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WWFの活動

APP社の森林破壊に世界が抗議

インドネシアのスマトラ島ブキ・ティガプル周辺で、製紙企業APP社による大規模な伐採計画が進められようとしています。この行為に対し、森林の保全や、オランウータンの保護を求め

APP社による新たな森林破壊

インドネシア、スマトラ島中部に位置する、ジャンビ州とリアウ州にまたがるブキ・ティガプル一帯では現在、深刻な森林の伐採が懸念されています。世界的な製紙企業アジアパルプアンドペーパー社(APP社)と、その関連会社による、大規模な伐採計画が明らかになったためです。

このブキ・ティガプルはスマトラ島に残された、貴重な低地熱帯林が広がる地域の一つ。絶滅の危機にある、スマトラトラ、スマトラサイなど希少動物の生息地であると同時に、現在インドネシア政府の合意の下、スマトラオランウータンの再導入(野生復帰)計画が進められている森でもあります。

APP社の計画通り、ブキ・ティガプル国立公園に隣接した、2つの伐採許可地域で伐採が行なわれれば、自然林の生態系は打撃を受け、希少な動物もいっそう危機的な状況に曝されることになるでしょう。
また、この問題は日本にも深いかかわりがあります。APP社は日本にも大量の紙製品を輸出しているからです。

世界からの抗議の声が

この問題について、森林の保全や、オランウータンの保護を求める国際的な団体から、これまでに、さまざまな抗議の声が上がっています。その一部をご紹介します。

1: オーストラリア・オランウータン・プロジェクト

2009年6月10日、オランウータン保護に携わる、オーストラリアの団体「オーストラリア・オランウータン・プロジェクト」が、アジアパルプアンドペーパー社(APP社)のウィジャヤ最高経営責任者に、書簡を送りました。

この書簡で同団体は、APP社が、ブキ・ディカプル周辺の、ダレク・フタニ・エサ伐採許可区域内で操業している業者から木材供給を受けること否定していないこと、同伐採許可区域内での伐採予定を否定していないこと、APP社がこの地域での伐採を止め、近絶滅種を守れる立場にありながら、それを拒否しているという懸念を伝え、顧客の声を聞いて、この地域でこれ以上の伐採を支持しない、保護キャンペーンを活発に行なうとの声明をすぐに出すよう求めています。

また、地図に示したブキ・ディカプル地域(黄色枠)で、現在あるいは将来、伐採を行なう意図があるのか、ないのか、返答するよう求めています。

オーストラリアオランウータンプロジェクトが2009年6月10日に、APP社のウィジャヤ最高経営責任者に送った手紙。

 

2: IUCN SSCの書簡

2009年7月3日、IUCN(国際自然保護連合)SSC(Species Survival Commission 種の保存委員会)のサイモン・スチュアート博士は、インドネシア林業大臣とAPP社のウィジャヤ最高責任者に対し、ブキ・ティガプルに現存する生態系の重 要さを伝え、ブキ・ティガプル国立公園に隣接する伐採許可地の保全と、伐採計画の撤回を求める書簡を送りました。

2つの書簡の前半は同じ内容で、生物多様性保全の観点から地域の重要性を説明し、APPが計画する伐採が、2008年9月に4大臣とスマトラ島10州の知事が取り決めた保全計画に反することを指摘しています。

そ して結びの部分で、林業大臣に対しては2008年に承認した通りに、ブキ・ティガプルの生態系全域を網羅すべく、同国立公園をただちに拡大することを、 APP社に対しては、ブキ・ティガプル周辺の森林伐採計画を撤回するよう求め、さらに保護区域外に残る自然林の全利用者に、保護価値の高い森林を敬うこと と、保全することを推奨しています。

IUCN・SSCのサイモン・スチュアート博士がインドネシアのカバン林業大臣およびAPP社テグー・ウィジャヤ最高責任者に送った手紙

伐採が進むスマトラ島。かつて森だった場所が、広く切り開かれている。

森が破壊された跡地では、違法な入植が行なわれることもある。

スマトラオランウータンは、スマトラの熱帯林にのみ生息する大型類人猿で、総個体数は1万頭以下。絶滅寸前の危機にある。

  • 緑線内
    ブキ・ティガプル国立公園
  • 青線内
    保護林
  • 黄線内
    ブキ・ティガプル生態系
  • 薄緑
    自然林(2007年現在)
  • 赤線内
    APP関連の伐採許可地
  • 薄青線
    河川

  • 州境
  • 青点
    オランウータン
  • 黄点
    スマトラトラ
  • 黒点
    スマトラゾウ

【地図】スマトラ島ジャンビ州 ブキ・ディカプル周辺地図。クリックすると拡大されます。

3: IUCN・SSC霊長類専門家グループ

2009年6月16日、IUCN・SSCの霊長類専門家グループを代表し、コンサ ベーションインターナショナルのラッセル・ミッタマイヤー会長が、コバン林業大臣とウィジャヤAPP社最高責任者に書簡を送りました。霊長類専門家グルー プが、ジャンビ州のスマトラオランウータンの生存を脅かす伐採許可地の伐採に反対していることを伝えるためです。

また、ジャンビ州でのス マトラオランウータン保護事業(SOCP)が、インドネシア政府との合意の下で実行されており、再導入が成功しつつあること、また、この森林の改変を認め ることは、政府の2007年~2017年のオランウータン保全戦略と活動計画を覆すことになることを伝えています。
さらに、インドネシア林業省に対しては、スマトラオランウータン保護事業のために、すべての必要な措置を取り、ブキ・ティガプル国立公園を拡大し、この伐採許可地を編入、恒久的な保護下に置くよう要望しています。

IUCN・SSC霊長類専門家グループを代表して、ラッセル・ミッタマイヤー博士が、コバン林業大臣とウィジャヤAPP最高責任者に宛てた書簡

 

4: Eyes on the Forest

2009年7月27日、WWFインドネシアと2つの地元NGO連合体の共同プロジェクトである「Eyes on the Forest」は、APPと火事に関する記者発表資料を発表しました。
この中で、同団体は、2009年の前半の6カ月間にリアウ州で、4,782件の山火事が発生していること、衛星データで確認したこと、データ分析の結果、リアウ州では約4分の1の火災がAPP/SNG社が持つ伐採許可地の中で発生していることを指摘。このことが、現地で起きている火災による煙霧の発生問題と、世界の気候変動問題を悪化させ、新しく指定されたユネスコ生物圏保護区を危機に曝しているほか、ブキ・ディカプルでも火災を引き起こしていると報告しています。

EYES ON THE FORESTが発表したプレスリリース。リアウ州で2009年前半に起きた森林火災の1/4以上がAPP社が伐採許可を持つ土地の中で発生していると報告している。

2009/9/24

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