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WWFの活動

四川省 震災復興現地レポート 【3】村に水が戻った

話者:連合村村長 周華剛さん

まとめ:成都イブニングニュース特派員 張欧さん

私たちの村は、都江堰市から40キロほどのところにあります。
三方を山に囲まれていますが、生活基盤も良く整っていました。虹口地区の他の村々が観光産業に投資してきたのと違い、人口200人ほどの私たちの村は、薬草やキウイフルーツの栽培で充分に生計をたてることができたのです。この虹口で、水の供給が問題になるなど、誰一人、想像だにしませんでした。

連合村村長の周華剛さん

水に恵まれた桃源郷

成都にすむ人なら誰でも、虹口を流れゆく船の話を聞いたことがあるでしょう。
ここの飲み水は泉から引いてきています。私は村の入口で民宿を営んでいますが、都会から遊びに来る人たちはよく、ボトルにつめた水を持ってくるので、村はずれの泉に行って、美味しい水を飲んでごらんなさいと言います。試してみた人はみんな、ここの水を家に持って帰るため、持っているボトルを空にするのです。

2008年5月12日、地震が、この村の建物すべてを損壊しました。地滑りが起き、この村は山中に孤立してしまいまったのです。私たちはヘリコプターで救助され、虹口の町へ避難しました。最初はテントに一時的に身を寄せ、そのあとはプレハブの家に移りました。しかし、村の人たちは皆、村へ帰りたがりました。なぜなら、医薬費として使う厚朴という薬草やキウイフルーツが、受粉の時期を迎えていたからです。もし受粉作業ができないと、収穫がゼロになってしまうのです!

村の特産品の薬草とキウイフルーツ。いずれも村の最も大きな収入源だ。

水道も、灌漑施設も失って

結合村から、虹口の町までは10キロほどですが、道の補修ができたのは3キロほどだけです。そのため、村までは片道でも2~3時間かかってしまいます。村で畑仕事をするためには、小屋を建てて、1日か2日、滞在するという方法しかありません。

しかも、仮にそうしたやり方ができたとしても、水の問題がまだ残っています。水道管はすべて破壊されてしまい、村に流れ込んでいる川は泥で濁っています。地震の被災地で、水が硫黄分を含むようになってしまったという例を聞きました。そうなったら飲用水にもなりませんし、農業に使うわけにもいかないのではないでしょうか? 

私たちの村では、硫黄を含んだ水は出ませんでしたが、何人かの村人は、畑から水が2メートルも吹き上がるのを見たそうです。地震による裂け目から吹き出した地下水でしょう。どんなに喉が渇いていても、誰もその水を飲もうとはしませんでした。

農作物を育てられない!?

日にちは忘れてしまいましたが、何人かの若者達が、大きな危険を冒して崖を登り、5キロ先に澄んだ水が流れている水路を見つけてきました。彼らは3~4時間かけて、木のバケツで水をくんで来ました。

一世帯あたり、少なくとも一日に30リットルの水が必要です。それでも、飲み水を除けば、残りは家族全員が共同で使って、ようやくなんとか衛生を保てるくらいの量でしかありません。

この村の収入は、厚朴という薬草とキウイフルーツなので、村人は灌漑用の水のこともたいへん心配していました。もし、晴れた日が数日続いたら、私たちは絶望のため息をつくことになるでしょう。キウイフルーツは、乾燥した土壌に植えられるため、土壌そのものに保水力がなく、水が欠乏すれば実はひからびてしまうのです。

保護区管理局とWWF

連合村は、龍渓虹口自然保護区に隣接しています。自然保護区の管理局と密接な協力関係を築いてきた地域共同体として、私たちは保全活動のお手伝いができることに喜びを感じています。自然保護区の管理局も、私たちの村の発展を援助してくれています。

地震のあと、保護区のスタッフとWWFの職員が、影響評価のために村へやってきました。2008年9月のことです。保護区の部門長である王琳から、WWFの邵文と陳燦を紹介されました。王琳は私に、何に困っているかを聞かせて欲しい、保護区とWWFは、それを解決するために一緒に働く、というのです。

私の心には、道路の問題、電気の問題、そして水の問題が浮かびました。道路については交通局が、電気に関しては電力会社が、問題を解決してくれていたので、水のことが、私たちが一番に望んでいる案件でした。

2つの尾根を越え水源へ

私は水が不足していることを語り、村人達が生計を立てられるかどうかの瀬戸際にあることを説明しました。水がなければ漢方薬やキウイフルーツの栽培はできず、村人たちは山に入って木を伐り、薬草を集める生活に戻らざるをえません。自然資源にも大きな負荷をかけることになるでしょう。

保護区とWWFは、水不足問題を解決することに合意してくれました。WWFが水を引くパイプと、水を貯めるタンクの資金を出資してくれたので、私たちは労働者を募り、水源を探し、必要な経費を計算しました。そして、WWFから17万元の出資を受けるという合意書にサインしたのです。この新しい給水プロジェクトのことを聞いて、思わず泣き出す村人も少なくありませんでした。

山を越えて水を引く作業は2009年2月27日、70人の男達によって開始されました。村には200人しかおらず、しかも住む家の修復作業もしなければなりません。私たちが見つけた水源は、標高1900メートルの大水溝にありました。最も困難だったのは、村と大水溝の間に連なる2つの尾根を越えることでした。

地震が発生してからしばらく経っているにもかかわらず、誰もそこへ踏み込むことができません。やむなく迂回することとなり、導水パイプを2000メートル分、追加せざるをえませんでした。導水パイプに沿って、4つの水タンクが地形に合わせて、なおかつ、灌漑に使いやすいように設置されました。

村に水が戻ってきた!

2009年3月25日、ついにプロジェクトは終了しました。完成を祝って、村人全員が、村から一番近い水タンクの前に集まり、まるでお祭りのようでした。60歳になる陳安沢は「一年ちかくも、満足に顔を洗うこともできなかった。今日は風呂に入れるぞ!私が育てているキウイフルーツもたくさん収穫できる!」と喜んでいました。

私たちは新しいパイプから水が流れ出す瞬間を一緒に見てもらうために、保護区管理局とWWFを招待していました。しかし残念なことに道路規制が行なわれていて、彼らに来てもらうことは叶いませんでした。もしここに来てもらえれば、一緒に喜びを味わうことができたでしょう。ようやく水の供給が復旧しました。今度は、家々の再建作業が私たちを待っています。

WWFの支援のもと、村に水を引く計画が実行に移された。2つの山の尾根を越えて、標高1900mの大水溝から水を引く。数箇所の中継地には貯水タンクを設置した。

山道をつたい、給水管を設置する。非常に困難な作業だったが、村の人たちは見事にやり遂げた。

WWF中国プログラムオフィサー 陳燦より

龍渓虹口自然保護区は、成都の町からそれほど離れていないため、自然環境が人為的影響を受けやすい場所でもあります。
WWFは、この地域の自然資源の持続可能な利用と開発をめざしています。地震は、ジャイアントパンダの生息地と、隣接する地域共同体に大きな影響を与えました。持続可能な暮らしへの転換は、地域共同体が生計の道と生活様式を取り戻す役にも立つことでしょう。そうすれば、自然資源の利用と消費は減り、人と自然が調和して生きられるようになるはずです。

▼この現地レポートのオリジナルはこちら(英文/PDF:1.7MB)

2009/8/21

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