近年、大規模なアオサンゴ群集が発見された、沖縄県名護市の大浦湾。WWFジャパンを含む大浦湾の環境保全を求める自然保護団体や研究者は、共同で実施した調査の成果を基に、大浦湾の豊かさを訴えるリーフレットを発行しました。
大浦湾のアオサンゴ群集を守ろう!
2007年9月に、ジュゴンの生息地として知られる沖縄県名護市の大浦湾で発見された、大規模なアオサンゴ群集について、WWFジャパンなどの自然保護団体や研究者は、2008年1月から5月にかけて、合同調査を実施しました。
この合同調査のメンバーは、WWFジャパン、日本自然保護協会、じゅごんの里、国士舘大学、オキナワリーフチェック研究会、ダイビングチームすなっくスナフキンの各団体です。
調査に携わった関係団体では、2008年7月に発表したその成果をもとに、リーフレット『辺野古・大浦湾アオサンゴの海生物多様性が豊かな理由(わけ)-合同調査でわかったこと』を発行。大浦湾のサンゴ礁の重要性を訴えました。
リーフレットでは、写真・3Dマップを使用し、辺野古・大浦湾の独特の環境による生物多様性の豊かさを解説しています。

推し進められる基地建設
大浦湾の一部を埋め立て、辺野古新基地を建設するため、防衛省沖縄防衛局は現在、アセスメント準備書である「米軍普天間飛行場代替施設建設に係る環境影響評価準備書」を5月1日までの予定で公開しています。
これは、この準備書は、2007年に、沖縄防衛局が沖縄県に提出した方法書をもとに、その後の調査・予測・評価・環境保全対策の検討を実施した結果を示したもので、同局のほか、沖縄県庁、名護市役所、宜野座村役場、同局名護連絡所(名護市辺野古)で縦覧が可能ですが、5400ページに及ぶ膨大なものです。
そしてその内容には、以前に提示された方法書には、記載されていなかったヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)など新たな施設が、配置計画の中で、複数追加されていることが明らかになりました。また、沖縄県が求めていた、ジュゴンや海藻草類などの複数年調査や、実機調査も実施されていないことも分かりました。
一般市民にとっては非常に分かりづらい現在の縦覧の方法をたてに、計画を変え、基地建設を推し進めようという姿勢が、表れているといえます。


アセス準備書の住民意見を書くときの参考に!
準備書では、事業が自然環境に及ぼす影響の項目の中で、サンゴ礁やジュゴンの採食場である藻場といった、基地計画地周辺の環境には、及ぶ影響が総じて少ない、としており、現行の陸側建設案が望ましいと結論づけています。
しかし、十分な調査も行なわれず、市民団体や研究者による調査の結果も省みないまま、建設計画が推し進められれば、この海域の自然は、取り返しのつかない被害を受けることになりかねません。
このアセスメント準備書の内容に対しては、住民が意見を自由に述べる機会が設けられていますが、膨大なしかも専門的な内容について、一般市民が意見を述べるのは、きわめて難しいことです。
そこで、今回作成されたリーフレットは、情報の収集や事実確認が難しい中で、住民が意見を言うときの参考にしてもらうことも、大きな目的の一つにしています。
WWFジャパンなどの自然保護関係者も、貴重なサンゴ礁やそこに棲むジュゴンなどの希少生物を含めた、大浦湾の生態系を保全するため、意見を述べることにしています。そして、この沿岸域を海洋保護区に制定し、次世代に残すこと訴え続けています。
▼ リーフレット【PDF形式:3.2MB】
関連するWWFの活動
サンゴ礁の保全活動
サンゴ礁の海は、海洋面積全体の 0.2%を占めるのみですが、海に生息する生きものの4分の1が、このサンゴ礁の自然に関わって生きているといわれています。サンゴ礁の保全は、海の環境保全の大きなテーマの一つです。WWFジャパンも、日本の南西諸島、沖縄県の石垣島でサンゴ礁の保護活動を行なっています。 ...続きを読む
ジュゴンの保護活動
WWFジャパンは、沖縄の海の自然を広く保全することをめざした活動に取り組んでいます。現在、その活動の一環として、沖縄島の東海岸を中心とした海域に、わずかに生息する希少種ジュゴンの保護活動を展開しています。 >>> English ジュゴンが生きる沖縄の海 熱帯から亜熱帯にかけてのイ...続きを読む
南西諸島エコリージョン
九州から台湾にかけて連なり、温帯と亜熱帯、双方の気候と動植物相をあわせもつ南西諸島は、世界的に見ても貴重な自然環境が残る場所です。WWFはこの南西諸島の自然を、世界的に重要な自然の一つと考え、その保全を目指しています。世界に誇ることのできる、南西諸島の自然を守ることは、世界中の人々から私たちに任され...続きを読む





