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WWFの活動

支援プロジェクト報告:ムアンの地域住民による干潟をテーマにした民族劇祭

環境保全の取り組みの主役は、あくまでも地域の人々です。この「黄海エコリージョン支援プロジェクト」では、地域の自治体や学校、そして漁業などに関わる人々と、黄海の大切さ、豊かさについて意識や考え方を共有し、自主的に環境の保全に取り組んでもらうことを目指しています。実際に支援を行なってきたプロジェクトの事例を紹介します。

伝統的な民族劇をきっかけに、地域の人々が保全に参加

【韓国】全羅南道ムアン郡/生態地平研究所 (Eco-Horison Institute)

韓国の全羅南道ムアン郡を含む韓国の西海岸には、韓国の干潟の40%があるといわれています。かつて、河口を埋め立てる計画がありましたが、住民の反対で取りやめになりました。その後、韓国初の湿地保護地域となり、さらに2008年には、湿地の保全をめざすラムサール条約の指定登録地にもなりました。

ラムサール条約に登録された湿地には、生態系の保全と「ワイズユース」を実現することが求められます。ワイズユース(=賢い利用)とは、自然環境を損なわないように配慮しながら、漁業や教育などの場として利用を図ることです。ワイズユースを進めていくには、その地域の住民との協力が欠かせません。

新しくラムサール条約の指定地となったムアン郡で、干潟の保全活動への住民参加に取り組んだのが「Eco-Horison Institute(生態地平研究所)」です。活動のポイントと成果を、Eco-Horison Institute のチャン・チヨンさんと、イ・ソンファさんに聞いてみました。

「地元の海」を舞台に!


--活動の対象となった地域は、どんなところですか?

「産業の中心は漁業と農業で、高齢者の割合が多い地域です。干潟について学ぶワークショップなどを開いても、なかなか参加が得られませんでした。地域の方々にとって、学習会のようなものに出るという行動自体が、ほとんどなじみがなかったのだと思います。それで、やり方を変えなくてはダメだということで、マダングクという韓国の伝統的な野外劇をきっかけにしてみたらどうかと考えたのです」

--マダングクとは?

「韓国人なら誰でも知っているといっていいくらい、文化に深く根ざした芸能です。広い庭で、生演奏とともに演じる野外劇といったところでしょうか。歌や踊りも含まれます。私たちは、ムアン干潟とともに生きてきた生活を描いたマダングクを創作して、地域の人たちに出演者という形で参加してもらったらどうかと考えついたのです。マダングクには、干潟で魚をとる様子や、村祭り、豊漁祈願の様子などを折り込み、干潟の発展や保全を祈る場面も入れました」

--地域の人たちはすんなり参加してくれたのでしょうか?

「女性の方々は特に、地域の伝統芸能に興味を持っていらっしゃったようです。もちろん、最初は、演じるのも恥ずかしがりながら、という感じでしたが、稽古が進むにつれて、干潟そのものにも関心を持つようになってくれました。何より、ふるさとの海、干潟に誇りを持つようになってくださったことが印象的です」

始まった公演


--ラムサール条約の締約国会議でも公演をされていましたね。

「7月に地域のフェスティバルで公演をしたところ、自治体も支援してくれるようになったんです。今年は、3年に一度のラムサール条約締約国会議が、韓国で開催される年にあたっていたこともあり、招待公演という形で、国際会議の場で演じることができました。その様子は、マスコミにも大きく取り上げられ、その後、各地から公演を頼まれるようにもなったんですよ」

--出演者の方々は、公演に仕事に、大忙しですね。

「実は、ラムサール条約の会議の時期もタコ漁の最盛期にあたっていて、本来なら、公演のために漁を休むなど考えられないことなのです。でも、国際的な舞台で、ムアン干潟の誇りを発表できる貴重な機会だからといって、みなさん、参加してくださったのです」

--稽古にも、かなりの時間を割かれたと聞きましたが。

「公演までに22回に及ぶ稽古をしました。3月~10月という農繁期に、稽古や公演をしたわけですから、農業や漁業に携わっておられる方々には大変なことだったと思います。それでも、稽古を通して何度も地域の方々にお会いし、お話しする機会を得られたことが、今回の成果につながったと感じています。時間をかけて、干潟への想い、誇りというものを、住民の皆さんの中に浸透させていくことができたのだと思います」

--今後はどのような展開を期待されていますか?

「今では、地域の方々が自主的に、干潟保全の専門家に話を聞きに行ったり、他の干潟保全グループと訪問しあったりする活動も始まっています。また、ムアン郡の自治体が、干潟保全に取り組む動きもでてきました。干潟保全に必要な地域のネットワークが、着実に育ちつつあると感じています。今後は、そのネットワークを強化することが目標です。活動を広げていくためには、私たちがお手伝いしなくても、地域のみなさんが自主的に公演を行えるようにもしていきたいですね」

イ・ソンファさん(上)とチャン・チヨンさん(下)

2009/9/14

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