記者発表資料 2009年10月27日
蓄養クロマグロ製品のDNA分析の結果
WWFジャパン(財団法人世界自然保護基金ジャパン)とWWF地中海プログラムオフィス(拠点;スペイン・マドリッド)は、報告書「ミトコンドリアDNA分析による蓄養クロマグロ製品の店頭表示検証―大西洋クロマグロと太平洋クロマグロの種識別による―」を10月27日に発表した。この報告書は、資源枯渇が深刻な大西洋クロマグロの最大の消費国日本の小売店で販売されている蓄養クロマグロ製品の種の判別を、DNA分析により行った結果をまとめたもので、日本での販売の現状について見直す必要性を訴えるものである。
市場調査は、2008年6月から8月にかけて、一部神奈川県を含む東京都内の大手量販店やデパート、スーパーマーケットなど59店舗を対象に実施した。生鮮食品「クロマグロ」のうち、食品表示のラベルが「クロマグロ」、原産地名が都道府県名や日本国内の水揚げした漁港名などから「国産」と判断される製品、そして「蓄養」あるいは「養殖」の表示のものを60点購入。これらサンプルのDNA分析は、スペイン・ヒロナ(Girona)大学のヴィニャス(Jordi Vinas)博士に委託した。
このような背景から、WWFジャパン、WWF地中海プログラムオフィスは、
- 資源枯渇が深刻な大西洋クロマグロが、世界最大の消費国である日本市場で、透明性のある流通が実現かを検証
- 刺身向け生鮮製品では外見による種の区別が困難な「大西洋クロマグロ」と「太平洋クロマグロ」の2種について、DNA分析を用いた種の識別が有効であるか
の2つを目的に今回蓄養クロマグロ製品の調査を行なった。
分析の結果、DNA分析が可能であった48サンプルのうち、「国産蓄養クロマグロ」と表示されている製品の約2%(1件)が大西洋クロマグロと判別された。つまり、表示と内容物が異なっており、厳格な生産管理が求められているクロマグロの取り扱いが、国内ではいまだ不透明であることが明らかとなった。同時にこれはJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)違反となる。また、今回のDNA分析の検証により、刺身向け生鮮マグロ製品において、大西洋クロマグロと太平洋クロマグロの種の識別に成功したことから、日本市場で販売されるクロマグロがIUU(違法、無報告、無規制な漁業)由来の可能性のある大西洋クロマグロを特定する上で、不透明な流通過程を明らかにできる可能性がでてきた。
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の管理体制のもと、漁獲統計証明制度によって生産から輸入まで記録、確認が義務付けられているにも関わらず、大西洋クロマグロの違法、無報告、無規制な漁業は根絶に至っていない。さらに、今回の検証で「国産蓄養クロマグロ」と表示されている製品に大西洋クロマグロが混入していることが明らかとなったことから、国内の流通小売業は、大西洋クロマグロのトレーサビリティを、より厳格なものに見直す必要がある。

WWFジャパンとWWF地中海プログラムオフィスは、世界で最もクロマグロ消費の多い日本の輸入、流通、小売の各関係者が率先して、IUU地中海クロマグロを速やかに国内市場から排除できるよう、市場に流通している大西洋産クロマグロ全てを対象に、生産から消費まで一貫した、検証可能なトレーサビリティ制度を早急に確立し、日本の消費者が、知らぬうちにIUU漁業による消費の一端を担わないよう、流通関係者の厳格な対応を求める。
また、WWFでは、現状の漁業管理の不備と資源に危機的な状況から見て、国際的な大西洋クロマグロ貿易を一時的に中断する必要性も考慮し、ワシントン条約会議において大西洋クロマグロの附属書載を支援することも含め、大西洋クロマグロの資源保全活動を継続する。
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【問合せ先】 WWFジャパン 山内(水産担当)、町田(広報担当) tel:03-3769-1713




