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活動トピック

スマトラ島の熱帯林の減少

東南アジアのスマトラ島というと、熱帯の森に覆われた島、というイメージがありますが、残年ながらその森林は急激に失われてきました。島の東部に広がる低地の熱帯林は、今のまま伐採が進んだ場合、近い将来、消滅するとも予想されています。

スマトラの熱帯林雨林の減少

東南アジアのスマトラ島は、面積4,736万ヘクタール。日本の面積の1.25倍にもなる、世界で6番目に大きな島です。かつて島全体を覆っていた熱帯林が、この100年間に急激に失われてきました。

とりわけ、減少が著しいのは、過去25年間で、島の東部に広がる低地の熱帯林は、今のまま伐採が進んだ場合、近い将来に消滅する、と予想されています。

また、同様に沿岸部などに広がる泥炭湿地林も減少しており、スマトラ島には保護された山地の森林を除くと、ほとんどまとまった規模の広さをもつ森は、なくなってしまうと考えられています。

低地の熱帯林が減少してきた大きな理由は、良質の木材を生産するということはもちろんのこと、地形的に山地よりも開発がしやすかった、ということがあります。

これらの森は単に、木材を目的とした伐採のみならず、ヤシ油を採るためのアブラヤシや、紙パルプの原料になるアカシアの植林(プランテーション)への転換や、農牧場を作るために火入れ(焼却)、また鉱山開発など、さまざまな目的で失われてきました。

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日本とインドネシアを含む地域地図

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スマトラ島の地図

スマトラ島の森林の減少 (緑が森林)

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1985年

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1990年

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Photo(C)WWF Japan

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2000年

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2009年

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Photo(C)WWF Japan

スマトラ島における森林の消失

さまざまな木材の需要に応えるための森林伐採。そして、ヤシ油を採るためのアブラヤシや、紙パルプの原料となるアカシアなどの植林(プランテーション)拡大によって、スマトラ島の森林は大きな被害を被っています。
かつて、ほぼ全域が森林に覆われていましたが、1985年までに約40%が、それに続く23年の間に、残った森林の約半分が消失してしまいました。森林消失は加速しており、2008年現在では1,280万ヘクタール(日本の面積の約1/3)にまで減少しています。

この森林破壊を引き起こしてた二つの大きな要因が、紙パルプの生産と、オイルパーム(ヤシ油)産業だったのです。1985年以前までは、この二つの産業は、それほど大きくはありませんでした。しかし、その後90年代に入ってから急激な成長を遂げたことが、深刻な森林破壊を引き起こしました。

紙パルプ産業は大量の木材を必要とし、その多くは現在も自然林の皆伐によって供給されています。この伐採された木材の中には違法伐採によるものも、多く含まれています。

さらに、紙パルプの原料となる成長の早いアカシアのプランテーション拡大も、自然林に大きな影響を及ぼしています。このプランテーションは、アブラヤシのそれと同様、設置のためには広大な土地が必要とされるばかりでなく、その土地を手に入れるために、自然林が皆伐されるケースが非常に多いからです。



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(C)WWF Indonesia

もっとも減少が激しいリアウ州の状況

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1982年から2007年のリアウ州での森林減少
緑:1982年当時の泥炭林
黄緑:1982年当時の泥炭林以外の熱帯林
赤:1982年以後に失われた泥炭林
オレンジ:1982年以後に失われた泥炭林以外の熱帯林

過去25年間に、リアウ州では400万ヘクタールの森林が失われました。1982年に78%だった森林被覆度は、2007年には27%に減少しています。紙パルプとヤシ油産業の拡大が減少の原因です。

森林の消失と野生生物の危機

横行する違法な森林伐採、ヤシ油を採るためのプランテーションの建設、また紙パルプの生産を目的としたアカシアの植林・・・スマトラ島の熱帯雨林では、さまざまな形で森林環境が脅かされています。
数多くの希少な野生生物も、絶滅の危機に追い込まれており、人と野生動物の間で悲劇的な遭遇事故も頻発しています。
この問題を解決するには、野生生物が人の集落に近づくのを食い止めるだけでなく、動物達が安心してくらせる森の環境を保全しなくてはなりません。

スマトラ島の森林保全活動

生物多様性を保全する上で重要なスマトラ島の森林を保全するため、WWFでは、中部のテッソ・ニロ国立公園や南部のブキ・バリサン・セラタン国立公園やその周辺地域を中心に以下のような活動を行っています。

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(C)WWF Indonesia

  1. 生態系に配慮した土地利用計画と、森林の炭素貯蔵能力に対して資金を供給するプロジェクトを策定、実施するため、スマトラ島の自然林、野生生物や生物多様性、環境の価値についての情報を収集・分析しています。
  2. 自然林の減少や分断、泥炭の分解や火災の原因を特定するため、企業やコミュニティによる自然林の利用をモニタリングしています。
  3. 森林減少の原因となるような活動をしないことが重要であることを示し、法的取り締りを強化するため、地域や国内外の利害関係者と協力しています。
  4. 野生生物が生息する森林が失われることで生じる人間との衝突を減らし、さまざまな関係者が最善の管理手法を実践できるよう支援しています。

また、これらに加え、日本国内では、この地域で獲得された木材を原料に、紙製品などを生産・輸出している企業から製品を購入している日本の企業などに、環境や地域社会に配慮した「責任ある木材の調達」を働きかけています。

テッソ・ニロの森林保全

スマトラ島中部に位置するテッソ・ニロ周辺の森は、世界屈指の生物多様性の高さを誇る、WWFが特に力を入れて保全に取り組んできた地域です。 WWFは現在、現地での森林の調査や、この地域で獲得された木材を原料に、紙製品などを生産・輸出している企業のモニター、さらにその企業から製品を購入 している日本の企業などに、環境や地域社会に配慮した「責任ある木材の調達」を働きかけています。

また、スマトラ島リアウ州内では、違法な可能性の高い伐採によると疑われる丸太を載せたトラックやボートを、製材所まで追跡するグループ 「Eyes on the Forest」を編成し、現在その活動を支援しています。「Eyes on the Forest」は、WWFインドネシアと現地の環境NGOが協働して運営し、活動の状況は下の公式ウェブサイトで見ることができます。

ブキ・バリサン・セラタン国立公園の保全

インドネシア・スマトラ島の南端に位置し、「スマトラの熱帯雨林」としてユネスコの世界自然遺産にも指定されている、ブキ・バリサン・セラタン国立 公園。起伏に富んだ山間の熱帯林には、絶滅のおそれの高いスマトラサイ、ゾウ、トラや幻のウサギと言われるほど珍しいスマトラウサギなどの野生生物が生息 し、豊かな森林がもたらす自然の恵みは、周辺に暮らす人々の生活をも支えています。しかし、この国立公園の自然環境は、違法な土地占拠や開発、密猟などの 脅威に依然としてさらされています。WWFでは、現地の国立公園管理局や地域住民と協力し、この森を守る活動を行なっています。

あなたの支援で、できること。たとえば… 森や海を守る WWF会員が1人増えれば、タンザニアで森を再生するための苗木を40本買うことができます。 「あなたの支援でできること」を見る