1996年に設立された「シギ・チドリネットワーク」は、東アジア地域における、渡り鳥を保護する国際的なネットワークで、正式名称を「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ/東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク」といいます。 このネットワークは、シギやチドリなど、渡り鳥の旅のルート上にある、アジア・オセアニアの国々が協力してシギ、チドリ類の保護に取り組む、というものです。
世界の湿地を結ぶ渡り鳥
北極圏から、赤道の南に位置するオーストラリアやニュージーランドまで大旅行をするシギやチドリの仲間は、季節によって大きな距離を移動する「渡り鳥」です。 その距離は、種によっては1万キロ以上にもなるといわれています。
シギやチドリは、主に春と秋に日本を訪れ、主に干潟や水田、砂浜といった、水辺の自然環境、いわゆる「ウェットランド」にやってきます。そして、浅い水辺を歩き回る長い足とクチバシを使って、泥や砂に隠れているゴカイやカニ、貝などを食べます。
また、繁殖地の北極圏では、夏の間、草原や湿原を、越冬地の南の島々では干潟や時にはマングローブなどを生活の場としています。シギやチドリは、地球の南北で、さまざまなタイプの自然環境をすみかとして生きる、とてもスケールの大きな野生動物なのです。
しかし、この渡り鳥たちは、生息地である干潟やマングローブなどのウェットランドが各地で失われているため、多くの地域で生息が危ぶまれています。 日本や韓国では、第二次世界大戦後、わずか半世紀の間に、干潟が干拓や埋立によって大幅に消滅してしまいました。

国際的なネットワークで渡り鳥たちが生きる自然を残す
シギやチドリが、無事に長い旅が出来るかどうかは、北の繁殖地と南の越冬地、そして、途中休憩する中継地のそれぞれに、健全なウェットランドが、あるかどうかにかかっています。シギやチドリは、まさに、国境を越えた、ウェットランド保全状態の「指標=ものさし」になる野生生物といえるでしょう。
シギやチドリを守ることは、そのまま鳥たちの食物となっている、ゴカイやカニなど小さな生き物たち、ひいては、ウェットランドそのものを保全することになります。そして、多くの国のウェットランドと、そこで生きるシギやチドリを保全するためには、多くの国の協力が欠かせません。
WWFジャパンでは、環境省の委託を受け、国際的なシギ・チドリ類の保護ネットワークである、東アジア・オーストラリア地域の「シギ・チドリ類重要生息地ネットワーク」(通称:シギ・チドリネットワーク)の事業を推進しています。ネットワークでは、国・地方自治体・市民・NGOが協力して、普及啓発活動・科学的調査・参加地間の情報交換などを行なっています。WWFジャパンでは,ネットワーク活動の推進を通じて、シギ・チドリ類とその生息地の保護を進めています。
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