ページ内を移動するためのリンクです。

活動トピック

黄海エコリージョン保全プログラム

WWFジャパン2002年から、黄海エコリージョンの保全プログラムを開始しました。このプログラムは、日本、中国、韓国の三つの国のNGOと研究機関が協力して一つの海の環境保全に取り組む、先駆的な国際活動です。これは同時に国家間で、また沿岸域それぞれの地域で、自治体や研究者、NGO、教育関係者など、社会のさまざまなレベルで人々が協力し、持続可能な未来作りをめざす取り組みでもあります。

黄海エコリージョンの保全

WWFジャパン2002年4月から、この世界的に重要な海の自然を保全するため、黄海エコリージョンの保全プログラムを開始しました。 エコリージョンとは、「グローバル200」に選ばれた、約200の重要かつ代表的な自然環境です。
このエコリージョンは人間が引いた国境に関係なく、自然のつながりと広がりを基本にして設定されているため、海域や山脈、森林のような広大なエリアの保全を図る際には、とても有効な枠組みになります。

中国、韓国、北朝鮮の3カ国に沿岸を持つ黄海エコリージョンでも、国境を越えた立場から、現在その環境を保全する「黄海エコリージョン保全プログラム」が進められています。このプログラムは、WWFジャパンが、韓国のKORDI(韓国海洋研究院)とWWF中国、そして主に中韓日の研究者に呼びかけ、取り組んでいるものです。

広大な海の環境を守るために

黄海のような広大な海洋環境で保全活動を行なうのは、とても大変なことです。そこでWWFは、黄海の中で特に重要なエリアをまず明らかにし、その場所の保全を優先的にすすめてゆくことにしました。
黄海エコリージョン保全プログラムは、3つの戦略的アプローチから実施されています。

調査研究活動

エコリージョン内の優先保全地域を明らかにする

まず、日本、韓国、中国の科学者の協力のもと、渡り鳥やアザラシ、魚類や貝など、さまざまな野生生物の生息地の評価を行ないます。そして、それぞれの生物にとって重要なエリアを明らかにして、その地図を重ね合わせ、黄海の中で、より重要な場所を選び出します。また沿岸域でどのように水産資源が利用されているか、また黄海の環境の現状や、地域の人々に対する働きかけの方法などについても検討します。

地域支援活動

優先保全地域で行なわれる地域主体の環境保全を支援する

科学的な調査によって明らかにされた優先保全地域を対象に、いくつかの地域で人々への働きかけを行ない、自治体や学校、そして漁業などに関わる人々と、黄海の大切さ、豊かさについて、意識や考え方を共有し、自主的な環境保全に取り組んでもらうことを目指します。また同時に、水産資源の保全や、その持続的な利用の方法の確立も目指してゆきます。

政策提言活動

沿岸域を広く対象とした地域の環境活動を支える政策作りを促進する

優先保全地域で行なわれている地域でのさまざまな活動を、地域の振興策として定着させ、また他の沿岸地域にも広めてゆくために、これらの取り組みを後押しする政策を、各国や国家間で新しく策定することを目指します。水産資源の保全やその利用方法についても、ルールづくりを行ない、ゆくゆくは黄海エコリージョン全体に、保全活動を拡大してゆきます。

取り組みを支える協力体制

黄海エコリージョン保全プログラムは、日本、中国、韓国のNGO(民間団体)や政府関係者、さまざまな分野の研究者、そして黄海沿岸で活動する地域の団体、企業など、数多くの協力者のもとで進められています。国境を越え、一つの海の環境を未来に引き継ぐために、協力と信頼の関係が結ばれていることも、この取り組みの大きな特徴です。
現在までに、以下のような主体が、このプログラムを実施し、また支えてきました。

国際機関・団体

WWF (世界自然保護基金)

WWFは世界約100カ国に活動のネットワークを持つ、世界最大の民間自然保護団体です。黄海エコリージョン保全プログラムについては、日本の事務局であるWWFジャパンが、各国関係機関から協力者を募って計画を立案。WWF中国は中国国内で活動を支援し、黄海沿岸での活動をサポートしています。WWF香港は香港マイポ自然保護区で長年にわたり沿岸湿地保全の活動経験を持っており、その経験を生かし黄海エコリージョンの保護区管理者研修などを支援しています。WWFインターナショナルは主に国際的な広報面からプロジェクトをサポートします。

UNDP(国連開発計画)

UNDPは「国連開発計画/地球環境ファシリティ黄海プロジェクト」において、WWFの「黄海エコリージョン優先保全地域マップ」活用し、中国、韓国における地域共通の環境保全政策の実施を目指しています。このUNDPとWWFの協力は、国際的なレベルでの黄海保全政策の実現につながるものです。

研究機関・研究者

KORDI (韓国海洋研究院)

KORDIは韓国を代表する海洋研究機関の一つで、韓国国内での黄海エコリージョン支援プロジェクトの実施事務局として活動を支援します。

KEI(Korea Environment Institute)韓国環境政策評価研究院

KEIは環境政策や環境技術の研究開発に取り組む研究機関で、黄海を含む海と川の接点である河口域の環境保全に取り組んでおり、黄海エコリージョン保全プログラムの第一期で社会経済的分析や地理情報システム(GIS)マップ作りを支援しました。

Sundosoft

Sundosoftは韓国の地理情報システム(GIS)企業で、黄海エコリージョンの160種類以上の多様な生きものにとって重要な生息地を一枚一枚地図化する作業をボランティアで支援しました。

研究者

日中韓の研究機関や大学に所属する以下の分野の研究者は、それぞれの国の生きものデータを元に多様な生きものにとって重要な生息地を評価し明らかにしました。また国際ワークショップでの日中韓の研究者同士での討論を通じて、生物多様性保全上特に重要な「優先保全地域」を特定しました。日本からは東京大学海洋研究所白木原国雄教授にご協力をいただき、過去の日本の豊富な漁業データを活用した評価を行うことができました。
(協力を得た研究者の専門分野:海棲ほ乳類、鳥類、魚類、漁業資源、海産無脊椎動物、塩生植物、海草類、環境政策)

各国政府機関

中国 国家海洋局

中国国家海洋局は海洋管理を担う中国政府の一部門で、国連開発計画・地球環境ファシリティ黄海プロジェクトの中国政府の窓口として黄海の環境政策立案実施を推進しています。WWFは、国家海洋局と情報交換をし連携しながら黄海エコリージョン支援プロジェクトを進めていきます。

韓国政府 海洋水産部

海洋水産部は海洋管理を担う韓国政府の一部門で、国連開発計画・地球環境ファシリティ黄海プロジェクトの韓国政府の窓口として黄海の環境政策立案実施を推進しています。KORDIとWWFは、海洋水産部と情報交換をし連携しながら黄海エコリージョン支援プロジェクトを進めていきます。

地球環境基金

地球環境基金から以下の活動に対して助成金を頂き、黄海エコリージョンでの環境保全に取り組むことができました。
活動団体:世界自然保護基金ジャパン
活動名:「黄海(中国、韓国)生態区の干潟・沿岸域の生物多様性保全のための普及教育活動」(助成金額4,700,000円)(平成14年度助成)
活動団体:WWF Beijing Office(WWF中国)
活動名「中日韓三国に囲まれた、黄海域沿岸の生物多様性保全・優先地域マップの作成と普及」(助成金額5,500,000円)(平成17年度助成)

企業

パナソニック株式会社

パナソニック株式会社は、WWFのグローバルなコーポレート・サポーターとして、黄海エコリージョン支援プロジェクトの活動を資金面から全面的に支援しています。社会貢献活動の一環として、7年間にわたり長期的に生物多様性の保全活動に支援を行なうのは、日本の企業としては初の事例です。

環境NGO・地域の市民団体

黄海エコリージョン保全プログラムの進行

2002年に開始された、WWFの黄海エコリージョン保全プログラムは、現在までに、優先保全地域を明らかにしたマップの制作が完了し、各優先保全地域における環境保全活動への支援が開始されています。今後は、それぞれの地域での活動の進行と成果を確認しながら、取り組みを黄海全体に広げてゆく活動を目指します。

2002年
4月 黄海エコリージョン保全プログラム開始。
10月 中韓の協力をめざし、ワークショップを開催。韓国の協力機関、および中国の黄海エコリージョン担当者を日本に招いてワークショップを行ない、地域で干潟の活用と保全に取り組んでいる佐賀県鹿島市を訪問。干潟を地域振興に役立てている例などについて話を聞き、それを基に、黄海の普及・啓発プログラムを検討。
2004年
5月 黄海エコリージョンの生物多様性に関する調査のための準備会合を開催。日本・中国・韓国の3カ国から研究者と行政担当者が参加し、黄海の中で重要な生息地を選定するための基準づくりを行なう。調査の対象となる生物種や候補地も選定。
2005年
3月 UNDP(国連開発計画)と、黄海の海洋生態系保全のためのプロジェクトにおいて、協力関係を結ぶことに合意。覚書への調印を行なった
4月 中国、韓国のNGOおよび研究機関と共に、中国の青島で、黄海エコリージョン生物多様性ビジョン国際ワークショップを開催。黄海エコリージョンの中で、優先的に保全すべき地域を選定する。
2006年
12月 黄海エコリージョン 優先保全地域マップを広く一般に公開。 中国の海南省で開催された国際会議「東アジア海洋会議2006」において発表した。
2007年
9月 「黄海エコリージョン支援プロジェクト」が北京で正式に発足。黄海エコリージョンの各地で取り組まれる、地域社会による環境保全への支援活動が始まる。そのための助成団体の募集を開始。
12月 助成団体を決定。