2007年12月3日から14日まで、バリ島で国連気候変動枠組み条約および「京都議定書」の締約国会議が開かれます。今回の会議は2013年以降、つまり「京都議定書」の第1約束期間が終了した後に、国際社会がどのように地球温暖化防止に取り組むかを左右する、きわめて重要な会議です。現地からの報告をお知らせします。
WWFの取り組み
WWFでは世界23カ国から集まったスタッフがチームを組み、会議での情報の収集や、他のNGOとの意見交換、政府代表団との交渉や提言、そして情報の発信に取り組んでいます。
「京都議定書」後の温暖化防止に向けて
2007年12月3日から14日まで、インドネシアのバリ島で、第13回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)および「京都議定書」第3回締約国会議(COP/MOP3)が開催されます。この会議は、2013年以降の地球温暖化防止の取り組みについて、そのロードマップが決められるかどうかがかかっている、重要な国際会議です。
また、2006年に続き、途上国で開催の運びとなった今回の会議は、森の国インドネシアが舞台ということで、温暖化と森林の問題がクローズアップされる見込みです。
現在、森林破壊によって排出される二酸化炭素などの温室効果ガスは、世界全体の温室効果ガス排出量の、約20%を占めているといわれています。二酸化炭素の吸収源としての森林については、これまで植林にばかり話題が集中していましたが、今回は熱帯雨林をはじめとする、各途上国の森林保全が注目を集めるものと考えられます。

「バリ会議」の目標と課題
バリ会議は、2013年以降、地球温暖化の防止に向けた国際的な取り組みについての、正式な交渉プロセスを決めることを目的としています。
これは、1)いつまでに 2)どのようなことを 3)どのような形で決定するか、という内容を含めた、いわば今後の国際会議の予定表を組むためのものです。

(1)いつまでに ...2009年までに合意を!
多くの国の利害が絡む温暖化防止会議は、常に紛糾し、期限内に結論が出ないのが定石。また、2013年以降の取り組みを決めるに際し、「京都議定書」に続く国際条約を発効させるとなると、それだけで1年や2年を要してしまいます。
そのため、バリ会議では、各国政府が2009年までに、2013年以降の温室効果ガス排出削減の国際的取り組みを決め、合意することを目指しています。
(2)どのようなことを ...ポスト「京都議定書」の在り方を明確にする
2013年以降の温暖化防止のため、何をテーマとして挙げるか、その議題を選びます。事前の予想では、温室効果ガスの排出削減はもちろんのこと、温暖化の影響が出ている地域や国での対応(適応)、排出削減のためのテクノロジー、そして二酸化炭素吸収源としての森林の保全などが、議題にのぼるものと考えられています。
特に、「京都議定書」を拒否してきたアメリカを巻き込むことができるのか。先進各国が、再び明確な数値を掲げた総量削減目標を設定することができるのか。また、「議定書」では削減義務を負っていなかった、開発途上国がどのような排出削減に取り組むべきなのか、などの問題が注目されます。
(3)どのような形で決定するか ...先進国のリードで温暖化防止を!
バリ会議では、2013年以降の温暖化防止計画を、どのレベルで話し合うのかを決めます。
これが、「国連気候変動枠組み条約」の締約国会議(COP)で話し合われるのか、アメリカを除いた「京都議定書」の締約国会議(COP/MOP)で話し合われるのかによって、計画の内容は大きく変わってきます。
アメリカを含む全締約国が参加するCOPで、先進国の削減目標について話し合うことになった場合、その内容は、明確な数値目標を伴なわない、緩いものになることが予想されます。アメリカの参加にこだわっている日本などは、このCOPでの討議を支持していますが、これは大量排出を続ける先進国の怠慢として、途上国の反発を買うおそれが高いと見られています。
また、「京都議定書」の枠の中で作られた、AWG(アドホック・ワーキング・グループ:特別作業部会)で話し合う場合は、京都議定書に引き続き、先進国に強い排出削減を求める内容になることが期待される一方、アメリカやインド、中国といった国々の削減について、話し合えないというデメリットがあります。
一番望ましいのは、この2つの舞台、双方で計画を話し合い、先進国が率先した排出削減をAWGの中で約束する一方、COPの枠内で、途上国のレベルに応じた排出削減努力を決める、という方法です。先進国が自国の大量排出を自覚し、率先して温暖化防止に向けて動くことで、途上国にも排出削減を促す、ということです。
これらは、最終的に「バリ・マンデート」、または「バリ・ロードマップ」という形でまとめられ、締約国の約束として発表されることが期待されていますが、会議が紛糾して合意に至らず、採択されないおそれもあります。
日本政府は後ろ向き? 積極的な排出削減を!
日本では2008年、北海道の洞爺湖で先進8カ国による首脳会議(G8)が開かれることになっています。これに向け、政府は、地球温暖化防止を含めた環境保全活動に、積極的な姿勢を見せることが期待されていますが、今のところ、その姿勢は決して前向きなものになっていません。
地球温暖化の防止については、「京都議定書」で約束した6%の排出削減も、自国内での努力では実現できず、排出権を他国から買い取ることでクリアしようとしています。これでは、日本の社会を温室効果ガスを排出しない社会へと変革することにはつながりません。
また、「2050年までに世界の温室効果ガスの排出量を半分にする」という世界の目標には合意しているものの、EU(欧州連合)のように、自国の排出削減目標を、明確な数値で出すこともしていません。
総じて、アメリカと世界の「仲介役」を自称しつつも、実際には京都議定書から離脱したブッシュ政権の意向と出方を伺い、日本としての方向を打ち出せない状態です。2013年以降の削減についても、アメリカを含む「国連気候変動枠組み条約」の締約国会議(COP)という、京都議定書のような厳格な削減目標を持たない仕組みの中で話し合うことを求めているのも、その姿勢の現れといえるでしょう。
日本政府はまず、積極的な姿勢を見せているEU諸国と歩みを合わせ、2013年以降、どれだけ自国の中で温室効果ガスを削減するか、その具体的な数値目標を立てるべきです。
そして、バリ会議では、「バリ・マンデート」または「バリ・ロードマップ」が、未来の温暖化防止に必ず役立つものになるよう、その内容を充実させ、採択する意志を示すことが望まれます。
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