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WWFの活動

IUCNの「ジュゴン保護勧告」が採択される

 IUCN(国際自然保護連合)の第4回世界自然保護会議が、2008年10月5日から14日にかけてスペイン・バルセロナで開催されました。各国政府代表やNGO関係者、研究者など8000人以上が参加しました。 この会議には、WWFジャパンを含む日本の環境NGO(ジュゴン保護キャンペーンセンター、日本自然保護協会、エルザ自然保護の会、日本雁を保護する会、日本湿地ネットワーク)より、「2010年国連国際生物多様性年におけるジュゴン保護の推進」勧告案が提出されました。

日本からの参加とジュゴン保護を求める動き

 この会議には、WWFジャパンを含む日本の環境NGO(ジュゴン保護キャンペーンセンター、日本自然保護協会、エルザ自然保護の会、日本雁を保護する会、日本湿地ネットワーク)より、「2010年国連国際生物多様性年におけるジュゴン保護の推進」勧告案が提出されました。結果は、賛成多数で採択。正式なIUCN勧告となりました。

 

 勧告案の内容は次の通りです。

  1. UNEP(国連環境計画)およびボン条約(「移動性の野生動物種の保護に関する条約」;2005年現在95カ国が加盟、日本は未加盟)に対して、国連の2010年国際生物多様性年には特にジュゴン保護を推進すること

  2. 日本をはじめとするジュゴンの生息国に対して、ジュゴンへの有害な影響を最小化し、ジュゴン保護のためのボン条約覚え書(*)へ参加すること

    (*)ボン条約覚え書=日本は未加盟ではあるが、条約での「合意事項の覚え書」に参加することは可能である。

  3. 日本政府に、ジュゴン生息地でのUSMC(米国海兵隊)基地建設に関する環境アセスメントにおいては、科学者、NGOと相談して、環境保全と野生生物保護を考慮し、すべてのオプション(基地を造らないというゼロ・オプション)を含めて実施すること

  4. 日本政府に、沖縄ジュゴン生息地でのUSMC基地建設による有害な影響を回避または緩和するための行動計画を作成し公表すること

  5. アメリカ政府に、環境アセスメントを完遂し保全の行動計画を策定するために、日本政府と協働すること

  6. IUCN事務総長および種の保全委員会に対して、アンマン(2000年)、バンコク(2004年)の勧告にもとづいて、国連の2010年国際生物多様性年の中でのジュゴン保護の促進をすること

(C)東恩納琢磨
(C)東恩納琢磨
(C)東恩納琢磨

 この勧告案に関する採決は、10月14日の午前の本会議で電子投票によって行なわれました。議長による勧告案が議会に提案され、日本政府、提案団体がそれぞれコメントを行ない、最後に採択が行なわれました。投票総数は、政府が104、NGOが252、合計356票でした。投票の結果は、賛成が258票、反対9票、棄権89票で賛成多数となりました。

 採択に際して、日本政府と提案団体との間で協議が行なわれました。残念ながら、ジュゴンの生息が確認されている沖縄県名護市の普天間代替基地建設に関わる環境アセスメントの実施について、双方での意見の相違があるなどといった点で、合意形成が不調に終わりました。そのため日本政府は投票を棄権しています。

これからの日本のジュゴン保護

 今回、勧告が採択されたことで、UNEPやボン条約に対して、国連の2010年国際生物多様性年には、特にジュゴン保護を推進するよう求めることができるようになります。

 ジュゴン生息国に対しては、ジュゴンへの与える有害な影響を最小限にくいとめ、ジュゴンの保護のためにボン条約への覚え書参加を求めることができます。日本政府に対しては、基地建設に関する環境アセスメント実施にあたり、環境保全と野生生物保護を考慮し、科学者やNGOとも相談しながら基地を造らないという選択肢も含めて検討することが求められ、ジュゴンへの影響を回避または緩和するための行な動計画の作成と公表が求められることになります。また、アメリカ政府に対しては、環境アセスメント実施や保全のための行な動計画策定のために日本政府と協働することが求められることになります。

 今回の勧告は、2000年のアンマン会議、2004年のバンコク会議に続き、3回目となります。通常、過去と同内容の勧告案は受理されないことになっていますが、沖縄のジュゴンに対しては連続して受理されており、その重要性が認識されているあらわれといえます。特に2010年の国際生物多様性年と関連づけたことや、日本がまだ加盟していないボン条約への加盟促進への動議が評価され、今回の勧告案採択にいたったとも考えられます。

 2010年の生物多様性条約会議は名古屋市で開催されることが決まっています。2010年は生物多様性を考えるにあたって節目の年となるでしょう。絶滅危惧種である沖縄のジュゴンの生息域に、基地建設を行なうという日本政府の選択肢が、現代における世界の自然保護の潮流から大きく外れていることが今回の会議でも明らかになったといえます。

関連情報

2008年10月14日 Media Advisory
IUCN勧告「2010年国連国際生物多様性年におけるジュゴン保護の推進」が採択される
 

IUCN勧告(仮訳)

2008/10/14

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