黄海および渤海(黄海の北に位置する海域)では、17種の鯨類が確認されており、その中には、長江の河口を重要な生息域とするスナメリ(Neophocaena phocaenoides)などの小型鯨類も含まれています。また、アザラシやアシカなどの海獣類も4種確認されているほか、朝鮮半島南西部の河口域や入江といった沿海部には、ユーラシアカワウソ(Lutra lutra)も生息しています。
海氷の上で繁殖するゴマフアザラシ
黄海で見られる哺乳類の中で、最もよく知られ、なおかつ珍しい動物は、ゴマフアザラシ(Phoca largha)です。
冬になると、黄海エコリージョンの海も一部が凍結しますが、特に広範囲が凍結するのは、黄海の北西部に位置する黄河の河口、渤海の海。ここには毎年11月頃、海に氷が張るようになると、ゴマフアザラシがやってきて、海氷の上で出産します。
この海域に姿を見せるゴマフアザラシの個体群は、地理的、遺伝的に、他の北西太平洋のゴマフアザラシ個体群から離れた、特殊な群ではないかと考えられています。これを明らかにするためには、更なる遺伝的な調査が必要ですが、黄海エコリージョンの外のゴマフアザラシとは生息域が離れていることから、この個体群は黄海周辺だけで見られる、珍しい群である可能性が考えられます。
狩猟と保護の歴史
黄海では過去に、海棲哺乳類の捕獲が盛んに行なわれていました。記録によると、20世紀前半には、日本やロシアの漁船によって、韓国沿岸の海域で盛んに捕鯨が行なわれていました。
韓国も、1950年代になると沿岸域で捕鯨を開始。1970年代までに、黄海の北部や東シナ海にまで捕鯨の対象地を広げました。韓国は、1980年代半ばにIWC(国際捕鯨委員会)に加盟した後は、大部分の捕鯨を中止しました。
中国では現在、鯨類のすべては、国の第2級保護動物に指定されています。ゴマフアザラシも、かつては狩猟の対象とされ、多い年には500頭近くが殺されていましたが、1983年には狩猟が禁止され、現在はクジラと同じく第2級保護動物となっています。
ゴマフアザラシについては、韓国と北朝鮮の国境付近に位置する非武装地帯内の海域が、安定した生息場所になっており、繁殖期を終えたゴマフアザラシ350頭以上が、夏をここで過ごすことが知られています。


ゴマフアザラシ (C)H.Saku /WWF Japan

スナメリ (C)WWF-Canon/Michel GUNTHER
| 黄海エコリージョン 生態的重要地域【哺乳類】 | |
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| 濃い青色が塗ってある地域が哺乳類にとって特に重要な生息地です。 |
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