地球温暖化の影響は地域ごとに異なります。しかし、たくさんの生きものや人々の暮らしが、深刻な被害を受ける可能性があることは世界共通です。地球上の各地では、それぞれの地域で、さまざまな影響が心配されています。
被害は共通、抵抗力には格差
「適応」できない国々の悲鳴
地球温暖化がもたらす異常気象などの災害に対応する、抵抗力をつけることを、「適応」といいます。
今、世界の各地では、さまざまな場所で、温暖化による被害が多発していますが、これに「適応」出来ているかどうかは、その国や地域の事情により、状況が異なっています。
たとえば、経済的に豊かな国の場合、洪水に対応して堤防を作ったり、また強化したり、日照りや日照不足などの異常気象に強い作物を、品種改良して作ったりすることができます。しかし、世界の貧しい国々の多くは、このような資金や技術を持っておらず、そのことが、温暖化による被害をより深刻なものにしています。

(C)WWF-Canon/Anton VORAUER
また、開発などによる影響が少ない、豊かな自然環境が、比較的多く残されているのも、これらの途上国であるケースが少なくありません。温暖化はこれらの自然に直接被害を及ぼすだけでなく、地域の貧困問題をより大きなものにし、森や海などの自然への圧迫や、無計画な開発を後押しするおそれがあります。
もちろん、先進国の国々にも、温暖化によって苦しんでいる人たちは数多くいます。ただし、貧しい途上国での被害の場合、そもそも温暖化の原因となる二酸化炭素などをほとんど出していない、という意味で、人々が二重に苦しい立場に立たされていることを、先進国の国民は忘れるべきではないでしょう。
地球温暖化の目撃者
地球温暖化による影響は、すでに世界各地で現れ始めています。その被害の多くは、温暖化問題にはほとんど責任の無い、貧しい発展途上国の人々を襲っています。WWFは、温暖化に苦しむ人たちの声を、世界の現場からあつめ、世界に向けて発信するプロジェクト「地球温暖化の目撃者」を展開しています。

世界の各地域で懸念されている影響
アフリカ
貧困問題を抱えている国が多く、経済的にも他の地域に比べて地球温暖化に適応する力が弱いため、その影響を最も受けやすい地域の一つです。特に食料や水が得にくくなり、貧困がさらに進む可能性が指摘されています。
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WHOとUNICEFによると、2004年現在で安全な飲み水を得られない人はアフリカ全体で3億3000万人いますが、2020年までにさらに7500万人から2億5000万人が、水を得にくくなるおそれがあります。
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2020年までに、自然の降雨に頼る農作物の収穫量が50%減少すると考えられています。

(C)WWF-Canon/Sandora MBANEFO OBIAGO
アジア
経済が急速に成長している多くの国や地域では、すでに都市化や工業化によって、自然資源や環境に大きな負荷がかかっています。地球温暖化の進行は、その負荷をさらに大きくするおそれがあります。そのため、アジアのほとんどの途上国は、温暖化によってこれからの持続可能な発展が困難になると予想されています。
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人口が集中する沿岸地域では、洪水の被害が増える可能性があります。
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2050年までに、10億人以上の人が生活するための水を得にくくなると予測されています。
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50年以内に中央・南アジアの農作物の生産量は30%減少し、食料を得られない人が増えると考えられています。

(C)WWF-Canon/Michel GUNTER
オーストラリア、ニュージーランド
経済が発展しており、技術もあるため、ある程度は温暖化に適応する力を持っていますが、地域独自の貴重な自然が広く失われる可能性があります。
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オーストラリア南部および東部と、ニュージーランド東部の一部では、旱魃や森林火災が続くために水不足が深刻化し、2030年までに農業や林業の生産量が減少します。
2020年までに、オーストラリアの北東部沿岸にある、世界最大級のサンゴ礁「グレート・バリア・リーフ」などで、生物多様性が広く失われる危険があります。サンゴは水温の上昇に弱く、大きな被害を受ける可能性があります。
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2050年までに一部の沿岸地域で、海面の水位の上昇により暴風雨と洪水の被害が大きくなります。

(C)WWF-Canon/Jurgen FREUND
ヨーロッパ
ほぼすべての地域で気候変動の悪影響が予測されています。経済分野においても大きな課題になるとみられています。
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洪水、海岸の浸食、熱波、森林火災が増加する危険があります。
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氷河が溶けて雪も少なくなるので、冬山の観光客が減り、観光業が悪影響を受けると考えられています。
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多くの生きものが、熱波などに対応できず、減少・絶滅する可能性があります。

(C)WWF-Canon/Michel GUNTER
中央・南アメリカ
すでに一部の国では、生態系の保全や農業におけるリスク管理などを行ない、地球温暖化への適応を目指していますが、技術不足や資金不足が問題となり、うまくいっていません。
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21世紀半ばまでに、アマゾン東部の熱帯雨林が徐々に乾燥した草原に変わっていく可能性があります。
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アマゾン以外の多くの熱帯地域でも乾燥化が進み、生物多様性が失われるおそれがあります。

(C)WWF-Canon/Roger LeGUEN
北アメリカ
地域によって、影響の度合いが大きく変わります。
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西部の山岳地域では氷河が溶けやすくなり、冬は溶けた水による河川の洪水が増える可能性があります。一方、夏は川に流れる水の量が減り、多くの人が水を得にくくなると考えられています。
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熱波が起こる回数が増え、暑さも増すため、特に高齢者が危険にさらされます。
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森林火災が起こる回数が増えて、燃え続ける期間も長くなることが予想されています。

(C)WWF/Fritz POLKING
北極圏
地球温暖化の影響を非常に強く受ける地域の一つです。その影響は、自然環境はもちろんのこと、人々の暮らしにも深刻な影響を及ぼします。
北極圏に住む人たちは、野生生物や自然と密接にかかわりながら生きてきました。しかし、気候の変化によって野生生物の行動パターンや個体数が変わると、昔から続けてきた狩猟による伝統的な生活方法を変えざるを得なくなります。すでにその兆しは見え始めています。
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北極圏では、氷河や海氷の厚さと面積が縮小しています。これは、ホッキョクグマなど、海氷に依存して生きる野生生物を絶滅の危機に追い込む、致命的な問題となります。
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北極圏の沿岸地域では、土地の浸食が進んだりツンドラの永久凍土が溶けたりします。そのため、この地で繁殖する渡り鳥や、ツンドラの植物を食べて生きるカリブーなどは、生息地や食物を失うことになります。また、地盤沈下や湿地の減少などが起き、その上に建つ住居などにも被害が出ます。

(C)WWF-Canon/Anthony B. RATH
南太平洋の小島嶼国
南太平洋の小さな島国は、気候の変化による被害を最も大きく、そして深刻な形で受けると考えられています。その対応は国の将来にかかわる重大な問題です。
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海面の水位が上昇するために浸水の被害が増加。ツバルのように、国土全体が海面下に沈んでしまう危機にある国もあります。
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高潮が頻繁に起こり、沿岸にある建物が被害を受けます。
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海の水温が上昇してサンゴ礁の生態系が失われるため、漁業や観光業が悪影響を受けます。
(出典:IPCC 第四次評価報告書)

(C)WWF-Canon/Son Koon CHNG
日本の温暖化
最近、日本で暑い日が増えたと感じている人も多いのではないでしょうか。気象庁によると、日本の平均気温は1980年代からずっと高くなっており、特に1990年に入ってからは、観測史上の最高記録をぬりかえる年が続いています。
日本でも懸念される気候と環境の変化
2本の平均気温は、過去100年間で、約1度上昇しました。この気温上昇に起因すると考えられる異常気象の増加や、農作物の生育の変化や悪化が、近年多く報告されるようになっています。
年々進む平均気温の上昇は、日本の自然や私たちの生活にも、次のような影響を及ぼす可能性が指摘されています。
考えられる変化と影響
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夏が長く、冬が短くなる
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植物の生育地域の変化に伴い、生きものの生息地域が変わる
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米を育てられる地域が北へ移り、今までは米を生産できていた地域で生産できなくなる
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マラリアや黄熱病など熱帯地域の病気が上陸する
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標高の低いスキー場では雪が不足し観光客が減る
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日本に上陸する台風が強大化する など
(出典:環境省)
さらにこの他にも、すでに影響が指摘されている例として、猛暑による熱中症の増加や、家畜や農作物への被害、また相次ぐ強い台風の襲来や地域的な大雨、洪水などが多発しています。
このまま温暖化が進むと、100年後には最高気温が30度以上になる真夏日が、現在の倍以上に相当する年間100日を越え、1年の3分の1が、夏になってしまう可能性もあるとも予測されています。
地球温暖化が進むと、日本の四季さえ失われてしまいます。
温暖化は、私たちが住む日本にも深刻な影響を与える現象なのです。

(C)WWF Japan
地球温暖化の目撃者
地球温暖化による影響は、すでに世界各地で現れ始めています。その被害の多くは、温暖化問題にはほとんど責任の無い、貧しい発展途上国の人々を襲っています。WWFは、温暖化に苦しむ人たちの声を、世界の現場からあつめ、世界に向けて発信するプロジェクト「地球温暖化の目撃者」を展開しています。

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