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WWFの活動

第9回 生物多様性条約締約国会議(COP9)終了 2010年に向かって何をすべきか?

今回の生物多様性条約会議では、自然保護と持続可能な資源の利用、そして遺伝資源の公平な利用が主要なテーマとなりました。
ープニングではステージに上がった子どもたちから、世界の政府の代表たちに向けて深刻な環境の危機について、メッセージが届けられました。「私たちの将来は、貴方たちの判断に委ねられている!」
毎朝7時のWWFの会議。NGO会議の報告や遺伝子資源の問題、ポジションペーパの確認、マスコミ対応、資金メカニズム、イベントの予定など、さまざまな報告と議論が行なわれました。


医療や香料に利用される植物についてのサイドイベント。WWFのブースでは原物の薬草を展示!WWFやトラフィックなどが取り組む、これらの植物の保護を目指した共同プロジェクトも紹介されました。

本会議では外来生物や保護区についての議題が次々と話し合われました。外来種については40を超える国々で、問題が深刻になっているという報告があり、51カ国と8つの環境団体から発言がありました。
WWFのサイドイベント「人と野生動物の軋轢(あつれき)」。本会議場の周辺のでは他にも、ヨーロッパで懸命に取り組まれているヒグマ保護についての展示をはじめ、さまざまなイベントが行なわれました。

WWFは違法伐採の撲滅を訴えるサイドイベントも行ないました。2010年までに違法伐採をゼロにする署名キャンペーンに各国の環境大臣に参加してもらう、というこのイベントは、世界のマスコミの注目を集めました。日本からは環境省の審議官の方に参加していただきました。
日本を服務G8諸国(ドイツを除く)に贈られた「ゴールデン・チェーンソー賞」のトロフィー。次回のCOP10開催国である日本は、今回の会議でも各国に対し、そのリーダーシップに不安を抱かせることになりました。
今回の会議で2010年に開かれるCOP10の開催地が、正式に日本の名古屋に決定しました。鴨下環境大臣の挨拶があり、愛知県知事、名古屋市長のスピーチがありましたが、その内容はまるで国際イベントの誘致に成功したかのような印象のものでした。生物多様性の問題の深刻さを十分に理解し、その解決に貢献したいという意欲がどれほどあるのか。疑問を感じさせる結果となりました。

2008年5月18日から30日まで、第9回生物多様性条約締約国会議(COP9)が、ドイツのボンで開かれました。この生物多様性条約には、現在191カ国が加盟しており、締約国会議は2年に1回開催されています。このドイツの会議は、次回、2010年に愛知県で開催される、第10回締約国会議(COP10)を迎えるにあたって、さまざまな収穫のある会議となりました。

 

地球の生物多様性の保全を目指した国際会議

1993年に発効した生物多様性条約は、地球上の生物多様性の保全を目的に、漁業に関する条約、渡り鳥などの条約、ボン条約、ラムサール条約、ワシントン条約、IWC条約、国際熱帯林協定、そして世界遺産条約の一部など、世界の自然や環境保全にかかわるさまざまな条約・協定を広くカバーした国際条約です。

今回のCOP9では、主な議題として、農業生物の多様性、山岳・森林生物の多様性、陸水生物の多様性、島々の生物の多様性、沿岸・海洋の多様性などが挙げられました。

そしてこれらのテーマに対して、地球温暖化による気候変動が生物多様性に及ぼす影響、さまざまな自然保護地域、自然と共生してきた伝統的な知識や習慣、在来の生態系を脅かす侵略的な外来生物、生物多様性保全のための技術の移転と各国の協力、ビジネスと生物多様性のかかわりなどなど、多彩な側面から議論が展開されました。

とりわけ、各国の関心が高かったのは、取り決めの作業期限が2010年に迫った「遺伝資源の利用から生じる利益を公正かつ衡平に配分すること(ABS)」についての、国際的な枠組みの作成と交渉でした。これは、遺伝子組み換え作物などを含めた、さまざまな遺伝子産業とその利益に関わる、経済的にも重要視されている問題です。

さらに、主要な議題に関する議論の他にも、会議開催中は数多くのサイドイベントが開催され、全体としては非常に規模の大きな会議となりました。

 

COP10に向けた各国の姿勢

この他にも会議では、バイオ燃料を含む農業、森林、海洋など、人類が多く利用している生物多様性の保全や、その持続可能な開発にかかわる決定の採択、「2010年目標(*)」を含めた条約の計画の見直しに関する決定、2009~2010年までの運営予算の決定などが行なわれました。

*「2010年目標」とは、条約の締約国が、世界レベル、地域レベル、各国レベルで、「2010年までに世界の生物多様性の喪失速度を低減させる」というもの。2002年に開かれたオランダでの第6回締約国会議で掲げられた。

5月28日に開かれた閣僚級会合では、ドイツのメルケル首相が森林保護のために2013年以降、現在の2.5倍に相当する年間5億ユーロ(約820億円)を国際的な森林保全活動などに拠出する考えを表明。ホスト国として他の国々をリードする、積極的な姿勢を見せました。

一方、次回締約国会議(COP10)のホスト国である日本政府は、存在感を示すことが出来ず、参加した世界のNGOからは、「ゴールデン・チェーンソー賞」を贈られる羽目になりました。
この「ゴールデン・チェーンソー賞」は元々、アマゾンの森林破壊に多大な貢献をしたブラジル人に贈られる賞ですが、最近は国際条約締約国会議で最も参加姿勢が悪い国々に贈られる賞となっています。この賞は世界のNGOが協議して受賞先を決めますが、今回はドイツを除くG8各国に贈られました。

 

重要性を増す生物多様性の問題

今回のCOP9は、世界から各国政府の代表や、さまざまな環境団体のメンバー、マスコミ関係者などが8,000名も集まり、さらに本会議以外の周辺イベントに参加した一般の人たちを含めると1万人以上がかかわった、非常に規模の大きな会議となりました。
また、会議の状況はインターネットでも同時中継されるなど、世界的にも関心の高い会議になりました。

生物多様性条約の締約国会議は、気候変動枠組み条約(温暖化防止条約)やG8会合(主要国首脳会議)などと比べると、これまではあまり注目されず、規模も大きくありませんでしたが、近年の地球規模での環境の悪化と、生物多様性の喪失に対する危機感が、この変化をもたらしたことは、間違いありません。

WWFも日本を含めた世界各地から100名近いスタッフが参加。連日、各国の代表団により積極的な生物多様性の保全を求めるロビー活動や、メイン会場の直ぐ隣に作られたWWFパビリオンでの、さまざまなサイドイベントを開催しました。とりわけお膝元のWWFドイツからは、50名近いスタッフが参加し、会議場の内外を奔走していました。

次回の会議「COP10」が開かれるのは2010年。場所は日本の愛知県です。この年は「国際生物多様性年」であり、生物多様性保全の節目となる年でもあります。COP10の成功に向け、これから日本は何をすべきか、どのような対応策が必要か、政府も日本の環境NGOのメンバーも、真剣に考えてゆかねばなりません。

 

関連サイト

生物多様性条約事務局のサイト(英文)

http://www.cbd.int/

 

関連情報

WWFと生物多様性条約

世界の生物多様性の保全と天然資源の持続可能な利用をめざすWWFの活動は、生物多様性条約の趣旨と目的に大きく重なっています。

それぞれの国のレベルにとどまらない国際的なレベルで、生物多様性の問題が話し合われるこの条約の締約国会議(COP:Conferences of the Parties)は、WWFがそのネットワークと情報を活かし、各国の政府代表たちに対し、より積極的な生物多様性の保全に取り組むよう、強く働きかけることのできる貴重な場であり、同時に地域の問題にも目を向け、保全すべき自然環境の現場の重要性や、そこで行なわれているさまざまな取り組みをアピールする機会でもあります。

WWFは生物多様性条約事務局による条約の方針策定と、開発途上国での生物多様性の保全戦略づくりに協力しています。
これらの行動計画は、国際社会と地域社会の双方で、これからの生物多様性保全のあり方を示すものであり、実際の各国の政策や、各地域での保全の取り組みに活用されるものです。過去の活動の経験や情報を基に、提案される行動計画を、曖昧でなく、実効性の高いものにしてゆくのがWWFの目標です。

写真解説

今回の会議の期間中、ヨーロッパ南東部の広域な自然環境を保全する、歴史的な共同署名が行なわれました。
この協約は、WWFとIUCNやUNDP、FAOなど複数の国際機関が協力によって実現したもので、アルバニア、ボツニア・ヘルツェゴビア、クロアチア、モンテネグロ、セルビア、スロバニアの各国が同意。複数の国々にまたがる地域の保全が実現する運びとなりました。
この地域には、ヨーロッパでは気象になってしまったヒグマやオオカミ、オオヤマネコなどが生息しています。

2008/6/20

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