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活動トピック

トラの分布域

トラは20世紀の初めまで、アジア大陸に広く生息していました。しかし、その生息域は100年間で9割以上が失われ、トラは減少の一途をたどってきました。現在も、トラの生息する自然環境は、残された場所の多くで、危機に瀕しています。

▲100年前のトラの生息域(推定)

失われ続ける生息域

森が開発などで失われ、人里が森の奥まで広がると、人とトラの接触や衝突が起きるようになります。このことは、危険な動物とみなされたトラの駆除を増やすだけでなく、密猟の機会も増やすことにつながります。こうして同時に進む自然破壊と密猟は、トラだけでなく、さまざまな野生動物を各地で深刻な絶滅の危機に陥れてきました。

現在のトラの分布域

現在、インド亜大陸にはベンガルトラが、極東ロシアの針葉樹林にシベリアトラが、中国南部の亜熱帯~温帯の森林にアモイトラが、スマトラの熱帯林にスマトラトラが、そして、ミャンマーからベトナムにかけての熱帯林にインドシナトラが生息しています。

各国にあるトラの生息地は、大小さまざまですが、そのほとんどは相互につながりをもっておらず、将来的にはトラが生き残れないような、分断された生息地になっています。
このことは、食物などの不足や、近親交配による遺伝子の劣化を引き起こすおそれがあるため、保護の上でも大きな問題です。

上記地図 2008 IUCN Red List of Threatened Speciesを基に作成

インド亜大陸

インド亜大陸を主な生息地とするベンガルトラは、インド、バングラデシュ、ネパール、ブータン、ミャンマー西部に分布しています。

インド亜大陸の中で、トラの分布域として特に重要なのは、インドとバングラデシュにまたがるガンジス川河口のスンダーバンズです。ここにはマングローブに覆われた、1,000平方キロにおよぶ広大な大湿地帯が広がっており、両国がそれぞれの領土を国立公園に指定しています。これを一つのまとまった保護区としてみると、スンダーバンズは世界最大のトラの生息地になります。

ネパールでは、インドとの国境にまたがるチトワン国立公園、バルディア国立公園とスクラ・パンタ野生生物保護区、パルサ野生生物保護区に主に生息しています。
ヒマラヤ山脈のふもとに位置するブータンには、トラの生息に適した環境が多くありませんが、わずかながら生息が確認されています。

東南アジア

ミャンマーからベトナムにかけて広がるインドシナ半島一帯は、インドシナトラとマレートラの生息地です。また、スマトラ島には島の固有亜種スマトラトラが生息しています。これらのトラの生息環境である熱帯雨林は、調査が非常に難しく、今も分からないなことが多いため、推定個体数にはかなりの幅があります。しかし、各地で熱帯林の伐採が進んでいることから、深刻な個体数の減少が起きていると考えられています。

 ミャンマー

内政の混乱により、ミャンマーでは長い間、トラの生息状況などに関する調査や管理が行なわれてきませんでした。現在も実際にどのくらいの数が生息しているかよく分かっていません。

 タイ

20カ所近い保護区でトラが生存していると考えられていますが、フアイカカエン・トゥンヤイ、カオヤイ・タブァン、カエンクラチャン、オムコイ、プキエオを除いた保護区では、生息数はごくわずかになっています。推定生息個体数にも大きな幅があります。

 ベトナム

ベトナムにはトラの生息に適した森が残されていますが、11カ所ある保護区ではトラの個体数についての正確な情報はありません。ムオンネを別として、他の保護区は500平方キロ以下と小さなものばかりです。保護区の外でもトラの生存が確認されていますが、おそらく国内の総数は100頭ほどと考えられています。

 カンボジア

長年にわたる内戦のため、野生生物の調査が行なわれていませんでした。国内にはわずかながら、まだトラが生息していると推定されていますが、保護区に隣接した地域で大規模な森林伐採などが実施されると、わずかに残るトラ個体群が壊滅的な打撃を受ける可能性があります。1994年には、350万ヘクタールにおよぶ森林が、法律で保護されることになったものの、この時点ですでに大部分の保護区は危機的な状況に追い込まれていました。

 ラオス

ラオスにはかつて、トラが広く生息していたとみられていますが、国内の政治的混乱などのため、生息状況についてのくわしい調査が行なわれてこなかったのが実情です。保護区の設立計画も実現していません。一方で、トラの生息に適した地域の多くで、開発計画が進められていたり、密猟が起きているという指摘がなされています。

 マレーシア

マレー半島の熱帯林にはマレートラが生息しています。最大の保護区タマン・ネガラ国立公園を別としても、3万平方キロに及ぶ野生動物保護区や森林保全地域があり、その各地で生息が確認されています。しかし、平地部では森林の伐採が進み、今のこされている山地の森も同様の危機にさらされています。また、トラが家畜や人を襲う、といった問題も起きています。

 インドネシア

インドネシアには、かつてトラの3つの亜種が生息していました。しかし、20世紀の100年間に、ジャワ島に分布していたジャワトラと、バリ島に分布していたバリトラは絶滅。残っているのはスマトラ島の熱帯林にすむスマトラトラだけとなりました。推定ではスマトラ島にある5カ所の国立公園と2カ所の保護区を中心に400~600頭が生息していることがわかっています。しかし、その多くは、生息地の熱帯林の分断と、人間との衝突、そして密猟によって、生存が脅かされています。

中国

かつて中国にはかなりの数のトラが生息していました。黄河以北の北東部にはシベリアトラ、長江流域にはアモイトラ、南部国境地帯にはベンガルトラやインドシナトラが生息していました。しかし、今日生き残っている野生のトラは、ほとんどいないと見られており、まさに絶滅寸前の状況です。
華南に生息するアモイトラについては、1990年の調査で足跡や掻き傷などが湖南、広東、江西、福建省の11カ所の保護区で見つかりましたが、湖南省の虎坪山と武夷山を別にすると、手つかずの森林や草原地で400平方キロ以上のまとまった広さを持つ生息地は、この時点ですでに残っていませんでした。この時、アモイトラは20~30頭ほど生き残っていると推定されましたが、その後、確実な記録は無く、野生の個体は絶滅した可能性が高いとみられています。また、北東部に生息していたシベリアトラについては、1990年に北朝鮮国境付近の長白山脈で目撃情報がありました。現在は、ロシアとの国境付近でわずかに見られることがありますが、中国国内のシベリアトラは約20頭ほどと推定されています。

極東

ロシア沿海地方のシホテ・アリニ山脈にシベリアトラが生息しています。1996年の調査では個体数が500頭以下という結果がでていますが、その後は個体数が減少していると見られています。
シベリアトラの姿はシホテ・アリニ、ウスリー、ラゾフスキーの保護区で確認されています。中国との国境付近、ウラジオストックのケトロパヤ・パジ保護区にも生息していることがわかりました。
WWFをはじめロシアで保護活動に取り組んでいる人々は、新しい国立公園・国立保護区構想を計画し、生息地の保護拡大をめざしています。

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