ソフトバンクモバイル株式会社の携帯電話のリサイクル収益金による支援を受けて実施中の「WWF南西諸島生きものマップ」プロジェクト。その「第一回地域検討会」が2007年9月8日、沖縄県の宜野湾で開かれました。この会合は、南西諸島の自然環境保全に向けて、多様な学術関係者が集まり、優先して保全策をとるべき地域を選定するためのものです。
真っ先に守るべき場所は?
2006年10月より、ソフトバンクモバイル株式会社の携帯電話のリサイクル収益金による支援を受け発足した「WWF南西諸島生きものマップ」プロジェクト。このプロジェクトでは、東洋のガラパゴスとも呼ばれている南西諸島の自然環境について、今、急速に失われていく多様性に満ちた生物相の現状を把握し、具体的にどこを優先して保全していくかを表した地図を作成しています。この地図は保全や利用に携わる地域内外の関係者に活用してもらう基礎資料になります。
このプロジェクトは以下の3つのステップで実施されます。
- 生物多様性の観点から優先的に保全すべき地域を選ぶ(2007、2008年度)
- 生物多様性の保全ビジョン(将来像)を立案する(2008年度)
- 保全ビジョンを達成するための保全・管理計画を検討する(2009年度
今回実施された検討会では、この1.に関わる作業を行いました。検討会に先立ち、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類、甲殻類、海草・藻類、昆虫類、貝類の専門家10名にそれぞれ専門とする生物分類群について、優先的に保全すべき地域の素案を作ってもらいました。素案の地図は、屋久島・種子島から尖閣諸島に至る南西諸島をブロックに分け、生物学的、社会的に重要と思われる種(候補指標種)を選び、それらにとって重要な環境と思われる場所を囲む方法で作成しました。
専門家の熱意の元に
検討会当日はその地図と候補指標種のリストを見ながら、a.指標種を何にするか、b.重要な地域がどこか c.今後作業を進めるにあたり抜け落ちている動物や、その生息環境の情報を補うための現地調査の必要性、の3点について、それぞれ専門とする分類群に限らず、意見を交換してもらい、合意形成を図りました。
指標種の生息分布に関する情報が不足やその情報精度のばらつきなど、限られた時間の中で地図を埋め終えることができるか心配されましたが、出席者一同のすばらしいチームプレーで、予定時間内に作業を終えることが出来ました。南西諸島の自然を守ろうという専門家の熱い想いが感じられた会議でした。
今後は、 この検討会で提案された点をふまえ、修正を加えます。造礁サンゴ類、植物についても同様の作業を行います。生物分類群毎の優先保全地域を記した地図をデジタル化し、さらにこれらを重ね合わせ、生物相全体を見渡した際にどこを優先すべき場所かが視覚的に表せる地図が完成します。
一方で、今回の話し合いで明らかとなった、現状がよく分からない種の生息状況等について、現地調査を行います。それら調査の結果を反映させてさらに地図に修正を加え、2008年度に実施される第二回地域検討会への準備に入ります。次の検討会では、生物を専門とする研究者だけでなく、地域の自然環境の保全、利用に関わる関係者にも出席を呼びかけます。
プロジェクトのゆくえ
南西諸島という広範囲な地域全体を捉え、地域の自然環境保全のために各生物関係者が一同に会し、こうした話し合いを持つという機会はあまりありません。今回WWFジャパンが調整役となり、各生物分類群を代表する関係者が20名以上も同じテーブルで話し合いを行えたことは、非常に画期的なことです。
会合は各年度1回ずつ開催する予定で、テーマに応じて多様な関係者を交えながら、決して行政指導だけではない、かつ地域の保全にかかわる地域内外の関係者らが協同で将来の保全策を作り上げる機会となります。
また、具体的な視覚にうったえられる地図を完成させることで、地域の保全計画に対して、一歩すすんだ提案を行えることになることが期待されます。

まずは、専門とする生物江刺家関係者で優先保全地域について話し合い

続いて、水棲と陸棲の2グループに分かれ、生物分類群を越えた意見交換

そして、2グループの話し合いの結果を報告、南西諸島地域全体としての優先保全地域の洗い出し作業の内容と、今後の作業の進め方について確認を行った。

マップの作成
▼情報を重ね合わせる▼

生物分類群ごとの重要地域マップをGIS(地理情報システム)手法を用いて重ね合わせ、適切な選定基準に基づき、優先して保全すべき地域の候補を抽出する。
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