべきとの目標が出され、その目標達成が日本を含む締約国に求められている。来年10月には名古屋で開催される第10回締約国会議では、海洋保護区のあり方が主要議題として討議される。
今回評価した保護区は、法的根拠に基づき、土地の改変に規制があり、かつ生物の捕獲規制が周年にわたってかけられている区域を各種資料より抽出した。今回WWFジャパンが独自に定義したのは、鳥獣保護区特別保護地域(鳥獣保護法)、海中公園地区(自然公園法)、海中特別地区(自然環境保全法)、保護水面(水産資源保護法)の汽水湖を含む海水面である。
各保護区の海水面面積は、鳥獣保護区特別保護地区40,752ha、海中公園地区は3,745ha、海中特別地区は128ha、保護水面は2,747ha、合計47,385haだった。日本の海洋保護区は水深10m以浅の浅海域1,290,068haの3.67%に該当し、国際目標である10%には遠く及ばない。さらに領海面積43万km2、排他的経済水域447万km2を分母とすると、それぞれ0.11%、0.01%となる。日本がどのようにして国際目標を達成するかの議論が必要である。
海洋保護区の国際的に使用されている概念として、文化的遺産など必ずしも生物の保全が主眼に無くても良いこと、管理手法が実効的であれば法的な規制は必須ではないこと、海に近接する陸域も含まれることが明言されている。一方、漁業者や地域住民による自主的な保全管理の事例、海岸や海鳥の繁殖する島など、上記の集計に含まれた保護区以外にも海洋保護区に相当する区域は存在する。しかし、日本では現実には公的または広く指示されている定義がまだない。また、まとまった海洋保護区のデータベースが存在しないことから、天然記念物や漁業禁止区域などは、現段階で保護区として集計することが不可能である。早急なデータベースの構築が求められる。
これらの区域をどのように整理し海洋保護区として位置づけるのか、既存の保護区の管理手法の見直しも含めた対策をWWFジャパンは行政などに働きかけて行く。
レポート
■問い合わせ
WWFジャパン 前川(海洋担当)、町田(広報担当) tel:03-3769-1713
キーワード
保護区, 漁業, 環境行政, 生物多様性条約(CBD)
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