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活動トピック

マグロという生物:クロマグロ

「本マグロ」という名でも売られている、マグロの王様。
トロの多いマグロとしても喜ばれ、多くは刺身などで消費されています。

基本情報

和名:クロマグロ
別名:ホンマグロ
英名:bluefin tuna
学名:Thunnus thynnus
地中海・大西洋の亜種:Thunnus thynnus thynnus
太平洋の亜種:Thunnus thynnus orientalis

  • *この2亜種は最近では、別種のマグロと分類されています。

大きさ:体長250センチ、体重300キロ

特徴・用途

体の背側は青黒く、胸びれは短く、目が小さいのが特徴です。マグロ類の中でもっとも大型に成長し、3メートルを超える記録もあります。
一般には「本マグロ」という名でも呼ばれ、身は濃い赤身。トロも多く、マグロの中でも最高級品として取引されます。熱帯や亜熱帯に生息するメバチやキハダより脂(トロ)が多いのは、クロマグロが比較的冷たい海に生息しているためです。

生態

寿命

クロマグロには、大きくわけて太平洋を回遊するもの、大西洋を回遊するものに分けられます。太平洋のクロマグロは10年以上、大西洋では20年以上。特に東大西洋では30年前後まで生きると見られています。

分布

全世界の温帯海域に分布します。西部太平洋ではパラオ・マーシャル群島以西の赤道海域やフィリピンから北海道近海に至る沿岸域に生息。マグロ類では最も高緯度の冷たい海にまで分布し、成魚では水温7~8度の低温の海でも生きられます。

ライフサイクル

太平洋のクロマグロは、幼魚のころ日本沿岸で回遊したあと、北米沿岸にまで回遊しながら成長し、4~7年前後を日本沿岸で、それ以降を台湾の東の海域ですごし、ここで産卵すると考えられています。
一方、大西洋に生息するクロマグロは、地中海、メキシコ湾、フロリダ海峡付近の暖かい海域で産卵。成長するにつれて北上し、大西洋を広く回遊することが判っています。日本の近海でも漁獲されます。

消費量

かつては、日本では漁獲量が輸入量を上回っていましたが、現在は輸入量の方が増えています。これは、1990年代以降、蓄養の技術が発達し、安くて脂の多いクロマグロが、大量に日本に輸入されるようになったためです。

近年は、未成魚を中心に漁獲圧が増加しており、親魚資源量が評価期間中(1952-2010年)の最低レベル近くまで減少しています。

  • データ:FAO FISHSTAT
  • 輸入量、輸出量のエラ、内臓重量は考慮していない。
  • 消費量は漁獲から消費までの時間差を考慮しておらず、また在庫量を考慮していない、近似値である。
  • 漁獲量は大幅な過小報告が明らかになっているのが、補正前の値である。

資源状況

水産庁は、数種のマグロについて、資源状態を3段階(高、中、低)にわけて評価しています。

太平洋
低位
東大西洋
中位
西大西洋
低位

太平洋クロマグロの現状と資源管理について

太平洋クロマグロ(本マグロ)の資源量が、危機的な状況にあります。北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)の最新の報告によると、資源量、回復の水準いずれも、歴史的な低水準となっています。最大の消費国である日本をはじめ、各漁業国は、太平洋クロマグロの資源回復のための漁業管理を、早急に実施することが求められています。

メキシコにおける太平洋クロマグロの群れ

メキシコにおける太平洋クロマグロの群れ

太平洋クロマグロの生態

太平洋クロマグロ(Thunnus orientalis)は主に北緯20~40度の北太平洋温帯域に分布しています(図1)。産卵場は南西諸島周辺(4~7月)と日本海南西部(7~8月)で、ふ化後は、日本沿岸を、餌を探しながら移動します。また、1歳ごろになると太平洋を横断し、アメリカ大陸西岸で数年過ごした後、産卵のために日本周辺へ戻ってきます。(*12)なお、太平洋クロマグロが産卵できるようになるまで、3~5年かかります。

図1 分布・回遊経路と産卵域

太平洋クロマグロの漁業について

太平洋クロマグロの漁獲量は、ピーク時には3万5千トンを超えていましたが、近年は1万5千トンほどに低下しています(図2-1)。(*5,6) また、漁獲した太平洋クロマグロのほとんどが未成魚(3歳未満)で、その割合は約97%(尾数ベース)に増加しています(図2-2)。(*10)太平洋クロマグロ未成魚は、その大半が日本、韓国、メキシコによるまき網漁で漁獲されていますが、その他にも日本沿岸の曳き縄・手釣り漁や定置網漁でも漁獲されています(図2-3)。(*1,12)

太平洋クロマグロの漁業について

地域漁業管理機関(RFMO)

太平洋クロマグロの管理は、西部太平洋ついては中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)、東部太平洋については全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)が行っています(図3)。また、科学データについては、ISCとIATTC科学諮問委員会(IATTC SAC)が調査・集約し、WCPFC・IATTCに提供しています。

図3 世界の海のマグロ類の資源管理にかかわる国際機関

図3 世界の海のマグロ類の資源管理にかかわる国際機関

太平洋クロマグロの資源状況

2014年4月、ISCが公表した最新の資源評価結果では、太平洋クロマグロの資源量は歴史的な低水準に低下していることが明らかとなりました。全資源量は44,848トン、産卵可能な親魚の資源量(産卵親魚量)は26,324トン、これから漁獲対象となる幼魚数(加入量)が約700万尾と、ピーク時の20%以下の水準にまで低下してしまいました(図4)。(*4) 

一方、2014年5月に行われたIATTC SACにおいて、産卵親魚量がISCの推定量の約半分の1万トンを下回る可能性も示唆されており、早急に資源回復のための行動を起こす必要性が提言されました。(*7)

漁獲規制と将来の資源予測結果

ISCは、現在の漁獲量のままでは、過去に例を見ないほどに太平洋クロマグロ資源が枯渇してしまうと警鐘を鳴らしています。しかし、すぐに未成魚の漁獲量を、2002~04年の50%の水準まで削減させることができれば、産卵親魚量は10年間で歴史的中央値(43,000トン)まで回復する確率が高いとも指摘しています。(*4,9) また、IATTC SACでは、この歴史的中央値とほぼ同じ数値の基準値を設定し、この基準値よりも資源量が低下しないようにすることに加え、資源を確実に回復させるために、未成魚だけでなく成魚についても管理を行うことを勧告しています。(*2,3,8)

図4 ISCによる資源評価結果(2014年4月)

図4 ISCによる資源評価結果(2014年4月)

資源管理について

2014年に採択されたWCPFCの保全措置は「未成魚漁獲量の削減と成魚漁獲量の維持による、親魚漁獲量の回復」でした。また、同年にIATTCで採択された保全措置は、「年間漁獲上限の削減」でした(表1)。

表1 WCPFCにおける保全管理措置の推移

表1 WCPFCにおける保全管理措置の推移

問題点

近年、加入量の低迷が継続し、歴史的最低水準を割り込むリスクが増加している太平洋クロマグロ資源を確実に保全するには、現在のWCPFCおよびIATTCの保全措置では十分とは言えません。そのため、太平洋クロマグロをかつての資源量(初期資源量:SSBO)の「20%」またはそれに準ずるレベルまで回復させることを目標とした、成魚と未成魚の両方に対する保全措置を含む、長期的な資源回復計画がWCPFCおよびIATTCで採択される必要があります。また、漁獲が、認められた上限を超えないよう事前に合意した内容に基づき、迅速かつ効果的に管理するために、管理基準値と漁獲管理方策による漁獲方針や、正式な漁獲証明制度(CDS)の導入も望まれます。

WWFの要望

WWFは、太平洋クロマグロの資源管理のため、以下の提案をおこなっています。

RFMOや各国政府に対して

  • 2030年までに、初期資源量の少なくとも20%にまで回復させることを目標にした、長期的な回復計画を採択すること
  • 産卵親魚を保全するために、現行の管理措置に加え、30kg以上の成魚についても漁獲制限を実施すること
  • 2016年に、新たな資源計画と、回復に向けた予測シュミレーションを行うこと
  • 漁獲尾数の綿密なモニタリングを行い、各国が定められた漁獲量を順守すること

マーケットに対して

  • トレーサビリティを確保し、IUU(違法・未報告・無規制)漁業由来のマグロを取り扱わないこと
  • 持続可能な漁業への変換(MSC認証取得など)をサポートすること
  • 予防原則に基づいた資源回復計画が採択されるまで、太平洋クロマグロの取り扱いを控えること

ファクトシート:太平洋クロマグロ資源の現状(PDF)

参考文献

1. Hiromu Fukuda et al., Preliminary Population Dynamics Model for the Updated Stock Assessment of Pacific Bluefin Tuna, ISC/14/PBFWG-1/03
2. IATTC SAC, 2014, RECOMMENDATIONS BY THE STAFF FOR CONSERVATION MEASURES IN THE EASTERN PACIFIC OCEAN, 2014, DOCUMENT IATTC-87-03d
3. IATTC SAC,2015,RECOMMENDATIONS BY THE SCIENTIFIC ADVISORY COMMITTEE DOCUMENT,IATTC-89-04c
4. ISC PACIFIC BLUEFIN TUNA WORKING GROUP, 2014, STOCK ASSESSMENT OF PACIFIC BLUEFIN TUNA 2014.
5. ISC PLENARY SESSION, 2013, REPORT OF THE THIRTEENTH MEETING OF THE INTERNATIONAL SCIENTIFIC COMMITTEE FOR TUNA AND TUNA-LIKE SPECIES IN THE NORTH PACIFIC OCEAN
6. Kazuhiro Oshima et al., 2014, Updates of input data for stock assessment model, Stock Synthesis 3, on Pacific bluefin tuna., ISC/14/PBFWG-1/05
7. Mark N. Maunder et al., 2014, STOCK STATUS OF PACIFIC BLUEFIN TUNA AND THE URGENT NEED FOR MANAGEMENT ACTION., IATTC SAC 5th meeting Document SAC-05-10a.
8. Mark N. Maunder et al., 2014, PROPOSAL FOR BIOMASS AND FISHING MORTALITY LIMIT REFERENCE POINTS BASED ON REDUCTION IN RECRUITMENT., IATTC SAC 5th meeting Document SAC-05-14
9. Yukio Takeuchi et al., 2014, Updated future projections of Pacific bluefin tuna with draft results to answer the requests from NC9., ISC/14/PBFWG-1/10rev
10. 水産庁, 2014, 太平洋クロマグロの資源管理について, 第3回資源管理のあり方検討会資料3-1
11. 水産庁, 2015, 太平洋クロマグロの資源状況と管理の方向性について
12. (独)水産総合研究センター国際水産資源研究所, 2011, 平成25年度国際漁業資源の現況

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