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WWFの活動

混獲の問題

漁業で目的外の生物を捕獲してしまうことを混獲といいます。たとえば、マグロ漁の延縄漁ではウミガメや海鳥が、巻網漁業ではウミガメやイルカ、獲る必要の無いマグロの幼魚が混獲されており、大きな問題になっています。仮に、一隻の漁船が混獲してしまう生物の量は少なくても、全世界で操業する漁船の数を考えると、その影響ははかりしれません。

混獲 ~「無駄」に失われてゆく命

漁業の際に、獲る必要の無い生物を、誤って捕獲してしまうことを「混獲」といいます。

混獲の犠牲になりやすいカモメやアホウドリ、ミズナギドリなどの海鳥は、食物となる魚を求めて、海上で操業する漁船の近くに集まります。漁船が捨てる不要な漁獲物や、釣り針につけた餌を狙っているためです。釣り針に付けられた餌を海鳥が食べると、そのまま針を飲み込み、死んでしまうことも少なくありません。

これらの海鳥の中には、その数1000羽ほどと言われ、日本国内の無人島に2カ所しか繁殖地が確認されていないアホウドリをはじめ、世界には絶滅の危機に瀕している海鳥も数多くいます。

また、全種が絶滅の危機にあるウミガメも、混獲されることが多くあります。水鳥と同様、餌と一緒に釣り針をウミガメが食べてしまうためです。さらに、まき網に絡まってしまう例も数多く起きています。

ウミガメは肺で呼吸する動物なので、漁具などにひっかかって長時間海中に放置されると、溺れて死んでしまいます。また、生きたまま船上に引き上げられたウミガメも、弱っている場合が多いので、再び海に放すためには適切な処置が必要となります。

ある科学者によれば、世界で年間に5万頭のオサガメ、22万頭のアカウミガメが、混獲されていると推定されています。オサガメや太平洋に生息するアカウミガメは、海域によっては年間で90%以上も個体数が減少しているといわれています。

混獲は生態系に重大な影響を及ぼすだけでなく、漁業者にとっても大きな問題です。混獲によって、本来目的の魚を漁獲するために用いる餌が無駄になったり、漁具を破損したり、また混獲した生物の救出を行なう作業が発生すると、漁業効率が下がってしまうからです。不必要な生きものを漁獲してしまう混獲は、漁業者にとっても解決しなくてはならない課題なのです。

漁具にからまり、混獲の犠牲になったオサガメ。(C) WWF-Canon/Michel GUNTHER

洋上に広く生息するアホウドリ類も、混獲の犠牲になりやすい。(C) WWF-Canon/James FRANKHAM

混獲防止の取り組み

WWFは世界の混獲を防止する取り組みの一つとして、環境にかける負荷が少ない漁具「スマートギア(賢い漁具)」コンテストを、2005年から開始しています。このコンテストはウミガメ、海棲哺乳類、海鳥、稚魚などの混獲を減らし、かつ漁業においても実用的で、費用対効果のあるアイデアを競うものです。コンテストの最初の受賞者はthe South Pacific Commission のSteve Beverlyさんで、延縄の幹縄を重くし、ウミガメが通常生息する深さよりも、さらに深く餌を沈めて、マグロやカジキを漁獲する、というアイデアでした。

サークルフック

すでに開発されている技術の普及も進められています。
たとえば、北太西洋では、延縄漁で使われる釣り針を、従来のJ型の釣り針(Jフック)から、釣り針の先が円形に曲がっている「サークルフック」に換える取り組みが進められています。サークルフックは、ウミガメが飲み込みにくく、また引っかかっても取り外しやすい形をしているため、必要な漁獲量を維持したまま、混獲を大幅に減らすことができます。

また、WWFは太平洋でも、全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)、アメリカ国立海洋大気庁(NOAA) などと協力しながら、サークルフックの試験を行なっています。エクアドルは地元の漁業者によるサークルフックの利用試験を支援。
Jフックをサークルフックに交換した場合の、ウミガメと魚の漁獲について情報を収集しました。また、この利用試験では釣はずし機(デフッカー)を使った、ウミガメにひっかかった釣り針を安全に取り外す訓練も行ないました。

Jフック(左)と、サークルフック(右)

東部太平洋沿岸のメキシコ、グアテマラ、エルサルバドール、コスタリカ、パナマ、コロンビア、エクアドル、ペルーでも、漁業者や他のNGO、漁業当局、研究機関と協力して、サークルフックの試験が行なわれています。

日本では水産庁の補助事業によりサークフルックのマグロ延縄船への導入が進められています。2005年度に補助事業を受けてサークルフックを導入した船は45隻。今後も導入する船が増えることが期待されています。

関連リンク:

海鳥への配慮

国連食糧農業機関(FAO)では国際行動計画(IPOA)が決議され、各国は国内行動計画(NPOA)を定めることになりました。日本の行動計画は2001年にFAO水産委員会に提出されました。

トリポールの利用

その中の具体的な方法の一つが、「トリポール」という鳥除け装置を使った延縄漁です。これは、南大洋のミナミマグロの漁場でも、現在使用することがCCSBT (ミナミマグロ保存委員会)によって義務づけられている漁具で、漁船の後ろに棒(ポール)を立て、その先から鳥除けのヒモを流し、鳥が餌のついている漁具に近づけないようにするものです。
日本の遠洋水産研究所の調査では、トリポールを使うことで、鳥の混獲率を平均3 分の1 に減らすことができるとしています。しかし、この方法は海の中に投下した漁具の上にトリポールのヒモが必ず来るように、漁船の乗務員が絶えず操作しなければならないなど、課題はまだ多く残されています。

2008/9/27

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