黄海エコリージョンは、世界的に見ても生物多様性の高い、生物の宝庫です。いくつもの国の国境を越えて広がるその海域には、多くの哺乳類や鳥類、魚類、軟体動物、そして植物や藻類が生息しています。このことは同時に、黄海が魚介類をはじめとするかけがえのない資源の源であり、人間にとっても重要な自然環境であることを物語っています。
生物多様性とは?
生物多様性とは、地球の各地に存在するさまざまな生きものと、そのつながりのこと。河口、干潟、湿原、そして大陸棚といった、多様な景観に恵まれた黄海にも、それぞれの環境に適応した多くの生命が息づき、互いにかかわりあいながら生きています。
自然環境の保全を考える時、この生物多様性の豊かさ、つまりその環境に生きる生きものの多様さとその数が、一つの大きなポイントになります。多様性の高い自然を守ることは、それだけ多くの野生生物と、そこから生み出される資源を守ることにつながるからです。
黄海エコリージョンにも、数多くの多様な野生生物が生息しています。
黄海の野生生物
哺乳類
黄海および渤海では、17種の鯨類が確認されており、その中には、長江の河口を重要な生息域とするスナメリなどの小型鯨類も含まれています。また、アザラシなどの海獣類も4種確認されているほか、朝鮮半島南西部の河口域や入江といった沿海部には、ユーラシアカワウソも生息しています。
鳥類
黄海エコリージョン内の海域や、沿海部に広がる広大な湿地、干潟や湿原などは、多くの水鳥の生息場所です。ここには少なからず、シベリアなどから渡ってくる渡り鳥も含まれています。中国ではこれまでに182種の水鳥が記録されており、韓国でも162種が確認されています。
魚類
黄海および渤海では、これまでに300種以上にのぼるともいわれる魚が確認されています。多様かつ巨大な資源量を誇る、この黄海エコリージョンの海は、漁業を営む沿岸の人々の重要な食物となり、収入源になっています。
軟体類
アサリ、ハマグリ、イカ、タコ、エビ、カニ、ウニ、ヒトデ、ゴカイ、ナマコ... 黄海エコリージョンには、多様な海の無脊椎動物が生息しています。この中には、昔から沿岸の人々の大切な食糧源となり、今では水産資源として価値の高い生きものも少なくありません。
植物
黄海では沿岸性の植物(維管束植物)が数多く生育しています。この植物群には、砂丘や海岸、満干に応じて潮に浸される湿地、浅い海の海底など、多様な景観で成育する植物が含まれています。 代表的な植物種としては、マツナ、アツケシソウ、アマモ、ヨシ、シオクグ、シチメンソウの仲間が知られています。
海藻
黄海は、ワカメなどの海藻類が豊富な海です。とりわけ多いのは、珪藻類などの植物プランクトンで、海域によっては300種以上が確認されています。海藻類は生態系の基盤を支える重要な生物であると同時に、食用として、また工業用の化学物質や、医薬品の原材料としても活用される、貴重な海の恵みになっています。










