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WWFの活動

中・長期目標のもとに、抜本的な政策導入で京都議定書目標達成を!

環境NGO合同声明 2007年5月25日

環境エネルギー政策研究所(ISEP)
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
グリーンピース・ジャパン
地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)
CAN JAPAN
FoE Japan
(財)世界自然保護基金(WWF)ジャパン

 私たち環境NGOは、日本政府に対し、今行われている「京都議定書目標達成計画(以下「目達計画」)」の見直し方では京都議定書の目標が達成できないことを指摘せざるを得ない。

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書は、地球温暖化が加速的に進行しており、予想されるその影響が極めて深刻であることを明らかにしている。しかし、来年から始まる京都議定書を第一歩とし、その後さらに温室効果ガスの大幅削減を続け、2015年までに世界全体の排出を減少方向へ転じ、2050年までに2000年レベルから50-85%まで削減ができれば、地球温暖化の脅威を防ぐことが可能となることを示した。政府は、日本における2030年・2050年の中・長期の削減目標を定め、国民に明確なメッセージを発するとともに、産業界に対してリーダーシップを発揮する責任がある。

 日本政府は、京都議定書が1997年に採択されて以来、「地球温暖化対策推進大綱」(1998年)、改正「地球温暖化対策推進大綱」(2002年)、「京都議定書目標達成計画」(2005年)と対策を進めてきたが、その内容はほとんど既存の施策の寄せ集めに過ぎず、10年一日のごとく自主的な取り組みと啓発中心で、排出削減を担保する政策と呼べるものはほとんど取り入れられてこなかった。そのことは2005年段階で、90年比で温室効果ガス排出量が8.1%増えてしまったことで明らかである。にもかかわらず、4月半ばにまとめられた、環境省と経済産業省の審議会合同会議における「目達計画」の見直しについての「排出量および取り組みの状況等に関する論点整理」(案)では、相変わらず、経団連の自主行動計画を中心とし、国民運動を広げるという現「目達計画」の延長線上での「追加」対策しか検討されていない。今回の見直しで、削減量が担保できる新しい強固な政策が導入されなければ、京都議定書の約束を守れる道筋は見えてこない。

 最大の問題は、最も排出量の多いエネルギー転換部門と産業部門が、直接排出では日本のCO2排出量の64%を占めているにもかかわらず、日本経団連の「自主行動計画」に全面的に依存していることである。「自主行動計画」で掲げられている自主目標とは、目標指標もその目標数値も業界が任意に設定したものであり、多くの業界が原単位目標しか設定していない。そのため、生産量や売上高が増加すると、総量としての削減が担保されない。
日本の産業部門は「乾いた雑巾」で、これ以上削減の余地がない、と主張している。しかし、産業部門における燃料構成を石炭からバイオマス混焼やCO2排出の少ない燃料へ転換したり、個々の工場や事業所の効率を、最も効率の良い工場などに合わせるような投資を行い、効率の悪い工場や事業所をなくすことにより、まだまだ削減の余地は充分ある。
排出量が増加しているオフィスビル・店舗などの民生業務部門や民生家庭部門、運輸部門での削減のためには、活動量の伸びとその背景の分析に基づく削減を促すインセンティブのある仕組みを設けたり、石炭から原子力以外のCO2の少ない燃料や自然エネルギーなどへのエネルギー源の転換により、電力の排出原単位を改善することが不可欠である。排出量の基準年からの増加だけを強調し、「国民運動」という表現のもとにライフスタイルの変革を求めるあいまいな対策に終始してはならない。

 6%削減のためには、今回の見直しで、実効性のある国内政策の導入が必須である。まずCO2排出に価格をつけ、削減した人が得をするような経済的仕組みを作ることである。
それは、全ての主体・部門にCO2排出に応じて支払う炭素税、大規模排出部門に排出の上限を設けた国内排出量取引制度、中小事業者に効率の良い設備導入等を促進する制度、建築物の省エネ基準の強制化や「エネルギー効率コミットメント」(EEC)のような既存建物の省エネ改修を促す制度の導入などである。
また、自然エネルギー導入促進を省エネルギーとともに温暖化対策の2大柱とし、大胆なエネルギー政策転換を行うべきである。
国内での排出削減によって京都議定書の目標達成をはかることは、長期的には今後必要となる大幅削減に向けて、社会経済構造を変革し、日本を脱温暖化社会へと導くことになる。

 産業界は、今なお、京都議定書は不平等条約だと批判し、京都議定書の「総量削減」に強く抵抗している。また、2013年以降の国際的取組の枠組みについて、京都議定書とはまったく異なる制度や、総量削減ではなく、原単位目標などを主張している。こうした主張は、地球温暖化の深刻な影響や緊急性に対する認識が極めて希薄といわざるを得ない。

 京都議定書の最初の約束を確実に実行することが、ささやかであっても重要な一歩である。私たちは、日本政府や産業界に対し、経済効率的で、抜本的な新しい国内政策の導入を強く求める。それなくして、日本政府が来年のG8で、議長国としての役割を果たすことはありえない。

 

関連資料

  日本の産業界に、これ以上のCO2排出削減の余地があるかを考察した資料はこちら。

   ▼「乾いた雑巾は本当か」(PDF形式:858kb) 

   ▼「乾いた雑巾は本当か(参考資料)」(PDF形式:1.3Mb)

2007/5/25

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