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WWFの活動

アジアパルプアンドペーパー社、森林破壊に着手 オランウータン野生復帰やトラの生存が危機に

2009年6月12日 共同記者発表資料(FZS、Warsi、ZSL、WWF、Yayasan PKHSによる)

【インドネシア・スマトラ島、ジャンビ州発】複数の自然保護団体が得た情報によると、世界最大級の製紙会社がインドネシアのスマトラ島で大規模な森林伐採を計画中である。歴史上唯一スマトラオランウータンの野生復帰が成功し、100頭近いオランウータンが生息している森林が、破壊の危機に直面している。

 WARSI、スマトラトラ保全保護基金(Sumatran Tiger Conservation and Protection Foundation)、フランクフルト動物学協会(Frankfurt Zoological Society)、ロンドン動物学協会(Zoological Society of London)、およびWWFインドネシアによれば、シナルマスグループに属する企業であるアジアパルプアンドペーパー社(APP/SMG、以下APP社と表記)とその関連企業が最近、スマトラ島ジャンビ州のブキ・ティガプル国立公園周辺に残る自然林の大部分を皆伐する許可を取得。インドネシアの生物多様性にとって最重要地域である自然林のすべてを用地転換する可能性が出てきた。

 APP社は既に、ブ キ・ティガプルの数ヶ所で自然林を転換し始めている。2008年同社は、ジャンビ州と隣接するリアウ州に保有する製紙工場への木材運搬を容易にするため、 林道を完成させた。地域固有の森林を貫いて走る林道の建設は、合法性が疑われている。NGO5団体は、APP社が来年早々にも2つの伐採許可地域での自然 林伐採を始める可能性があると懸念し、同社の伐採を許可せず、対象の森林を保護するよう求める書簡を林業省に送付した。

 「絶滅の 危惧される飼育下のオランウータンの野生復帰を成功させるため、科学者達は何十年もの年月を注いできた。しかし、APP社がこの新しい生息地である大切な 森を破壊するのには、わずか数ヶ月しかかからない。この地域の低地林はオランウータンにとって最高の生息環境であり、我々は2002年以降オランウータン をここに放す許可を政府から得た。オランウータンは今順調に生活して繁殖し、新しいファミリーグループもできているところだ」フランクフルト動物学協会 (Frankfurt Zoological Society) のPeter Pratje氏は言う。

 スマトラ島では世界でも 最悪と思われる勢いで森林破壊が既に進んでいるが、今回問題の地域の森林は、とりわけ危機的な状況にある。2007年時点では、まだかなり良好な状態の自 然林が45万ヘクタール近くまとまって残っていたが、ブキ・ティガプル国立公園として保護されているのはうち29%のみ、残りは明日にでも皆伐される危機 にさらされている。

 保護されていない森林は、野生の生息数わずか400頭の、絶滅危惧種であるスマトラトラの貴重な生息地。400頭のうち約100頭が、生息していると推定されている。

  「ブキ・ティガプルはスマトラトラに残された、最も重要な生息地でもある。APPの計画は破壊的であり、実施の暁にはトラのすむ森が消滅するだろう。トラ と人間の距離が接近し、悲劇的な事件が増えるのは確実。ジャンビ州の森が縮小し、トラは生き抜くのに必死になっている。同地域で今年、トラに遭遇して既に 9人が亡くなった」ロンドン動物学協会(Zoological Society of London) のDolly Priatna氏は言う。

 ブキ・ティガプルには絶滅の危惧されるスマトラゾウも40~60頭生息しており、国立公園の外でほとんどの時間を過ごしている。

  「APP社を止めなければ、ブキ・ティガプル地域のスマトラゾウの絶滅も現実になってしまうかもしれない。スマトラの希少な自然林と、地域に固有の生物種 を脅している張本人がAPP社だ。同社の取引先、出資者をはじめとするビジネスパートナーは、それをしっかり認識してほしい。」スマトラトラ保全保護基金 のYunus氏は言う。

 ブキ・ティガプルの自然林にはタラン・ママク、オラン・リンバという2つの少数先住民族が住み、森や川の 天然資源に依存して生活している。WARSIのDiki Kurniawan氏は、「APP社は彼らの生計手段を奪い、生活を危機の瀬戸際へ追いつめている。私は1996年以来この森で住民たちと協力してきた。 あの強欲なグローバル企業から彼らを守る術はないのだろうか?」と述べた。

 1985年から2007年の間に、スマトラ島では 1200万ヘクタールの自然林が消失、22年間で48%の森林が減少した。2007年時点で、島の面積に占める自然林の比率はわずか30%(約1300万 ヘクタール)まで減少している。インドネシア政府の林業、環境、公共事業、内務の各省庁と、ジャンビ州を含むスマトラ島内全10州の知事は昨年、島内の 「保護価値の高い」区域の保護に一丸となって取り組むと宣言、2008年10月、スペインのバルセロナで開催されたIUCN世界自然保護会議で公約として 称賛された。

 APP社が破壊しようとしているブキ・ティガプルの自然林は、知事が守ると約束した保護価値の高い地域の最たる例である。

  WWFインドネシアのイアン・コサシは、「ジャンビ州は、公約どおりにスマトラ島の保護価値の高い区域を守り、APP社の計画を食い止めるべき。近年成長 している森林排出権クレジットのように、森林を保全しながら利益を得られる、収益の代替手段を見出すことも必要だ。私達NGO団体はそのために、ジャンビ 州知事への全面的サポートを惜しまない。ブキ・ティガプルの森は、生物の多様性と先住民族のコミュニティーにとって相互利益が多く、森林を残すことで二酸 化炭素の排出が大量に抑制できる。REDD(森林減少と森林破壊に由来する二酸化炭素排出削減)プロジェクトを実証する地域としても大きな期待がある」と 述べた。

 

Notes to Editors:

  • APP 社および関連企業は既に、PT. Tebo Multi AgroとPT. Wanamukti Wisesaの自然林転換を行ってきた。最近ではジャンビ、リアウ両州への混交熱帯広葉樹の木材の運搬を容易にするため、元PT. IFAと元PT. Dalek Hutani Esaの伐採許可地で自然林を貫通する形で搬出路を作った。

  • 現 在APP社は、元PT. Dalek Hutani Esaの伐採許可地域の環境影響評価(AMDAL)の審査確定を待っている。この地域には2002年に野生復帰したオランウータンの多くがすんでいる。同 社が提出したAMDALの報告書は、そうした重要な野生生物や地元住民への悪影響を全く考慮しておらず、各NGOは報告書の質に疑問を持っている。加え て、APP社が来年早々にもこの伐採許可地域で、自然林を伐採し始める可能性があると懸念している。

  • APP社とその関連企業はこれまでも、物議を醸し、合法性が疑問視される森林の用地転換を中央スマトラで繰り返し実施している。

  • ブキ・ティガプルの森にAPP社が新設した木材搬出路は既に、多くの違法伐採者にとって格好のアクセス路となっている。用地転換法令の施行を担当する、天然資源省のジャンビ州事務所によれば、人間とトラの衝突も増えたとされている。

  • 2008年8月、NGO5団体とジャンビ州森林管理局、天然資源省州事務所、ブキ・ティガプル国立公園管理局は、2007年に残っていた自然林の74%を「ブキ・ティガプル生態系」と定め、自然林として持続的な管理を行うことに合意した。

  • ブキ・ティガプル全域とその自然林、野生復帰したオランウータンやスマトラトラ、スマトラゾウの分布、ブキ・ティガプル生態系、APP社関連のパルプ材プランテーションの造成許可地域(HTI)などの地図は、以下i公表されている。
    http://www.savesumatra.org/index.php/newspublications/mapdetail/1.0/3

  • 本リリースを発表したNGO5団体による2008年の共同記者発表資料や、ブキ・ティガプルでのAPPの社の活動について発表した調査報告書など一連の文書はhttp://www.savesumatra.org/index.php/linkにて閲覧できる。

  • この世界で最も深刻な危機に瀕する熱帯林の保護を支持する、スマトラ島全10州の知事による歴史的な合意についての詳細は、以下
    http://www.savesumatra.org/index.php/newspublications/newsdetail/1

 

問い合わせ先:

Peter H Pratje (FZS) : 08127495815 /phpratje@gmail.com
Diki Kurniawan (Warsi) : 08127407730 /dicky@warsi.or.id
Dolly Priatna (ZSL) : 081389001566 /Dolly.Priatna@zsl.org
Afdhal Mahyuhddin (WWF) : HP number / amahyudin@wwf.or.id
M. Yunus (Yayasan PKHS) : 081365705246 /yunus_pkhsb30@plasa.com

5団体が合同で林業省宛てに送った書簡(インドネシア語および英語)と添付された写真の提供については、以下に問い合わせられたい。
Dyah Ekarini drini@wwf.or.id)

 

 

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