オランウータンに迫る危機
オランウータンは現在、数々の脅威にさらされています。オランウータンの密輸は跡を絶たず、すみかである熱帯林は急激に減少しています。また、頻繁に起きている森林火災も、オランウータンの森を破壊しています。オランウータンは今、絶滅寸前の危機にさらされているのです。
さまざまな脅威
個体数の減少
オランウータンの個体数は、100年前に比べると約92%も減ったといわれています。
推定個体数はそれぞれ、ボルネオオランウータンが4万5,000~6万9,000頭、スマトラオランウータンは7,300頭ほどとみられています。
スマトラ島では、過去75年あまりの間に、個体数が80%も減少。ボルネオ島でも、過去60年の間に個体数が半分になったと考えられています。
生息地の減少
オランウータンが直面している最大の脅威は、生息地である熱帯林の破壊です。西暦2000年の時点で、オランウータンの生息地は、もともとの面積の約80%が失われたと推定されましたが、生息地の大規模な減少・改変は、いまだに続いています。1980年代から頻繁に起こるようになった森林火災の影響もあって、生息環境はますます狭められています。
森林伐採
オランウータンのすむ熱帯林では、木材をとるための商業伐採が盛んに行なわれています。中には、自然保護区に指定されている場所であるにもかかわらず、違法に木を切る違法伐採も行なわれています。また、ヤシなどの植林(プランテーション)への転換や、農地開墾などのための伐採も後を絶ちません。熱帯林を農園や植林場に変えるため、森林に火をつけて一気に焼き払ってしまうという方法も、用いられています。
オランウータンは、主な食べ物を果実などの植物食に頼っており、なにより樹上を生活の場としているため、森林が破壊されると生きていくことができません。また、一カ所で集中的に森林伐採が行なわれると、その周辺地域からはオランウータンが一気にいなくなってしまうともいわれています。
森林火災
1990年代、世界各地の熱帯で大規模な森林火災が相次ぎました。アジアではインドネシアとマレーシアで、とりわけ大規模な森林火災が発生。広大な熱帯林が焼失しました。この火災により、多くの多様な動植物が被災したと考えられています。
オランウータンも、例外ではありませんでした。WWFインドネシアは、1997年にインドネシアで起こった森林火災では、およそ200万ヘクタールもの広大な森が焼け、ボルネオ中央部から西部、スマトラの南部において何千もの火災が発生したと報告しています。 ボルネオ島西部の国立公園を中心とした一帯は、オランウータンにとって重要な生息地でしたが、火災後にはその数が激減してしまったといわれています。
またこの時、マレーシアのサバ州とサラワク州でも森林火災が発生しました。何百頭ものオランウータンが火災によって焼死したと見られ、またそれ以外にも違法なペット取引のために捕獲されたり、火災とヘイズ(有害な煙霧)から逃れようと村に出てきたオランウータンが村人によって殺されるなどの被害も出ました。
小さな規模のものを含めると、熱帯林の火災は毎年起きています。火災が起きやすくなっている理由には、伐採が進んだことで空気の通りがよくなり、もともと閉鎖され、湿度の高かった熱帯林が乾燥したこと、農園や人工林を作るために人が森に火をつけていること、またエルニーニョなどの異常気象などがあげられます。

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密猟・密輸
ペットとしての違法取引も、オランウータンの生存を脅かす脅威の一つです。
ワシントン条約によって輸出入の禁止されている動物であるにもかかわらず、毎年いろいろな国で、オランウータンの密輸が摘発されています。特に台湾では、1995年から1999年にかけて、およそ1000頭ものオランウータンが違法に輸入されていたという報告もあるといいます。日本でも、1999年に大阪のペットショップで4頭のオランウータンが売られていたという衝撃的なニュースがありました。
オランウータンは成長すると体が大きくなり力も強いため、売り買いされるのは、たいてい子どものオランウータンです。子どもを捕まえるために、まず母親が殺され、しかも輸送される途中で、多くの子どもは死んでしまいます。生息地の保護、火災の予防、違法取引の取り締まりなど、オランウータンを絶滅の危機から救うためには、多くの課題が残されています。





