2008年11月24日、モロッコのマラケシュで開かれていた大西洋まぐろ類保存委員会(ICCTAT)の年次会合が閉幕しました。今回の会合で焦点をなっていたのは、資源状態の悪化が著しく、かつ違法な操業が指摘され続けながら何ら問題が解決されていないクロマグロ(本マグロ)の漁業管理をどう改善するかという点でした。
マグロ資源の持続可能な利用を求める動き
今回の会議の開催に先立ち、WWFでは、持続可能なレベルを大幅に超えた乱獲状態が続けば、近くこの海域の本マグロ資源が枯渇することを警告。本会合に際して、以下の3点をICCAT加盟諸国に対し求めてきました。
本マグロ漁業の一時停止または総漁獲量の大幅な削減
産卵海域や生育海域での禁漁区設定
産卵期である5、6月を含む禁漁期間の延期
また、2008年9月には地中海クロマグロ流通の日本国内最大手である三菱商事が「クロマグロに関する声明」を発表。資源管理の強化を求めるとともに、資源の持続性を前提とした本マグロ産業が実現されなければ、本マグロビジネスへの関与を見直す、と明言するに至りました。
世界の海のマグロ類の資源管理にかかわる国際機関。海域や魚種によって管轄が異なる。
くわしく見る
一輸入企業が、資源問題に対し声明をもって言及するということは、過去に例が無く、クロマグロの資源問題がクロマグロを取り扱う業界全体の問題となっていることを浮き彫りにしました。
さらに水産庁も、ICCATの科学委員会が勧告する持続可能な漁獲量に基づき、クロマグロの総漁獲量を年間1万5,000トン以下に削減する、と事前にその交渉姿勢を明らかにし、国内関係者や各国代表の説得に努め、強い決意で臨みました。
止まらない過剰な漁獲
しかし、ICCAT会合が開幕すると、主要生産国であるヨーロッパ諸国や北アフリカの国々は、1万5,000トン以下に総漁獲量を削減する提案に、強く反発する姿勢を見せました。本マグロビジネスの急成長により、自国で増加し続けてきた漁船や畜養場の経営維持に支障をきたす、ということがその理由でした。
こうした抵抗から、日本政府も当初の1万5,000トン以下という適正ラインへの削減は不可能と判断し、結局、漁獲ルールが遵守されているかどうかの監視体制を強化するものの、2009年度の総漁獲量は2万2,000トンにするという提案で合意。WWFが主張してきた5月、6月を禁漁期間とする案も実現しませんでした。
WWFは、最後のチャンスともいえる2008年度の会合で、ICCATが有効な管理措置の合意に至らなかったことに対し、強く抗議。また、将来的にも地中海、大西洋のクロマグロ資源の恵みを享受できるよう、資源管理体制の確立を今後も強く求めました。
また、クロマグロが国際的な輸出商品となっていることから、「漁獲統計証明制度」をはじめ、国際的な貿易に関連する仕組みを有効活用することで、違法・脱法漁業からのクロマグロを買わない、取り扱わない、消費しないことを日本政府に強く求めることにしています。
地中海のクロマグロが絶滅し、人々の昔話にしか登場しない幻の魚になる前に、地中海本マグロの80%以上を消費している日本の果たすべき役割に注目が集まっています。
関連情報
WCPFCも閉幕
12月12日、ICCAT同様注目されていたWCPFC(中西部太平洋太平洋マグロ類条約)の年次会合も閉幕しました。
この会合では近年、資源量の減少が危惧されているメバチマグロの漁獲量を、2009年から3年間で30%削減することが合意されました。
また、小型魚漁獲の原因となっていた集魚装置の使用についても規制措置がとられることとなりました。次回の年次会合では、太平洋における、より具体的なマグロ漁業の管理体制の構築が大きな課題となります。
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