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WWFの活動

ツボカビに関するQ & A

~ 特にカエルを飼育している一般の方々へ ~

カエルツボカビ症は、恐るべき感染力を持った病気です。現時点で、これを防ぐ最上の方法は、何よりもまず野外への拡大、伝播を防ぎ、現在確認されている症例を集めることです。そのためには、カエルの飼育に携わっている方の、理解と協力が欠かせません。くれぐれも、慎重な行動をお願いいたします。

飼育者の方はもちろん、一般の方むけに、ツボカビ症に関するQ&Aを作成しましたので、以下をよくお読みください。また、獣医師や、マスコミ等に関わっておられる方は、この問題について、積極的な情報発信をお願いいたします。

Index

 Q1: カエルツボカビって何? ツボカビの問題とは?

 Q2: 自然界にはどのような影響がありますか?

 Q3: ツボカビはどうやって感染しますか? 人や他の動物には?

 Q4: ツボカビ対策で重要なことは? 飼育の際の注意点は?

 Q5: どうすれば感染がわかりますか? 検査はできますか?

 Q6: 消毒や治療法について教えください

 Q7: どのような機関、専門家が対応していますか?

 2007年11月12日一部改訂

Q1: カエルツボカビって何? ツボカビの問題とは?

カエルツボカビって何?

答え: 真菌(カビ)の1種です。分解菌あるいは腐生菌としてキチン、セルロース、ケラチンといった分解しにくい物質を栄養としています。このため、これらの物質を含んだカエルの皮膚、オタマジャクシの口に感染します。カエルにツボカビが感染し、病気を発症すると、多くのカエルが死ぬおそれがあります。地域によっては致死率90%にもなった例が知られています。水を通して感染するため、伝播力も非常に強く、発生が確認されると、次々に広がるおそれがあります。

世界には何種のカエルツボカビがいますか?

答え: 真菌類としてツボカビ類は、世界に900種あまりが知られていますが、その1種であるカエルツボカビは、1属1種で、今のところ1種だけしか知られていません。ただし、現在までの研究で、遺伝子型の違うものがいくつかあることが確認されています。

何が問題なのですか?

答え: 両生類、特にカエルはこの感染に弱く、胞子100個程度の感染で発症します。このため、世界中で猛威をふるっており、特に、パナマやオーストラリアでは、大きな被害が報告されています。パナマでは、ツボカビが侵入してから僅か2ヶ月の間に地域のカエル集団が全滅したという報告もあります。
カエルツボカビは、これまでに北中南米、アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、欧州と世界中で確認されています。現在、地球規模で両生類の劇的な減少や絶滅が報告されていますが、このツボカビ症もその主な原因の一つではないかと考えられています。

答え: ツボカビは、動物に寄生していなくても、野外で長いときには7週間も生き続けます。そして、カエルなどの動物が近くに来ると再び感染します。一旦、野外にツボカビがはびこると、環境中からツボカビを取り除くことは不可能です。飼育しているカエルなどが感染した場合、それを野外に出さないよう、細心の注意を払うことが必要です。

どうしてこんなに世界中にツボカビがいるのですか?

答え: 古いカエルツボカビの記録としては、100年ほど前のアフリカツメガエルの標本から検出されたものがあるとされています。このため、カエルツボカビはアフリカが起源で、実験動物としてのアフリカツメガエルと共に、世界中に輸出されたことが、拡散した一つの要因と考えられています。他にも、あちこちに持ち込まれ外来種となっているウシガエルや、ペット用あるいは展示用として取引されている両生類が、伝播の役割を果たしている可能性もあります。養殖魚や観賞魚とともに輸送される水にツボカビが含まれていて、それによって拡散した可能性も考えられます。また、人の様々な行動が、遊走子を含む土壌や水を、無意識にいろいろな場所に運んでしまうこと考えられます。

どこの国から輸入されたカエルが感染していますか?

答え: すでに、世界中で流行しているので、どの国が危ない、どの国が安全ということはありません。また、たとえ、ツボカビの発生のない国であっても、流通している間に感染してしまうこともあります。ペットショップなどで新たにカエルを購入する場合は、事前に検疫などの手段を尽くすこと、予防を徹底する事が重要です。

Q2: 自然界にはどのような影響がありますか?

もしもカエルがいなくなると、何がおきますか?

答え: 自然生態系の食物連鎖構造に影響が懸念されます。 カエルの数が減ってしまうと、カエルを餌としている動物の数も減ります。カエルの絶滅が他の動物の絶滅を招く可能性があります。たとえば、カエルを食べる動物としてサギなどの鳥類やヘビなどの爬虫類が減ります。カエルやヘビを常食とする種類のタカも食物がなくなります。オタマジャクシやカエルを食べるタガメやトンボの幼虫などの水生昆虫も減ります。あまり知られていませんがイリオモテヤマネコもよくカエルを食べます。

答え: 農林業への深刻な被害も予想されます。カエルはかなりの大食漢です。特に、水田などでたくさんの虫を食べる益獣です。カエルがいなくなると害虫が増え、農業被害が増える可能性があります。

答え: 日本には、大変貴重な両生類が数多く生息しています。日本にしかいない両生類をツボカビから守らないといけません。アメリカでは、固有種であるアメリカサンショウウオにも感染が広がったり、アリゾナ州のタラフマラカエルがツボカビによって死に絶えたとも報告されています。

ただし、もともとの宿主であるアフリカツメガエルのように、ツボカビに感染しても無症状で発病することがないカエルもいます。日本産のカエルについては、今のところ病気が発症するかどうか、確かなことがわかっていません。現時点では、可能性として起こり得るカエルや自然への影響を考え、できる限り予防を徹底することが必要です。

日本からカエルが一匹もいなくなることはありますか?

答え: カエルツボカビが猛威をふるっているオーストラリアでは、219種の両生類のうち、49種で感染が確認されており、種によっては絶滅したり、危機に瀕しているものが知られています。しかし、感染しても死なないカエルなどもおり、いきなり全ての両生類が全滅してしまうようなことはないと考えられます。
このため、日本からカエルが一匹もいなくなることは思われますが、 日本産のカエルについては、麻布大学の研究により、実験室内ではツボカビによる感染と発症、死亡が確認されており、野外への感染拡大は極力抑えてゆかねばなりません。

日本の野生のカエルからカエルツボカビは見つかっていますか?

答え: 日本には、もともと日本に産する在来種のカエルと、人が海外から持ち込んだ外来種のカエルがいます。幸い、現在までに、日本産の在来種のカエルの死体から、カエルツボカビは確認されていません。しかし、外来種のウシガエルやアフリカツメガエルからはカエルツボカビが見つかっています。いずれの例も、カエルツボカビが原因で死亡した例はまだ確認されていません。

Q3: ツボカビはどうやって感染しますか? 人や他の動物には?

ツボカビはどうやって感染するのですか?

答え: 両生類の皮膚に感染したツボカビは、そこで増殖して、鞭毛の付いた遊走子を水中に放出します。それが水中を泳ぐことで、他の両生類に感染します。そのため、ツボカビ症の予防には、水の管理が重要です。

ツボカビが感染するとなぜカエルは死ぬのですか?

答え: ツボカビは両生類の皮膚に感染します。そして、(1)皮膚呼吸や皮膚の浸透圧調整を阻害したり、 (2) ツボカビが毒素を産生したり、(3)これらの要因の複合的作用が死の要因となります。また、皮膚の生体防御機能が壊れて、2次的に細菌などに感染しやすくなります。

ツボカビに感染したらカエルはすべて病気になりますか?

答え: いいえ、感染はしても、病気になるとは限りません。これは、カエルの種類によって違いがあり、ツボカビが付着しても病気が発症しないもがいるためです。しかし、カエルがツボカビに感染すると病気になるカエルが、世界に数多くいることは、間違いないと考えられています。実際、海外では地域によって多くのカエルがこの病気を発症し、激減しています。
一方、もともとの宿主であるアフリカツメガエルは、感染しても無症状で発病することがありません。また、日本でも外来種として知られているアメリカウシガエルなど他の一部の両生類も抵抗性があるといわれています。(参考情報>>>「抗菌ペプチドについて」東邦大学理学部のサイト)

日本産のカエルについては、麻布大学が現在研究を進めていますが、今のところ野外でこの病気が発症するかどうか、詳しいことがわかっていません。起こり得る可能性のある、両生類の大量絶滅の危機を回避するため、現時点では極力予防を徹底することが必要です。

病気が発症した個体はみんな死んでしまいますか?

答え: 以前は一度発病したら死んでしまうものと考えれてきましたが、現在は治療を施さなくても、飼育下で病気が治る例が報告されています。原因ははっきりしませんが、温度や水換えの回数、カエルの大きさなどが関係しているのではないかと考えられています。ただ、病気が治っても、そのカエルの体からツボカビが消えるわけではありません。他のカエルに感染さないようにすることが大切です。

オタマジャクシも感染すると死にますか?

答え: オタマジャクシでは、感染によって、まれに口器の変形がみられることがありますが、一般には無症状です。ただし、変態してカエルになるとケラチンが全身の皮膚に分布するとともにツボカビの分布も広がるため致死的となります。また、オタマジャクシがカエルまで成長すると、ツボカビは口から全身の皮膚に広がり、最終的に死に至ることがあります。

ツボカビ症になったカエルはどんな状態になりますか?

答え: 食欲不振、沈鬱などの他の病気と区別がつかない症状で始まり、症状が進行するにつれて縮瞳、筋協調不能、縮こまった独特な姿勢、立ち直り反射の消失、開口、広範な皮膚の脱落などが現れ、発症してから2~5週で死亡します。ただし、全てのカエルが同じような症状を示すわけではありません。実際、感染してから3~4日で死亡したり、カエルの種類によっては表面に大量の粘液が分泌されるものもありますし、全く見た目に異常に気がつかない場合もあります(突然死)。

カエルツボカビに感染しやすく、病気になりやすいカエルはいますか?

答え: ペットとして売られている外国産のカエルに、多く病気になりやすい種がいるようです。たとえば、ベルツノガエル、クランウェルツノガエル、イエアメガエル、バジェットガエル(マルメタピオカガエル)などの感染、発症、死亡例が、今までのところ多く報告されています。

人には感染しないですか?

答え: ツボカビは両生類(無尾類、有尾類)には感染しますが、人に感染することはありません。ただし、人は手や靴に付着した病原体を別の場所に運んでしまう危険性があるので、ツボカビに汚染されている可能性のあるカエルを取り扱ったり、生息地に行った場合は、手や靴、備品などを、徹底的に消毒する必要があります。
なお、淡水性のエビに感染するという学説がありましたが、現在ではそれは誤りであったことがわかっています。

熱帯魚のような魚には感染しないですか?

答え: 感染しません。人を含む哺乳類、鳥類、爬虫類にも感染しません。しかし、大型の熱帯魚をはじめとする、ペット用のエサとして、普通にペットショップなどで売られているカエルが、ツボカビ症に感染している可能性があります。魚などには影響はありませんが、これらのカエルを水槽に入れた場合、その水から感染が広がる恐れがあります。

Q4: ツボカビ対策で重要なことは? 飼育の際の注意点は?

ツボカビ対策で重要なことは?

答え: 絶対、野外にツボカビを出さないことです。一旦、野外にツボカビがはびこると、根絶することは不可能です。

カエルを飼っています。何に注意すればいいですか?

答え: 長い間、カエルを飼育していて何も問題がなければ、いつものとおり飼育を続けてください。しかし、今まで経験したことのない異常に気がついたら、ツボカビの検査を受け、検査の結果がでるまで、ツボカビがいるかも知れないと思って、取り扱いをしてください。 特に、新しいカエルを飼い始めたときには注意をしてください。

カエルが死にました。どうしましょうか?

答え: とにかく、どんなことがあっても、カエルの死体を野外に遺棄してはいけません。最も重要なことは、ツボカビを野外に出さないように、一人ひとりが細心の注意を払うことです。

死んだカエルは、可能であれば、焼却してください。また、清潔なビニール袋などに密封して生ゴミとして出すこともできます。間違っても庭に埋めるなどしないで下さい。わからないことがあれば、係りつけの獣医師や専門家に相談してください。問合せ先に心当たりが無い場合は、「どのような機関、専門家が対応していますか?」の項目を参照してください。

最近、新しくカエルを買いました。注意することは?

答え: 検疫が必要です。カエルツボカビは、感染がなかなか確認しにくい上、発病するまでに長い時間がかかるケースがあるため、、現在は6ヵ月間くらいの検疫期間を置き、その間は他のカエルと一緒にしないよう、配慮することが必要ではないかとされています。
また、新しいカエルに触れた飼育者の手や飼育器具を消毒しないまま、他のカエルに接触させないでください。新しいカエルがツボカビが感染しているかもしれないというつもりで取り扱ってください。前から飼っているカエルを守るためにも、これは必ず守ってください。

新しくカエルを買いたいけれど、注意することは?

答え: 元気がない。皮膚に赤い斑点がある。体の表面に粘液が異常に付いている。表面がなんとなくすすけている。脱皮皮が斑点のように付いている。同じ水槽に具合の悪いカエルがいるあるいは死んだカエルがいるなどの異常が見られる場合は要注意です。しかしながら、みただけではわかりません。可能であれば、何らかのツボカビ検査を受けるなど、安全が確認されたカエルを購入しましょう。

Q5: どうすれば感染がわかりますか? 検査はできますか?

ツボカビに感染については、どこが、どのように検査しますか?

答え: 国立環境研究所が検査を担当します。現在、国立環境研究所では、病理組織検査や遺伝子診断(PCR)に、麻布大学では、病理検査に取り組んでいます。詳しくは以下の対策マニュアルをご参照ください。

カエルツボカビ症 検査手順マニュアル(PDF形式)

見ただけで、カエルがツボカビに感染しているとわかりますか?

答え: カエルの種類、水生か陸生かによって、症状が違うため、わからないケースがほとんどです。しかし、何か、いつもと様子が違うと感じたら、かかりつけの獣医師に相談してみてください。いくつかの確認方法については、下の解説書にも記述があります。こちらをご覧ください。

  >>> 爬虫類と両生類の臨床と病理のための研究会による解説書 (PDF形式)

      『ツボカビ症に関する解説書』 (要約版 / 詳解版
   

飼っているカエルの検査をしてほしいのですが・・

答え: カエルの体の表面を綿棒でふき取って、検査機関に送ると検査してもらえます。しかし、検査のためには、専用の検査依頼書が必要ですので、一般の飼育者が検査を希望する場合は、必ず係りつけのの獣医師に相談して、必ず依頼書を添え、検査依頼をしてください。

なお、一般の飼育者や展示施設などからの検査は無料です。商業ベースで繁殖されている方の場合は、関係機関 (麻布大学) にご相談ください。手順等については、下記のマニュアルをご参照ください。

   カエルツボカビ症 検査手順マニュアル(PDF形式)

   PCR検査についての通達

検査にはどのくらいの時間がかかりますか?

答え: 検査機関が検体を受け取ってから、最低でも7日くらいかかりますが、現在は検査対象が多いため、時間を要するケースが多いと思われます。検査結果は、検査依頼書を作成した獣医師に届けられますので、獣医師に確認してください。

Q6: 消毒や治療法について教えください

感染したカエルを治療できますか?

答え: はい。症状によっては治療が可能であることが証明されています。実際、コア獣医師(下記Q7を参照)の中には、治療に成功し、罹患したカエルの命を救う事に成功した獣医の先生がいらっしゃいます。係りつけの獣医師か、専門家にまずご相談ください。また、発症した可能性のあるカエルが出た場合は、他のカエルへの感染拡大を防ぐため、消毒などに細心の注意を払ってください。以下の対策マニュアルをご参照ください。

   カエルツボカビ症 検査手順マニュアル(PDF形式)

手や水槽の消毒はどうしたらいいですか?

答え: 簡単な方法として有効なのは、熱湯による消毒です。ツボカビの遊走子(胞子)の予防対策としては、お湯に飼育容器を漬けるだけでも有効な殺菌方法になります。ただし、 実験的には、30度でもツボカビの胞子は死ぬとされていますが、この温度で、カエルの皮膚に侵入したカビや、水草、水コケ、土の中のカビまで、死ぬかどうかはわかりません。30度という温度は過信しないようにしてください。

 より確実な方法として、ツボカビに効果な消毒薬を使う方法もあります。消毒方法の一覧は、こちらのページをご覧ください。

飼育容器内の植物や水草はどうすればいいですか?

答え: ツボカビ症のカエルの飼育容器の中にあった植物、水草やコケなどは消毒できません。必ずすべて焼却処分してください。土に埋めるなどの処理は、しないでください。

Q7: どのような機関、専門家が対応していますか?

 現在、カエルツボカビ症について、いくつかの研究会、学会、大学、NGOなどが対応に取り組んでいます。ホームページに情報が出ている場合もありますので、参考にしてください。

対応している獣医師さんを教えてください

答え: コア獣医師制度があります。一般の獣医師より、ツボカビに関する多くの知識を持っていて、最新あるいは詳細な情報をいつでも入手できる立場にある獣医師が各都道府県に配置されています。これらの獣医師は、すべてボランテイアで、カエルを、自然を守ろうと立ち上がった獣医師たちです。一般の方からの相談を受けることはもとより、一般の獣医師の方からの専門的な相談も受け付けます。現在登録されているメンバーを紹介します。今後も、多くの獣医師が参加してくれることになりましたので、随時、紹介します。

 なお、最初の相談は、可能な限りメールでお願いします。

ツボカビ症に関する連絡先

 日本動物園水族館協会に所属している動物園と水族館の中にも、ツボカビに関して多くの知識をもつ専門家がいます。最寄りの動物園に相談してください。紹介してくれます。
こちらのアドレスにメールでお問合せください。

日本野生動物医学会 e-mail: zoo_and_wildlife@yahoo.co.jp

 さらに専門的なことを知りたいときには、次のアドレスにツボカビに関する質問として、メールを送信してください。

爬虫類と両生類の臨床と病理のための研究会 e-mail: v-path@azabu-u.ac.jp

2007/11/12

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