中国・四川省を襲った大地震から約3カ月。被災地では復興へ向け、さまざまな取り組みが動き始めました。WWF中国は今後、野生のジャイアントパンダの生息地周辺で、環境に配慮した復興計画を進める取り組みを強化することにしています。WWFジャパンではこの活動を支援する緊急支援を募っており、8月にはその一部を現地に送金しました。

震災後の臥龍ジャイアントパンダ保護研究センター。施設が大きな被害を受けた。写真奥の斜面にも崩落の跡が見られる。(C)WWF China

餌となるタケを集める作業 (C)WWF China
秦嶺山脈周辺地域の集落に、テントなどの救援物資を輸送する。山間部のため、人が背負って運ばねばならない場所も多い。(C)WWF China
白水河の保護区管理事務所。(C)WWF China
龍渓虹口自然保護区周辺。いずれも大きな被害を受けた。(C)WWF China

研修会の様子。(C)WWF China
臥龍の飼育施設のパンダが各地に避難
5月12日の地震によって大きな被害を受けた、中国四川省の臥龍自然保護区の中にあるジャイアントパンダ保護研究センターからは、54頭のパンダが避難することとなりました。
臥龍自然保護区は、地震によって施設が大きな損害を受けた上、たびたび発生する地滑りや土石流などの二次災害の危険にさらされており、パンダたちの安全を確保することが難しいと判断したためです。
センターには、震災前、63頭のパンダが飼育されていました。うち1頭は地震によって死亡。1頭はセンターから逃げたまま、依然として行方不明です。
残った61頭のうち、1歳の子ども7頭を除く残りのパンダたちは、四川省雅安市にある碧峰峡のパンダ基地や、福州ジャイアントパンダリサーチセンター、広東省の番禺動物園などに移送されました。
しかし、2007年に生まれた7頭の子どもは、長距離の移動は難しいと判断され、臥龍の安全な場所に移されて保護されることとなりました。センターでは、残されているパンダの食物を確保するため、離れた場所からタケを集めてくるなど、困難な取り組みが続けられています。
秦嶺山脈周辺のアセスメントが終了
一方、四川省の隣の陝西省では、陝西省動物学会によって実施されていた震災影響アセスメントが終了しました。
このアセスメントの調査対象となったのは、秦嶺山脈にある19カ所の自然保護区と林業地1カ所です。現在、WWFと陝西省森林局では、調査報告書の検証を行なっています。
アセスメントの結果、秦嶺山脈の自然保護区の施設や日常業務、地域社会のインフラ、小規模な地域共同体の生活に及んだ被害は、WWFがプロジェクトを共同で進めてきた多くの地域社会や保護区への被害と同様、かなり甚大であったことがわかりました。
しかし、ジャイアントパンダの生息地のうち、秦嶺山脈沿いの地域については、自然環境に対する被害は現時点でそれほど大きくないことも示されました。
この結果に基づき、保護区の自然再生と地域社会の復興に関する提案がまとめられつつあります。次のステップでは、環境に配慮した復興計画を実施していく地区が、自然保護区と、地域共同体それぞれから選ばれる予定です。
白水河自然保護区の事務所再建を支援
震源に近かった四川省の岷山山脈沿いの白水河自然保護区では、幸い、犠牲者はいなかったものの、3カ所の保護官事務所が破壊されるという深刻なダメージを被りました。岷山山脈周辺では、この白水河自然保護区のほか、パンダの主要な生息地である龍渓虹口自然保護区、千佛山自然保護区なども大きな被害を受けています。
WWFは、これらの地域への支援として、まず白水河自然保護区の倒壊した保護官事務所のひとつで、移動可能な仮設事務所を建てる支援を始めました。また、保護区と隣接する集落に、緊急援助の手をさしのべるとともに、復興計画を作る上でも協力しています。
保護の現場が混乱する中で心配される大きな脅威は、ジャイアントパンダの密猟や、森での違法な伐採です。一日も早くパトロールやモニタリングなどの日常業務を再開できるようにしなくてはなりません。さまざまな活動の拠点となる保護官事務所ができれば、パトロールの拠点が確保できるだけでなく、本格的な影響調査を始めることも可能になります。
被害調査の方法を学ぶ研修会
7月24日と25日の両日、WWFは、四川地震の被災地にある自然保護区のスタッフを対象とした研修会を開催しました。
今後、どのような復興計画が必要かどうかを知るためには、まず、地震による自然保護区への影響を、調査し、明らかにすることが必要です。そこで、この研修会では、自然環境と地域の人々の暮らしの両面から、地震の影響を調べる方法について、情報を共有し、そのノウハウを学びました。
参加したのは、臥龍、王朗、唐家河、片口、千佛山、宝長溝、龍渓虹口、白水河など、12カ所のジャイアントパンダ保護区で保護活動に従事する、計26人のスタッフです。また、地元のNGOのメンバーからも参加がありました。
研修を終えたときには、すべての参加者が、復興計画に対して自分なりのビジョンを描けるようになっており、「どのように復興に取り組んだらいいか、今ひとつ思い描けなかった部分がはっきりした」「時間と資源をムダにしないよう、計画を作り直す必要があると感じた」などの声が聞かれました。WWFでは、新しいアセスメントの方法が、自然保護区を管理する現場のスタッフや、地元のNGOによって導入されていくことを期待しています。
(WWF中国からの報告より)
WWFジャパンより 緊急支援にご協力いただき、ありがとうございました! |
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