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WWFの活動

2009年 国連気候変動バンコク会議

2009年9月28日から10月9日まで、タイのバンコクにおいて2009年で4回目となる国連気候変動会議が開催されます。
この会議では、前回8月にドイツのボンで開かれた、国連気候変動会議に引き続いて、2013年以降の国際的な温暖化対策のあり方についての議論が行なわ れる予定です。また、日本にとっては、政権交代で誕生した新政権のもとで、初めて臨む国連気候変動会議となります。

関連情報

2009年10月4日
会議報告

2009年10月9日
国連気候変動バンコク会議終了:
交渉テキストのページ数は減ったが、難題はふえた

2009年11月11日
バンコク会議報告とバルセロナ会議に向けて(PDF形式)
【メディア向け勉強会「スクール・コペンハーゲン」資料】

2009年【COP15/CMP5】国連気候変動コペンハーゲン会議

 

2009年 バンコク会議について

2009年で4回目の国連会議

2009年は、12月までに今回も含めてあと2回の国連会議が開かれることになっています。そして、年末のデンマーク・コペンハーゲンで最後に開催されるCOP15・COP/MOP5において、2013年以降の国際的な枠組みについて最終的な合意がされる予定です。

日本では、9月に鳩山進政権が誕生し、選挙中の公約どおり、2020年に1990年比で25%削減することを、事実上国際公約しました。今まではとかく国 際交渉に後ろ向きであると評価されてきた日本が、野心的な目標を掲げてから、はじめての国連の気候変動に関する国際交渉デビューとあって、注目が高まって います。次期枠組みの合意に達するべきコペンハーゲン会議まであと3ヶ月を切った今、日本のリーダーシップが期待されます。

2つの会合

前回までと同じく、今回の会議も、具体的には2つの会合から構成されています。1つは、国連気候変動枠組条約の下に作られた条約AWGです。条約AWG は、京都議定書を批准していないアメリカや、京都議定書の元で削減義務のない中国などの途上国を含む、2013年以降の将来の枠組み全体を話し合う場で す。

条約AWGでは、前回のボン会議(8月/9月)に議長が用意した「交渉テキスト」を、より整理した文書を中心に議論が再開 します。この文書は、いずれ12月にデンマーク・コペンハーゲンで開催される会 議で採択される予定の合意の元になる文書です。ただし、現時点ではこの文書は、各国の主張の隔たりを列挙した内容であり、まだまだ約200 ページの長大な文書です。

今回の会議では、前回までの「適応」「緩和」「技術の開発と移転」「資金」「共有ビジョン」という5 つのグループに加え、「キャパビル」の6つのグループに分かれて、これらの中の2つのグループずつ、同時並行で交渉テキストの確認と議論が行われる予定で す。年末の合意へ向けて、隔たりの大きい論点をどれくらい整理していくことができるかが重要な課題となります。

もう1つの会合 は、京都議定書の下に作られた議定書AWG(特別作業部会)です。この会合は、日本を含む京都議定書の締約国の、2013年以降の新しい温室効果ガス排出 量削減目標を決定することを最終目的としています。これに関連して、先進国が目標を達成する際に、国家間の排出量取引、共同実施(JI)、クリーン開発メ カニズム(CDM)などの柔軟性メカニズムをどれくらい、どのような形で利用して良いのか、また、それらの仕組みをどのように改善するのかしないのかと いった点や、森林吸収源をどのように活用してもよいのかといった点も議論の対象となっています。

これら2つの会合での議論は重複する部分もありますが、様々な事情から、現時点では形式上、別の会議として議論されています。コペンハーゲンでの合意に至るどこかの段階では、これら2つの会議の成果を融合する作業が必要になります。

期待される日本政府のリーダーシップ

今までの日本は、先進国としての日本は野心的な削減目標を持たないまま、途上国側に強く削減行動を迫る姿勢が強く、交渉の進展を妨げるシーンが多くありま した。しかし、温暖化対策に積極的な鳩山新政権の誕生で、今までよりも、世界の交渉をリードして行く力を持ったといえるでしょう。

ただ、まだ日本政府は、いかにこの目標を達成するのか、また途上国での温暖化対策や適応対策(温暖化の被害に対応するための対策)への資金援助の仕組みについて、具体策を出していません。早急に建設的な提案を示して、議論をリードしていくことが必要です。

今回の会議では、中期目標や資金援助の枠組みについて重要な結論が出るわけではありませんが、これら2つの重要論点において、日本政府が積極的に貢献していくことがのぞまれます。

 

2009年 国連気候変動バンコク会議報告

日本の25%削減目標発表!

タイ・バンコクでの国連気候変動会議(2009年9月28日~10月9日)は、日本の鳩山新政権にとって、初めてとなる温暖化防止のための国際会議です。

2009 年6月にボンで開かれた同じ国連の会議で、当時の自民党の麻生前政権は、日本の中期目標を「2005年比15%削減(1990年比では8%の削減目標。京 都議定書の目標6%から、その後の8年間で2%削減を増やしたのみ)」と発表、国際社会からは失望の声が上がっていました。

その後、誕生した鳩山民主党政権は、選挙中の公約通り、2020年に「1990年比で25%削減する」ことを早々と公表し、9月22日の国連気候変動サミットにおいて、世界に向け、その目標を正式に発表しました。

日本へのまなざしは変わったか

今回のバンコク会議では、この日本の新しい25%目標が、世界(特に途上国)の国々からどのように受け止められるか、そして、迫る12月のコペンハーゲンでの合意までの交渉に、どのような影響を与えるかが、大きな注目点の一つとなりました。

バンコク会議初日の9月28日、AWGKP(京都議定書の下の特別作業部会:京都議定書に参加している先進国の次の目標を決める場)の本会議、途上国の集まりであるG77の各グループに所属する、ほぼすべての途上国は、日本の決断を高く評価しました。

「日本の新政権が発表した「2020年に1990年比で25%削減」を歓迎する。他の先進国は日本を見習って、野心のレベルを上げるべきである」。
同様の発言が、G77全体グループ、小島嶼国グループ、アフリカ・グループ、低開発途上国グループ、インド、ブラジルの各国代表からありました。

日本政府の発表も期待されましたが、時間切れで、午後のコンタクトグループでの会合に移りました。そして、このグループで日本代表は、「新政権の方 針で、 日本は目標を2020年に1990年比で25%に上げた」と発表。しかし、この発表に際しても、代表団は、「これは他の大量排出国のすべてが参加する効果 的な枠組みが前提である」と念を押していました。

変革がもたらしたもの

この、「日本の25%は、他の大量排出国の参加が前提」というフレーズは、日本代表団が発言のたびに、くどいほど幾度も繰り返している主張です。まるで、日本だけが突出して高い目標を持つことを、ひどく恐れているかのようです。
実際、今回のバンコク会議に臨む日本の政府代表団(通常100人規模の外務省、経済産業省、環境省の官僚)は、前政権時とメンバーが基本的に全く代わっていません。

会議3日目、日本の政府代表段は、途上国の激しい質問に対しても強硬な物言いを続けましたが、翌日になると、「日本は25%削減を発表した。それは他の大量排出国の参加を願ってそれを促すものである」と、和らいだ表現に立ち戻りました。
おそらくこちらの方が、新政権の交渉姿勢をあらわすものと考えられます。

いずれにしても、政治のリーダーシップによる変化が、ここでも見受けられました。前政権までの日本政府は、気候変動の国際交渉には非常に後ろ向き で、削減 から逃れるための議論にエネルギーの大半を注いできましたが、今回のバンコク会議では、その代表団も一気におとなしくなったように見受けられました。

むしろ、待っていたのは、世界の温暖化防止をリードする、ヒーローの座。今までのように、「基準年を1990年から2005年に変えるべき」などという主張に声を張り上げる必要もなく、日本を激しく責める発言も、途上国の間からはほとんど聞かれなくなりました。

国際舞台での期待

先進国が野心的な削減目標を持つと同時に、もう一つ大切な課題は、途上国が受けている温暖化被害の「緩和」と、影響への「適応」をサポートする資金の話を進めることです。

鳩山首相は、国連気候変動サミットにおいて、「相当量の新規で追加的な公的、私的資金が必要である」新たな資金メカニズムは「国連の気候変動に関する枠組みの下で」と語りました。これも、今までの日本の交渉姿勢にはなかった新たなリーダーシップです。

そして、日本政府代表団は、一週目の最後の中間報告で、25%の目標と合わせて「日本は資金や技術のサポートについてもリードしていく」と発表しました。
鳩山首相の発表から一週間しかたっていない、このバンコク会議の時点では、実際の資金サポートの提案までは望めませんが、早急な対応が期待されています。

そして、バンコクでの会議は前半の1週間が終わった時点で、日本は「化石賞」(毎日、温暖化防止に後ろ向きな国に贈られる不名誉な賞)を、一つもとっていません。これまで、交渉を妨げる常連国だった国が、一週間の間、この賞を一つもとらなかったのです。

政治主導による交渉のこれから

いずれにせよ、今回の日本の鳩山政権の誕生は、政治のリーダーシップというものが、どれほど、日本の方向性を変える力があり、世界からも正当に評価されるものであるかを明らかに見せ付けるものとなりました。
これまでの日本は、野心のない提案を出しながらも、それが野心的であると言い立て、世界の交渉団から久しく酷評を浴びてきました。それが今、変わろうとしています。

また今回の会議では、世界の温暖化防止に取り組むNGOの間からも、日本のNGOのメンバーが、拍手を浴びて「おめでとう!」と言われ続けています。

交渉は、これからが真の政策提案の場となります。WWFをはじめ、各NGOのメンバーも、政治のリーダーシップの威力を強く感じ、高揚した気分の中で、改めて気を引き締めています。

 

AWGKP報告

2006年から議論が始まった、AWGKP(京都議定書の下の特別作業部会:附属書1国の次期枠組みにおける削減目標を決める場)では、すでに細部にわたった議論が進んでいます。

一番肝心な附属書1国(主に先進国)の削減目標を交渉する、「ナンバー」のコンタクトグループでは、会議初日の9月28日に、日本が鳩山政権に変 わって、 目標を2020年に1990年比で8%から25%へと大幅に引き上げたことが発表され、途上国からも高い評価を受けました。

翌29日には、日本の新目標を入れた、附属書1国全体の目標が、新たに条約事務局から発表されました。
それによると目標は、森林吸収源をいれずに、森林減少からの排出(現行の京都議定書のルールに従って)を入れた計算では、附属書1国全体で16~23% の削減、吸収源を入れた計算では15~22%となります。目標値に幅があるのは、国によって条件付けをしており、目標に幅を持たせているためです。

日本が目標を引き上げたことによる効果は、全体幅のほぼ1%引き上げにつながったようです。結論として、まだまだ科学が温暖化の影響を食い止めるために必要だとしている「25~40%の削減」には、到底届いていません。

途上国グループはこぞって日本を賞賛しながら、他の先進国が続いて野心のレベルを上げることを強く迫っていました。対して先進国は、アメリカのいな い場で 先進国全体の幅を議論することの無意味さを強調。AWGLCAと統合し、議論を進めていくことを強く主張しました。このように、議論は相変わらず同じとこ ろを回り続けており、解決の糸口は見いだせていません。

他方、4日目に開催された同じ削減目標に関するコンタクトグループでは、基準年と約束期間の長さが話し合われました。
前政権までの日本は、2005年を基準とした15%の削減目標を掲げていた(1990年よりも大幅に排出を増加させている日本は、基準年を直近にした方 が削減数値を大きく見せられる)ため、複数の基準年を設置することを主張、1990年を主張する途上国やEUと対立していました。しかし、新政権に移った 日本が、1990年に基準年を変更したことにより、議論の雰囲気は一変。締約国は次々と、1990年を基準年とすることに合意しました。

残るは、2006年を基準年とするカナダのみ。1990年よりも20%近く排出を増加させているカナダは、事実上、京都議定書の目標達成を断念しています。そのため2006年比で20%の削減目標を公表しており、1990年比に合意することに強く反対しています。

 途上国から「計算上2006年比を1990年比に直すことは可能であるのだから、1990年比で附属書に記載することにしてはどうか」という質問に対し、カナダ代表団は「それでは国内の了解が得られない」と苦しい抗弁を行ない、各国から集中的に責められていました。
わずか2カ月前まで、日本も同様の主張を繰り返してきたことを考えると、政治のリーダーシップ一つで、これほどまで一つの国の方向性が変わるものなのかと、感慨を禁じえません。

結局、カナダの反対で、締約国は合意に至ることができず、約束期間の長さとともに次の話し合いに持ち越されました。
その他AWGKPでは、「吸収源」「市場メカニズム」などが引き続きコンタクトグループで議論されています。これらのいずれもが、どのようなルールを採 用するかで、削減目標値を大きく左右することになります。従って、目標値について合意する前に、ルールが決まることが望まれています。

AWGLCA報告

アメリカや途上国を、新しい温暖化防止の枠組みに参加させるための、AWGLCA(気候変動枠組み条約の下の特別作業部会:京都議定書に参加してい ないア メリカ、および、京都議定書の下で削減義務を負っていない途上国の双方を含めた次期枠組みの話し合いの場)。ここでは、議長が今回の会議のために用意した テキストを、締約国全体で吟味して、意見の合うところをまとめ、コペンハーゲンでの合意に向けて、新枠組みの条約のドラフトを作ることをめざしています。

これまでの締約国の提案と、数回の会議における議論をまとめたテキストは、6月のボン会議の時点で、50ページにまとめられましたが、さらにそこへ各締約国が意見の挿入を重ねた結果、再び膨れ上がり、200ページになりました。

各締約国の言い分を羅列したこの200ページのテキストは、今回のバンコク会議では、少なくとも、各附属書(Annex)ごとに文書がまとめられ、 議論を 進めやすいテキストとなって登場しました。そして、会議では、各附属書ごとにワーキンググループに分かれ、テキストの統合に取り組むこととなりました。
しかし、このテキストはまだ181ページもあり、これをなんとか半分以下のページ数に縮小できるかどうかが今回の大きな課題となっています。

テキストは「バリ行動計画」で定められた、5つのビルディングブロック(共有ビジョン、緩和、適応、技術移転、資金)に分けられ、そこへ今回は、途上国から要望の多かったキャパシティ・ビルディングが加わりました。
重要な「緩和」の問題に関しては、さらに5つのワーキンググループに、内容が分けられ、1bi(先進国の緩和), 1bii(途上国の緩和), 1biii(森林減少防止), 1biv(セクター別行動), 1bⅵ(対応措置)となっており、それぞれに議長が決められ、議長にテキストを縮小することが期待されました。
このうち、一番重要な共有ビジョンと先進国と途上国の緩和は、LCA全体議長のクタヤール議長が担当しました。それぞれの議長は以下の通りです。

 

Shared Vision: Michael Zamit Cutajar (Chair of LCA)

Mitigation Overall:

  • 1bi and ii): Cutajar first, then Margaret Mukahanana-Sangarwe (Zimbabwe) and Thomas Becker (Denmark) in closed sessions
  • 1biii REDD : Tony La Vina (Philippines)
  • 1biv COOP SECTORAL and SECTOR-SPECIFIC ACTIONs: Farrukh Iqbal Khan (Pakistan)
  • 1bv MARKETS:TBD
  • 1bvi RESPONSE MEASURES: Mamadou Hondia (Burkina Faso) and Mama Konate (Mali)

Finance: Luis Figueiredo, Brazil (Co-chair of LCA)

Technology:Kunihiko Shimada (Japan) and Kishan Kuarsing (Trinidad and Tobago)

Adaptation: William Kojo Agyemang-Bonsu (Ghana) and Thomas Kolly (Switzerland)

CapacityBuilding: Fatou Ndye gaye(Gambia) and Georg bosting (Norway)

 

共有ビジョンの議論の進展

まず、共有ビジョンにおいては、議長がテキストを縮小するため、まず、「中期目標に関する緩和の話し合いは、共有ビジョンではなく、1biと1biiの緩和のワーキンググループ(以降WGと記す)に輸出する」ことを提案しました。

しかし、アメリカが、先進国と途上国の緩和を分けて議論することに、強い反対を示しました。緩和全体の共有の議論の場として、「共有ビジョンの中 で、その 話し合いを進めること」を主張していた途上国は、これに当然猛反発し、議論は紛糾しましたが、議長は結局、「中期目標の話は、1biと1biiの緩和に移 すこと」とし、共有ビジョンは、2050年の長期目標や、新枠組みの究極の目標を中心として議論することになりました。

4日目には議長の提案(Non-paper No.5)により、議論を整理できる可能性のあるところ、資金や適応などへ議論を振り分けられるところなど、少しテキストが整理されてきました。

レビューのオプションは3つに分かれており、小島嶼国が提案するオプション1(5年ごとの科学的レビューと政策実施レビュー)、オプション2(2度 未満を 究極目標とし、それを10年ごとに0.2度目標と分配して、評価していく)、日本が提案するオプション3(約束期間の5年前に科学に沿ったレビューを行な い、先進国の目標の見直しと、途上国の削減行動の見直しを行なう)を検討しましたが、結論は出ず、先送りとなりました。

 

緩和の1biと1biiの議論の進展

先進国の「緩和」を議論する1biと、途上国の「緩和」を議論する1biiは、今回の気候変動会議のコアを成すものです。
大枠を説明すると、まず1biは、一言で言うならば、アメリカを議論する場。途上国は、25%へ中期目標を挙げた日本を賞賛しながら、アメリカに大幅な 目標を掲げることを迫りました。しかし、アメリカの代表団は、まず先進国の緩和だけを話し合うことを拒否し、先進国、途上国共有の緩和を議論する場を設け ることを要求しました。

上記の共有ビジョンで、その全体の緩和を話し合うことを確保できなかったアメリカは、この緩和の場でそれを求めましたが、他の先進国はその意見には賛成するものの、願いはかなえられませんでした。

途上国の多くは、AWGKPで条約事務局が示した先進国全体の削減幅表を、このAWGLCAでも出すように求め、いまだ明らかにされていないアメリカの削減目標を入れた全体削減表を事務局が出すように要求しました。

確かに、アメリカ国内の下院を通過したワックスマン・マーキー法案、そして10月1日に乗員に提出されたボクサー・ケリー法案には、全米を対象とし た排出 量取引制度提案が含まれており、そこには目標数値が入っています。これらの法案は、まだアメリカの上院を通過していないため、その内容に書かれた数値を公 とすることには、大きな無理がありますが、途上国、そしてEUは、あえてそれの明示を求めたわけです。
果たして、削減幅表が出てくるのかどうかは、会議2週目に持ち越されることになりました。

なお、今回の会議で、アメリカの扱いは、さらに複雑さを露呈してきました。アメリカは、6月に条約事務局に”Implementing Agreement”(協定を実施すること)と題した、新議定書案を提出しています。アメリカによれば、「これは議定書と同じ効力を持つ協定案」というこ とになっています。

しかし、その中には、国際交渉によって目標数値を決めるというよりも、”In accordance with domestic law”(国内法と一致する形において)と示されているように、アメリカの国内法で定められたことを、国際条約に持ち込むとしか解釈できない部分がありま す。つまり、アメリカの中期目標は、国内法が決まってからしか、国際条約で約束できない、ということを意味しているのです。

それを意識してかどうか、アメリカ代表団は、今回MRV提案を強く推している。MRVとは、”measurable, reportable, and verifiable”の略で、計測、報告、検証可能な排出量測定方法を意味します。つまり、このMRVを国際的に共通の手法にすることによって、新協定 の削減目標を掲げることや、遵守の代わりにしよう、という主張と思われます。

アメリカの国内法は世界でも非常に強い部類に入るから、MRVが国際的に約束されれば、アメリカの遵守を確保できる、ということなのかもしれません。

いずれにしても、即座に中期目標の数値を示すことは、少なくとも今回のバンコク会議では期待できるものではなく、従って、先進国全体の削減目標を図ることも、もちろん望めるものではありません。

この問題は、緩和のコアであるだけでなく、次の枠組みの形にかかわる大きな問題です。コペンハーゲンで新しい議定書になるのか、京都議定書の改定に なるの か。それとも、アメリカの国内法を尊重したやり方にするのか。先進国の緩和1biは、アメリカの国内事情を注視しながら進めていくことになると予想されま す。

さらに、もう一つの注目点として、オーストラリアが6月に提案した議定書の中で展開している「スケジュール方式」があります。これは、各締約国が2050年に向けた道筋を、各約束期間ごとに、削減行動を定義していく、というものです。

この案では、削減行動は、先進国は国全体の総削減目標(QELRC)に、途上国は当該国にとって適切な削減行動(NAMA)に基づいて進められ、全 締約国 は低排出開発戦略を提出することになっています。そして、各約束期間ごとに、削減のベースラインと、削減量の推定を提出するというものです。オーストラリ アはこれを積極的に展開しており、アメリカにも勧められるとしているようです。

その他

技術移転はテキストの統合がうまく進んだようで、一週目の終わりに19ページに縮小することに成功したほか、「適応」についても、縮小が終わり、ODAの追加になるかどうかが議論されている模様です。

すべてについて合意はまだ出来ていませんが、会議一週目の進展としては、合意を物語るテキストが形を整えつつあるといえます。

2009/9/24

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