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WWFの活動

生物多様性条約会議に向け、「種の保存法」の改正を!

2010年に愛知県で開催される予定の、生物多様性条約・第10回締約国会議。WWFジャパンは、日本がこの会議のホスト国にふさわしい行動を示すため、国内の生物多様性保全の鍵となる「種の保存法」を大幅に改正する必要性を指摘しました。
 

生物多様性条約会議がやってくる!

2010年、愛知県名古屋市で、生物多様性条約の第10回締約国会議(CBD・COP10)が開催されます。

地球の生物多様性の保全を目的とした、唯一の国際条約である生物多様性条約は、年々その重要性を増しており、2008年5月にドイツで開催された第9回締約国会議も、大きな盛り上がりを見せました。

しかし、その次回会議の開催国である日本では、生物多様性条約自体について、まだ十分に認知が広がっていないばかりか、国内の生物多様性保全政策についても、多くの問題を抱えている状態です。

WWFジャパンは、日本が生物多様性条約会議のホスト国として、それにふさわしい行動を示すために、12月9日、「種(しゅ)の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)」を大幅に改正する必要があることを指摘しました。

「種の保存法」は、生物多様性条約を批准した日本が、国際法である条約の理念を国内で具体的に実施していくための法律です。しかし、1993年の施行以来、大きな改正が行なわれず、日本の生物多様性や希少な野生生物の保全を前進させる、十分な手立てになってきませんでした。

2008年5月にドイツのボンで開かれた、第9回生物多様性条約会議。世界から1万人以上が集まる、一大イベントとなった。

沖縄県で続けられている、希少種ジュゴンと、その生息海域の保全を求める活動。ジュゴンの生息数は国内に50頭未満といわれるが、「種の保存法」の保護対象種には指定されていない。

改正が求められる「種の保存法」

そもそも日本は、世界中から多くの野生生物を輸入している、一大消費国。その立場からも、国際的な責務を果たす必要があります。

WWFジャパンは、生物多様性条約会議が日本で開催される2010年を機に、実効性の乏しい現在の「種の保存法」を改定に向け、6つの問題点を指摘しました。

「種の保存法」の改正については、2008年5月に可決成立した「生物多様性基本法」の附則第2条にも、同法をはじめとする生物多様性保全に資する関連法の改正がうたってあります。

何より、生物多様性条約会議が名古屋で開かれる、2010年の通常国会で可決・成立させるためには、2008年度から早急に着手しなければなりません。

ペットとして需要の高いリクガメ類をはじめ、日本は世界から大量の野生生物を輸入しており、密輸も多発しています。このような消費は、世界の生物多様性の劣化を引き起こす原因にもなっています。

種の保存法の問題点

1. 「国内希少野生動植物種」に指定されているのはわずか81種

国が「種の保存法」で保護を約束する「国内希少野生動植物種」は、現在のところ81種。新規の指定は、あまり進んでいません。
これに対し、環境省が作成しているレッドリスト(日本の絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)には3,155種の野生生物が掲載されています。
この危機にある野生生物の種数と、保護対象となっている種の数の差は、保全対策の遅れを物語るものといえます。

2. 特定の地域で絶滅の危機にある野生生物は対象外に

「種の保存法」では、絶滅の危機にある野生生物を、種(しゅ)という分類の単位で選んでいます。しかし、この選び方だけに頼ると、四国や紀伊半島のツキノワグマ個体群のように、その地域で絶滅寸前の危機にさらされている野生生物が、保護の対象から外れてしまいます。

3. 公共事業は適用除外!

大規模な公共事業が、日本の自然環境と生態系に、大きな影響を及ぼしていることは、よく知られています。日本で最も豊かな海といわれた、九州有明海の諫早湾(いさはやわん)干潟をつぶして行なわれた、国営諫早湾干拓事業などは、その代表的な例です。
しかし現在の「種の保存法」には、これらの公共事業が適用されずに済むという規定があり、貴重な自然を守る力を発揮できていません。

4. 絶滅のおそれのある野生生物の生息地を守る保護区の設置が進まない

野生生物を守るためには、十分な自然の残る生息環境を保全しなくてはなりません。そのためには、生物の重要な生息地を特定し、保護区を設置してゆく方法が有効です。しかし、「種の保存法」に基づいて作られた『第三次生物多様性国家戦略』では新たな保護区の設置について言及していません。貴重な自然が残る土地の所有者に対し、免税措置を取るなどの政策が必要とされています。

5. 市民からの提案を活かせない

日本の「種の保存法」に相当する、アメリカの法律「絶滅危惧種法(Endangered Species Act)では、絶滅の危機にある野生生物の保護を、市民が請求できるようになっています。
この仕組みは、京都府や徳島県の希少種保護条例にも盛り込まれており、京都では実際に住民の提案によって、府の保護動物が新たに指定された例がありました。
市民の見解を政策に直接反映させるこのような仕組みが、「種の保存法」の中にも必要です。

6. 罰則規定があまく、再犯が多い

「種の保存法」に対する違反は、罰則の対象になりますが、その内容は、最高で懲役1年、罰金100万円と、きわめて軽いものです。数十万から数百万という高値で、希少な野生生物を海外から密輸する犯罪が多発する中、これでは十分な抑止効果が期待できません。罰則をもっと厳しいものにすることが求められます。

 

記者発表資料

2008年12月9日
生物多様性条約第10回締約国会議にむけて、何よりも「種の保存法」の改正を期待する

2008/12/09

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