デンマークのコペンハーゲンで開かれている、気候変動枠組み条約会議「COP15」。12月17日に条約事務局が内密に実施した分析結果によると、現在までに、先進国と一部の新興国から提示されている排出削減目標を全て足し合わせてみても、温暖化による深刻な悪影響を回避するには不十分であることが分かりました。厳しい状況の中で、より高い目標の合意と、途上国援助のための仕組み作りが求められています。
2度未満には抑えられない?
温暖化による深刻な影響を回避するためには、世界の気温の上昇を「2度未満」に抑える必要があります。しかし今回、条約事務局が行なった分析によれば、提示されている全ての排出削減目標が達成されたとしても、気温は少なくとも3度以上、上がることが分かりました。 しかもこの分析は、下のような楽観的な前提に基づいて計算されたものです。

先進国の掲げる目標値が最も高い場合を想定している
例えばEUは、2020年までに(1990年比で)「20%の削減目標」を掲げていますが、他の主要排出国が、削減に前向きな姿勢を見せた場合は、この目標を「30%削減」に引き上げるとしています。今回の分析のケースでは、この「30%削減」を前提に計算を行なっています。
途上国の削減も十分な援助が前提
途上国が掲げている目標についても、先進国から十分な資金的・技術的な援助が行なわれ、最も高い数値で、削減が達成されることを前提としています。
例えば、「26%の排出抑制」を掲げるインドネシアは、先進国からの十分な資金援助があればこれを「41%」に引き上げるとしていますが、条約事務局は今回の分析に「41%」という数値を計算に用いています。
厳しい現状の中で求められる合意
しかし、コペンハーゲン会議で目下行なわれている交渉では、先進国・途上国ともに、高い削減目標が選択するのは、非常に厳しい現状です。
もし、高い目標が合意されなければ、気温の上昇は3度を大きく上回ることになり、気候変動による深刻な悪影響が、将来の世代に及ぶことになるでしょう。
これを回避するためには、先進国がより高い、野心的な削減目標を提示し、途上国が化石燃料に頼らない経済成長を実現できるよう、資金や技術を援助する仕組みが欠かせません。また、この資金援助は、従来のODAなどの看板を掛けかえたものではなく、新たに行なう必要があります。
12月16日、日本の小沢鋭仁環境大臣が発表した、鳩山イニシアティブによる2012年まで150億ドル(約1兆7500億円)の途上国支援や、12月17日に、アメリカのクリントン国務長官が提示した、途上国に対する長期の資金援助は、この新たな試みにつながる、大きなきっかけとなるものといえるでしょう。
この動きをさらに大きなものとする一方、各国がより高い排出削減目標を提示できれば、今回のコペンハーゲン会議での合意の可能性は、まだ十分に残されています。
参考資料
先進国の削減目標の抜け穴について
今回の条約事務局による分析は、この資料に示される、さまざまな「抜け穴」がない場合も想定しています。この抜け穴は、先進国が数値目標を設定するに際し、実質的な削減分を減らすために用意しようとしているものです。
2009年【COP15/CMP5】国連気候変動コペンハーゲン会議
キーワード
COP15, コペンハーゲン, 京都議定書, 削減目標, 国連気候変動枠組条約
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