記者発表資料 2009年12月21日
【東京発】2009年12月21日、WWFジャパン「林産物調達チェックリスト(以下、チェックリスト)」記載内容に対し第三者による監査が初めて実施された。企業の扱う木材や紙製品が、森林環境や地域社会に過大な負担をかけていないか確認できるWWFの「チェックリスト」は、企業が自主的に記入し、活用するのみならず、その記入した内容について外部の監査を受け、自社の環境への配慮をより確かなものにすることができる。WWFジャパンは、この仕組みを活用した紙や木材製品が更に増えることを期待する。
企業の扱う紙や木材製品が、森林環境や地域社会に過大な負担をかけていないか確認できるWWFの「チェックリスト」は、企業が自主的に記入し、活用するのみならず、その記入した内容について外部の監査を受け、自社の環境への配慮をより確かなものにすることができる。
WWFジャパンは2008年12月にチェックリストを公表、その後本年7月に監査ルールを策定し、国際的に展開されている認証制度(例:ISO、FSCなど)の認証機関として認定されている機関や、環境報告書等の審査を実施している組織などに監査資格を認めている。今回、監査の第一号の事例となったのは、WWF山笑会会員である三菱製紙株式会社(本社:東京都。以下、三菱製紙)の製品5銘柄。チェックリスト監査の仕組みを活用し、クリアしたことにより、世界で生産・販売されている紙としては初めて、チェックリストとその監査の両方を活用した製品の事例が誕生した。なお、今回のチェックリスト記載内容の監査は、アミタ株式会社(本社:東京都。以下、アミタ)が担当した。
さらに、グリーン購入ネットワーク(GPN)の商品データベース「エコ商品ねっと」に掲載するために必須の記載内容がWWFジャパンのチェックリストの確認事項に近いことに着目し、チェックリストを利用した確認を行う試みも成功した。三菱製紙は同じ製品について、「エコ商品ねっと」の記載内容についても独自にアミタの監査を受けて、これをクリアし、製品の環境への配慮をより確かなものとした。
今回の取り組みについて、三菱製紙の桂徹CSR推進室長(農学博士)は、次のように述べている。
「三菱製紙では、FSC森林認証紙を中心に環境に配慮した紙を販売していますが、認証紙以外の紙が森林環境や地域社会に及ぼしている影響については、客観的な評価ができていませんでした。今回、チェックリストによる評価を行って監査を受けることにより、認証紙以外の製品についてS、A、B、C、D、Eの“Bグレード”であることが確認できました。生物多様性に配慮した企業活動の一つとして、今後、評価グレードの向上に努めたいと思います。」
実際、使用する木材や紙の原料がどこの森林から、どのように伐り出されたのかを確かめ、森林の生物多様性を損ねず、現地の社会にも悪影響を与えないよう、「責任ある購入」を進めてゆくことが、企業にとって今後の大きな課題となることは間違いない。
国際的には、FSC(森林管理協議会)による森林認証制度のような、信頼のあるラベリング制度がすでに存在しているが、これらの従来の認証を取得していない製品の生産についても、今回の三菱製紙のような第三者による確認を得た取り組みが実践されるならば、企業の環境への配慮を実現する選択肢はさらに拡大し、実行が可能となる。
WWFジャパンは、今回の三菱製紙の取り組みを、木材や紙製品を扱う先進的な事例として歓迎すると同時に、同様の取り組みがより多くの紙や木材製品で実施されることを期待している。
参考情報
関連リンク
■三菱製紙株式会社 ニュースリリース
http://www.mpm.co.jp/cnews/cnews_list.php?year=2009
■アミタ株式会社 ニュースリリース
http://www.amita-net.co.jp/
チェックリストセミナーについて
WWFジャパンでは、今事例の紹介、監査を含めたチェックリストの利用方法を普及するため、紙や木材を取り扱う企業、メディア等を対象に、以下のとおりセミナーを開催する予定である。紙や木材を「責任のある」方法で取り扱うことに関心のある組織からの多くの参加を期待している。
(講演内容、講師、申し込み等の詳細は後日WWFジャパンのサイトにて公開)
仮題:「WWFジャパン林産物調達チェックリストの監査スキームについて」
日時:2010年2月26日(金) 13時30分~16時30分(開場13時15分予定)
会場:四谷区民ホール TEL:03-3351-2118 (東京都新宿区内藤町87番地)
WWFジャパン「林産物調達チェックリスト」について
http://www.wwf.or.jp/rpc
WWFジャパン「林産物調達チェックリスト」は、紙や木材製品に使われている木を生産する森林について、環境面、社会面、経済面などにおいて配慮すべき項目とそれぞれの確認方法を示し、「責任ある調達」を促すためにWWFジャパンが開発したツールである。
製品の履歴をさかのぼって原産地の森林の状況について把握する「トレーサビリティ(20点満点)」と、その森林で行なわれている「管理の適切性(80点満点)」を確認し、その結果をS~Eの6段階で評価する。
チェックリストは、伐採許可証の写しや環境アセスメントの結果など、独自に集める証拠をもとに自己記入していく仕組みになっている。
チェックリストの第三者監査について
http://www.wwf.or.jp/rpc/audit
チェックリストでの評価は自己記入や取引先などによる記入に基づいて行なわれるが、記載内容について、以下の第三者監査機関による監査を受けることもできる。
監査ができる機関は、国際的に展開されている認証制度(例:ISO、FSCなど)の認証機関として認証運営団体による第三者監査を受け認定されている機関、及びその機関と契約を結び監査を実施しているパートナー機関、環境報告書・サステナビリティ報告書等の審査を実施している組織、その他環境に関する監査の実績を有する組織としている。
チェックリストの監査は、「WWFジャパン林産物調達チェックリスト 監査マニュアル試案Version 1」に基づいて監査機関が行ない、記載されている内容が、適切な根拠資料に基づいているかを監査することで、チェックリストの評価結果の正確性の保証を行なう。チェックリストでは製品をS~Eのグレードで評価するが、監査はグレードの正確性を保証するためのものなので、グレードに関わらず実施できる。
チェックリストの監査に関心のある組織、監査機関となることを希望する団体はWWFジャパンまで(Tel: 03-3769-1364 WWFジャパン森林グループ)。
WWF山笑会について
http://www.wwfsanshoukai.jp
WWF山笑会は、WWFジャパンと企業・団体とで構成するグループ。世界の森林保全を理念とし、その実現のために適切な森林管理によって生産される資源を原料とした製品の生産・流通・販売・消費を積極的に推進している。更に、それぞれの関係者に対して、調達する資源/製品に関する明確な方針を掲げて、その実施に最大限の努力をするよう働きかける「責任ある紙・木製品の調達」を積極的に進めている。
グリーン購入ネットワーク(GPN)について
http://www.gpn.jp/
グリーン購入ネットワークは、グリーン購入の取り組みを促進するために1996年2月に設立された企業・行政・消費者の緩やかなネットワークである。全国の多種多様な企業や団体が同じ購入者の立場で参加している。
2009年5月に改定したGPNの「印刷・情報用紙」購入ガイドラインでは、古紙パルプ以外のパルプである、「木材等の植物(再・未利用材を除く)」由来のバージンパルプを使用する場合には、以下の5点の確認を必要としている。
- 原料産出地(木材等伐採地)の法律・規則を遵守していること
- 保護価値の高い森林の保存(環境面の持続性)
- 安全性未確認の遺伝子組み換え樹木の調達禁止(環境面の持続性)
- 労働者の健康や安全への配慮(社会面の持続性)
- 重大な社会的な紛争がある地域からの調達禁止(社会面の持続性)
グリーン購入ネットワーク(GPN)の商品データベース「エコ商品ねっと」について
http://www.gpn-eco.net/
GPNの「エコ商品ねっと」は、「GPNグリーン購入ガイドライン対応商品」、「エコマーク認定商品」、「グリーン購入法適合商品」など、様々な視点で環境に配慮した商品を一つの表で多角的に比較することできる、環境の総合的な検索サイトで、GPNグリーン購入ガイドラインの掲載条件を満たした製品を登録できる商品データベース。「印刷・情報用紙」購入ガイドラインでは、ここに製品を掲載するためには、古紙パルプ配合率100%の製品であること、または、古紙パルプ配合率100%以外の製品(古紙パルプ以外のパルプ(バージンパルプ)を利用した製品)の場合、紙原材料の合法性・持続可能性の合計5項目について、どのように確認しているかを必ず自己申告しなくてはならないこと、というルールになっている。
【問合せ先】 WWFジャパン 橋本(森林担当)、小森(広報担当) tel:03-3769-1364
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