世界で注目されるグリーン・ニューディール政策。日本でも同様の政策の実現が望まれています。
しかし、新たな産業の振興が、自然環境を損なうものであってはなりません。WWFはまだ日本で導入されていない「戦略的環境アセスメント」の早急な法制化を強く求めています。

アメリカの太陽光発電(カリフォルニア)。
日本はドイツと共に、太陽光発電の生産に先進的な国とされるが、その普及に大きな弾みがつくような制度設計はなされていない。
グリーン・ニューディールの波
世界的な不況対策として各国で注目されているグリーン・ニューディール政策。
アメリカではオバマ大統領が、10年間に1,500億ドルを投じ、500万人の雇用を生み出す計画を表明しました。
これは、短期的な景気対策にとどまらず、再生可能なエネルギー産業を育成し、アメリカ再生の柱とするもので、「クリーンで再生可能なエネルギーの手綱を握る国が、21世紀を主導する」とするオバマ大統領の政治理念を形にしたものといえます。
日本でも、このグリーン・ニューディールの方針は強く意識されていますが、まだ実際の政策としては位置づけられておらず、早急な実現が望まれます。
政策を真に環境に配慮したものにするために
しかし、新たな産業の振興は、同時に自然環境を損なうことにもなりかねません。
たとえば日本でも、風力発電開発については、鳥が風力発電用の風車にぶつかる「バードストライク」や、風車の騒音、景観の阻害といった問題が指摘されていますが、これを解決するためには、事前の環境アセスメント(影響調査)が必要です。
しかし現在のところ、日本の法律では、このアセスの実施が義務付けられていません。NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が作成した「風力発電のための環境影響評価マニュアル」や、一部の自治体(4つの県、1つの政令都市)が設けた条例があるのみで、国としての指針はいまだに整っていません。
各国でグリーン・ニューディール政策が展開されるに際しては、このような事例について、「戦略的環境アセスメント(SEA)」の点検を受けることが求められますが、日本ではいまだに法制化されていないのが現状です。グリーン・ニューディール政策の立案とあわせ、戦略的環境アセスメント(SEA)の法制化を図ることが必要とされています。
戦略的環境アセスメントについて
戦略的環境アセスメントは、規模の大きな開発事業などが行なわれる際、その実施によって周辺の環境がどのような影響を被るか、評価を行なう制度。従来の「環境アセスメント(環境影響評価)」よりも、対象と実効の範囲が広く、日本では、国土交通省や経済産業省、農林水産省、防衛省、厚生労働省などが実施・監督する事業計画をも、その対象に含むものになることが想定される。
また、この環境影響評価は本来、事業が実施される以前、計画の段階で行なわれ、深刻な影響が懸念される場合は、事業者に対し、事業の取り消しを含めた、改善や対応を義務づける。
海外の戦略的環境アセスメントの導入状況は以下の通り
- アメリカ:国家環境政策法(1969年)
- カナダ:閣議決定(1990年)
- オランダ:環境管理法(1987年、1999年)
- EU加盟国:SEA指令に基づき25カ国が導入している(2007年1月末時点)
- 中国、韓国、ベトナム、香港で導入(2005年12月末時点)。
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