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WWFの活動

難民問題と密猟:トラフィックが報告書を発表

野生生物の取引を調査するトラフィック・ネットワークは、新しい報告書『闇夜の食料(Night Time Spinach)』の中で、東アフリカの難民キャンプで起きている、深刻な食肉の不足と、野生動物の違法な採取、取引について明らかにしました。これによると、1990年代半ばに、2つの難民キャンプでは、毎週推定で約7.5トンの野生生物の肉が、違法に採取され、食べられていたことが分かりました。

(C)WWF-Canon/Michel GUNTHER絶滅が心配されるチンパンジー。保護区でも密猟が発生している (C)WWF-Canon/Michel GUNTHER

難民キャンプで大量消費される野生動物

1961年の独立直後から、難民問題に直面しつづけてきたタンザニア。この国には、1990年代半ばまでに、周辺国から80万人を超える難民が流入しました。故国へ帰還した人たちもいますが、現在もおよそ54万8,000人という、アフリカで最も多くの難民が、各地の難民キャンプに残っています。
特に、北西部のカゲラとキゴマの難民キャンプは、世界でもっとも過密状態にある難民キャンプであるといわれています。

IUCN(国際自然保護連合)とWWFの共同事業として設立され、野生生物の取引を調査・監視しているトラフィック・ネットワークは、新しく発表した報告書『Night Time Spinach(闇夜の食糧)』において、カゲラとキゴマの2つの難民キャンプで行なった調査の結果を公表しました。

報告によると、2つの難民キャンプでは、1990年代半ばに、毎週推定で約7.5トンの野生生物の肉が、違法に採取され、食べられていたことが分かりました。この背景には、まずキャンプへの食肉の配給が不足していること、そして、野生動物の肉(ブッシュミート)が牛肉よりも安価で手に入るといった理由があります。

これらの違法に入手された野生生物の肉は、日が暮れてから調理され、「闇夜の食糧」として難民キャンプ内で配られています。そして、この大量の野生動物の消費は、難民キャンプが本当ならば、食肉の供給を必要としている事実と危機感を、覆い隠してしまう一因になっています。

報告書の執筆者の一人、ジョージ・ジャンビヤは言いいます「難民を救済する国際機関は、野生動物の密猟と違法取引を引き起こしている、真の理由に目を向けてほしいと思います。それは、難民キャンプでは、動物性タンパク質の配給が不足している、という問題です」。

(C)WWF-Canon/Martin HARVEY セーブルアンテロープ(ウシ科)
IUCNの野生生物保護プログラムのジェイン・スマートは、今回のレポートの発表に際して、野生動物の減少が、ゆくゆくは地域の収入を失うことになりかねないと警告する。「ある地域から野生生物がいなくなると、その地域を訪れようという興味を抱く人が減ってしまう。そうなると、地域住民は、生物がいなくなったことを嘆くばかりでなく、経済的な負の影響にも直面することにもなるのです」。
(C)WWF-Canon/Martin HARVEY

野生動物と人の暮らしを守るためには?

タンザニアの例のみならず、大きな難民キャンプが作られると、しばしばその周辺の自然保護区が荒らされ、そこにすむ野生動物の数が劇的に減少するということがあります。家を逐われた人々が、燃料にするため樹木を伐採し、食料を得るため野生動物を捕獲するためです。
また、 内戦などが起きている場合は、そこに参加している兵士たちも、同様の行動をとります。

この結果、アフリカでは現在、チンパンジーのような希少種のほか、スイギュウやセーブルアンテロープ、カバなどの大型草食動物が、大きな影響を受けているとみられています。
IUCNの「レッドリスト」でも、サハラ砂漠以南では、大型野生動物の約2割の種が、肉として消費・取引されていることで数が減少していると指摘しています。

今回、トラフィックが発表した報告書では、自然保護団体と人道支援組織が協力して、難民の生活と自然保護を両立させる必要があると提言しています。
WWFの野生生物担当者であるスーザン・リーバーマンは、「 野生生物由来の食料に依存している難民の人々が、自然の喪失に対する大きな代償を支払う立場になろうとしている」と、アフリカの難民の現状を指摘。WWFとしても、すべての人に持続可能な未来がもたらされるように、食肉の供給を含めた、難民の「食糧安全保障」を確立するための支援を要請したいとしています。

▼レポートはこちらからダウンロードできます (英文・PDF形式)
”‘Night Time Spinach’: Conservation and livelihood implications of wild meat use in refugee situations in north western Tanzania” 
( 闇夜の食糧:タンザニア北西部の難民キャンプにおける自然保護と暮らし~野生生物の肉の利用の観点から)

共同記者発表資料

2008年1月22日 
難民キャンプでの食肉不足が大規模な密猟を招いている

トラフィックについて

トラフィックは、野生生物の取引をモニタリングする世界最大のNGOです。ワシントン条約発効を受けて1976年に設立されました。IUCN(国際自然保護連合)とWWFの共同事業として、世界22カ国に拠点を構えています。ワシントン条約事務局やIUCN、WWF、その他多くの団体と連携しながら、取引によって野生生物の存続がおびやかされないような社会ができることを目指して活動しています。

>>> トラフィック イーストアジア ジャパンのサイト http://www.trafficj.org/

2008/1/22

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