ページ内を移動するためのリンクです。

活動トピック

有害化学物質に関する重要な国際会議に参加

2009年6月24日

2009年5月、今後の地球上の生命の健康と安全に大きく関わる2つの国際会議が、連続してジュネーブで開催されました。
一つは、地球上から廃絶すべき有害化学物質である「POPs(残留性有機汚染物質)」に関する「ストックホルム条約第4回締約国会議」。もう一つは、2020年までに化学物質による人や生態系への脅威を最小化させるための国際的枠組みである「SAICM(サイカム)」を検討する「第2回国際化学物質管理会議」(ICCM2)です。日本のNGOとして、WWFジャパン及び有害化学物質削減ネットワークが参加しました。

ストックホルム条約第4回締約国会議(POPsCOP4)

大きく前進したものの、不安の種をあとに残す

5月3日(月)から始まったストックホルム条約第4回締約国会議は、149カ国の政府、各国際機関、民間団体等、800人を超す参加のもと8日(金)に終了しました。(正確には、現地時間で9日の朝4:37)

新規POPs追加なるか

最大の焦点は新規POPs候補9物質の追加提案でした。これまで条約ではダイオキシン、DDTなど12物質のみを規制していました。2005年のCOP1において、WWFは早急に追加すべき候補物質として20物質を挙げましたが、ようやく今回初めて9物質の追加が検討されることになったのです。大半はすでに製造されていない農薬等であるため、一部の国が適用除外を求める程度で、それほど大きな問題にはなりませんでしたが、臭素系難燃剤(テトラ、ペンタ-BDE及びヘキサ、ヘプタ-BDE)とフッ素系有機化合物(PFOS・PFOS-F)の2つの物質グループの取り扱いが大きな議論となりました。

POPsのリサイクル?

この2種の臭素系難燃剤は既に製造されていないので、付属書A(廃絶)掲載には反対ありませんでしたが、これまで各種プラスチックや家具などに、燃えにくくする目的で、広く使われており、それらのリサイクルを認めるべきか否かが焦点になったのです。安易にリサイクルを認めると、廃絶すべきPOPsが姿を変えて、そうとは知らずに流通する恐れがあります。結果的にはリサイクルを認めることになってしまいました。

POPsなのに使い続けるの?

PFOS類は、日用品から電子機器、消火剤、農薬など広範囲に使われています。付属書Aに掲載し、廃絶を前提に適用除外を認めるのか、付属書Bとして使用範囲を制限するかが、焦点でした。NGOは付属書Aとし、健康に関わる用途以外は禁止すべきとしていましたが、中国、インド、イラン、日本、米国などにより、付属書Bに掲載され、現行の用途のほとんどの使用が認められてしまいました。特に気がかりなのは、カーペット、紙や繊維・衣料製品などの消費者製品にも引き続き使用が可能となり、市民が直接触れる可能性が残されたことです。また、消火剤や殺虫剤の場合は、環境中に排出されることから、長距離移動により汚染が広がるおそれもあります。

追加された新規POPs

物質名 主な用途 付属書
クロルデコン 農薬
ペンタクロロベンゼン 農薬 AとC
リンデン(γ-HCH) 農薬
α-ヘキサクロロシクロヘキサン リンデンの副生物
β-ヘキサクロロシクロヘキサン リンデンの副生物
ヘキサブロモビフェニル プラスチック難燃剤
ヘキサブロモジフェニルエーテル、ヘプタブロモジフェニルエーテル プラスチック難燃剤
テトラブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモジフェニルエーテル プラスチック難燃剤
ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩、ペルフルオロオクタンスルホン酸フルオリド(PFOSF) 撥水撥油剤、界面活性剤
  • 付属書A:製造・使用の禁止
  • 付属書B:使用の制限
  • 付属書C:非意図的生成による排出の削減

第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)

遅れてようやくスタート、2020年までにゴールインできるのか?

ストックホルム条約第4回締約国会議に引き続き、同じ会議場で5月11(月)~15日(金)まで、150カ国の政府、国際機関、民間団体等合計約800名の参加を迎え、ICCM2が開催されました。2006年の第1回国際化学物質管理会議(ICCM1)でSAICMが採択されてから3年を経過し、2020年までに化学物質による人や生態系への脅威を最小化させるというSAICMの2020年目標に対して、今日までの進捗と新たな課題等について検討するのが、本会議の主目的でした。

世界は足踏み状態

結論は、世界がSAICMの2020年目標にどこまで近づいているか、まったくといってよいほど見えないままでした。そもそも進捗の程度を測るための報告様式が、まだ合意されておらず、この会議でようやくまとめられました。昨年、事務局が今会議のために仮の様式に従って報告を求めましたが、回答があったのはわずか36カ国とEU、7国際機関、11のNGOのみで、日本を含む大多数の国は答えていません。

新たな課題

このように2020年目標の進捗がみえない中で、小さな進歩もありました。SAICMの枠組みの中で取り組むべき新たな4課題について議論され、次のことが決議されました。

  1. ナノ物質とナノ技術
    第3回国際化学物質管理会議(ICCM3)までに、特に途上国等を念頭に置いて、情報アクセスと共有に関する報告書を作成。
    (*これに対しNGOは、予防原則など肝心なポイントが骨抜きにされ、ことの重要性、緊急性を無視した決議であると大いに不満を示しました。)
  2. 製品中の化学物質情報
    製品中の化学物質情報の提供とアクセスをテーマとしたプロジェクトを策定し、UNEP(国連環境計画)を中心に、各地域の代表や関係者(ステークホルダー)を加えたグループが助言し、ICCM3にその成果を報告。
  3. 廃電子機器
    OMEC、バーゼル条約及びストックホルム条約事務局を招き、家電・電子機器のライフサイクルを通じた化学物質管理上の問題点の特定と評価、グリーンケミストリー、リサイクルと廃棄処理等に関するワークショップを開催。
  4. 塗料中の鉛
    廃絶のためのグローバルパートナーシップを構築し、関連するさまざまな取組とその到達目標等を含むビジネスプランを作成。UNEP及びWHO(世界保健機構)も協力し、ICCM3にその進捗を報告。

2020年までに残された時間はわずか

2020年までに有害化学物質による脅威を最小化するという目標まで、あと10年余りです。SAICMでは、2020年目標を達成するために、国レベルで具体的に取るべき行動計画のお手本として、「世界行動計画」が示されています。各国はこの世界行動計画に基づいて、国内行動計画を策定することになっています。しかし、この国内行動計画さえ、まだほとんどの国で策定されていません。今回、ICCMの進め方や作業部会設置など、今後の取組の下地作りがほぼ終了し、新たな課題への取組も多少なりとも前進したことは評価できますが、これまでのペースでは2020年目標の達成はおぼつかないことは確かです。これまで以上に、社会全体がこの問題を十分認識する必要があります。

 

あなたの支援で、できること。たとえば… 資源の持続可能な利用を促す WWF会員が125人集まれば、企業が自ら、違法伐採の木材商品を購入していないか、チェックできるウェブサイトを作ることができます。 「あなたの支援でできること」を見る

  • 未来のために今、あなたができること

この記事のカテゴリ

こんな問題がおきています

  • 初めての方へ