記者発表資料 2009年2月10日
【オランダ発】 アマゾン地域の森林保全のためには、熱帯雨林が貯蔵してくれる炭素の量をはじめとする「生態系サービス(ecological service)」に価値を見いだすのがよい。
ユトレヒト大学コペルニクス研究所とともにWWFがとりまとめたレポート“Keeping the Amazon forests standing: a matter of values(アマゾンを保全することの経済的価値)”に示されたことは興味深い。アマゾンの森林が保全されれば、森林破壊や森林の劣化が起きた場合に放出されるCO2の量を勘案すると、年間で1ヘクタールあたり55~78ユーロ(日本円にして6,485円~9,196円)の便益をもたらしていることが分かった。(2/10 12:00時点での為替レートは1ユーロ=117.90円近辺)
このレポートは、特にブラジルに焦点を当てたもので、アマゾンの自然環境がもたらす生態系サービスの経済的価値を算出することを目的としている。大量の水の循環、大気中に放出されれば温室効果ガスとなるCO2に換算された炭素量などを元に、森林保全によって生み出される価値が示されている。
土壌の保全なら年に1ヘクタールあたり約185ユーロ(21,811円)に相当し、熱帯雨林生まれの昆虫による受粉は、コーヒー農園に年に1ヘクタールあたり約38ユーロ(4,480円)の価値をもたらす。森から生み出されるハチミツやフルーツ、キノコなどの製品は、年に1ヘクタールあたり約40~80ユーロ(4,716円~9,432円)の収入になる。エコツーリズムは年に1ヘクタールあたり2.5~5.5ユーロ(295円~648円)。
これらの便益を、欧州がアマゾンの名の下に輸入する牛肉や大豆といった製品が生み出す利益と比較してみるとよい。大豆栽培は年に1ヘクタールあたり230~470ユーロ(27,117円~55,413円)の利益を生む。肉牛を育てると40~115ユーロ(4,716円~13,559円)になる。
ブラジル産大豆の生産は大部分がアマゾンの外でおこなわれているが、大豆や牛肉の生産という経済的利益は、アマゾン地域に増大する圧力となりつつある。
今回のWWFレポートによると、自然環境を保持したまま出来る経済活動からの収入は、現時点では、持続可能でない経済活動を埋め合わせるほどの額にはなっていない。しかし、森林がもつ生態系サービスに対価を支払うメカニズムが見つかれば、森林を保全することと森林を適切に管理することの両方にとって、大きなインセンティブになるだろう。
世界中が気候変動に取り組んでいることを考えれば、有力な候補となるメカニズムは、いわゆるREDDになるだろう(REDD:森林の破壊と劣化防止による排出抑制 Reduced Emissions from Deforestation and forest Degradation)。このメカニズムを用いれば、先進諸国は森林保全への取り組みに資金を供与し、熱帯諸国のCO2を抑制することにつながる。
REDDメカニズムに基づく計画が実行に移されれば、持続可能な森林経営は、大きな資金を利用できるようになるだろう。持続可能な森林経営は、アマゾン地域の先住民のような地域社会にも利益をもたらす。
WWFオランダの事務局長であるヨハン・ファン・デ・グロンデンは「REDDは持続可能な森林経営を現実のものとするだけでなく、もっとも有望なCO2排出抑制のメカニズムにもなることだろう」と言う。
WWFブラジルがREDDメカニズムを受け入れるかどうかに際して提起した問題がある。土地所有権の透明性が欠如していること、違法な土地の占拠、違法な土地取引の市場の存在である。
WWFブラジルのCEOであるデニス・ハムは、「ブラジル国内の企業も国際的な企業もリーダーシップを発揮し、アマゾン地域の持続可能な発展に積極的に関与すべく、サプライヤーを選別し、サプライチェーンを低炭素なものに転換していくべきだ」と言う。
ブラジルにとって第4の貿易相手国であるオランダは、熱帯雨林を破壊から守るために大きな貢献を果たしうる。オランダは中国に次いで世界第2位の大豆輸入国なのだから。
「人類はアマゾン地域が提供する生態系サービスに大いに依存している。しかし、アマゾンは急速にその地域を狭めつつあるにも関わらず、人類はいまだに保全のための労力を十分に注いではいない。農業のための雨、清潔な飲み水、きれいな空気、そして地球温暖化の防止、などをもたらしてくれているというのに」 WWFオランダのヨハン・ファン・デ・グロンデンはそう述べる。
さらにヨハン・ファン・デ・グロンデンは「ブラジル経済に大いに貢献しているのだから、オランダは、持続可能な形で生み出された製品を選択的に輸入するといった形で、アマゾン地域に持続可能な経済発展をもたらす先導的な役割を果たせるはずだ。例えば、FSC認証を受けた木材のみを輸入するといったことが考えられる」と続ける。
レポートの全文はこちら
Keeping the Amazon forests standing: a matter of values(英文:PDF形式/3.71MB)
レポートの発行者:WWFオランダ
Driebergseweg 10, P.O. Box 7
3700 AA Zeist, The Netherlands
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Mark Kemna - mkemna@wwf.nl - Communications Officer, Forests(WWFオランダ)
T: +31 306 937 333 ext 844 M: +31 629 535 947
問合せ先:WWFジャパン 自然保護室 草刈秀紀/広報担当:大倉寿之 Tel:03-3769-1713
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