ページ内を移動するためのリンクです。

WWFの活動

日中韓初!共同で黄海エコリージョン優先保全地域マップが完成

記者発表資料 2006年12月8日

【東京発】WWF(世界自然保護基金)は、日中韓のNGOと研究機関の協力により、黄海地域で初めての生物多様性マップ「黄海エコリージョン優先保全地域マップ」(日・英・中・韓国語版)を完成した。2006年12月12日から16日まで中国の海南省で開催される国際会議「東アジア海洋会議2006」でこのマップを発表する。マップの完成により、黄海地域において優先して保全すべき海洋生態域が明らかになり、今後の両国での保護区指定に役立つものと期待される。

この優先保全地域マップは2005年の黄海エコリージョン生物多様性ビジョン国際会議において提唱されたものである。WWFジャパンは、WWF中国、KORDI(韓国海洋研究院)、KEI(韓国環境政策・評価研究院)とともに、2002年より優先保全地域選定のプロジェクトに着手した。2005年3月には、UNDP(国連開発計画)との間で、黄海の海洋生態系保全のために公式に協力することで合意文書を交わした。それにより、日本、中国、韓国のNGOと研究機関が進めてきた重要地域の選定結果とそのデータが、UNDPが2005から2009年にかけて行なっている国連黄海プロジェクトに活用されることになった。このプロジェクトにはWWFも参加し、中国、韓国両政府と共に、黄海における生物多様性を保全するための国際的な計画とそれに基づく各国内での政策を立案し、実施していく予定である。

このマップは、黄海エコリージョンにおける、重要な優先保全地域23ヶ所を選定した。選定方法としては、6つの生き物の分野(①海棲哺乳類②鳥類③魚類④沿岸の貝類⑤沿岸植物群落⑥海藻類)ごとに、それぞれの生物にとって重要な生息地を選び出して6枚の地図を作成し、それらを複合的に重ねる手法を採用した。こうして選定された地域は、優先的に守っていくべきところであり、保護区の指定に役立つものとして期待される。

このマップ作成を指揮したWWFジャパン海洋プログラムリーダー東梅貞義は「WWFジャパンという日本のNGOがイニシアティブを取り、中韓のNGOや関係する研究者に協力を働きかけ、国際的に作成が求められていたにもかかわらず実現していなかった黄海の優先保全地域マップが作り上げられたことは画期的なことである。さらにこうした活動が国連をも動かしたことは新しい自然保護活動の形といえる。」とその重要性を主張している。

WWFジャパンでは、作成されたマップをもとに、日本の行政や企業などにも協力を呼びかけ、日本にも大きな影響をもたらす黄海の保全を、中国・韓国関係者と協力して、今後も継続していく予定である。

黄海エコリージョン優先保全地域マップとは

中国と韓国の沿岸と、両国にまたがる海域のうち、世界的に重要な生き物の生息地23ヶ所を示した地図。優先保全地区には、中国では[2]長江(揚子江)河口域(上海市)、[16]韓国キョンギ湾(ソウル近郊)、[23]黄海中央部の冷水塊域などがある。

黄海の現状

黄海は、中国と朝鮮半島に囲まれ、漁業資源に恵まれた豊かな漁場であり、多くの野生生物が生息する。太平洋・インド洋を代表する大陸棚を持った海洋環境である。しかし、近年の沿岸域開発に伴う埋立や干拓、養殖産業の拡大などの環境破壊によって、貴重な自然が失われつつある。中国では1950年当時と比べ、干潟が約37%減少。韓国でも、1917年から100年も経たない間に、43%の干潟が失われた。
  また、漁業についても、過剰な漁獲による資源の枯渇が深刻化しつつある。1960年と比べ、現在の漁獲量は魚の種類によっては約10分の1にまで減少してしまい、これらの資源の過剰な利用も、黄海の生態系を脅かす大きな要因となっている。
 

黄海と日本の関係

黄海の自然は、日本の有明海の環境に非常によく似ている。生息する様々な生物、たとえば、カニや魚、貝などについても、両方の海で共通する種が多い。さらに、双方ともに、世界的に重要な渡り鳥の飛来地でもある。また、昔から漁業が盛んな点においても獲れる海産物や漁法などに共通点が多く見られる。現在日本は、黄海産のハマグリやアサリ、タコなどの海産物をこの10年ほどの間に大量に輸入・消費しており、消費大国としても黄海の自然環境の保全に大きな責任があるといえる。
 

WWFグローバル200

WWFはこの黄海および渤海を含めた海域を「黄海エコリージョン」として、世界中で優先的に保全すべき自然環境「WWFグローバル200」の一つに選び、2002年より保全をめざし活動を開始してきた。この活動である「黄海エコリージョン保全プログラム」は、日本、中国、韓国の三カ国が協力して保全に取り組む、国境を越えた国際協力プログラムである。また、沿岸域それぞれの地域レベルで、自治体や研究者、NGO、教育関係者などの多様な人々を結びつけ、持続的な社会への未来作りをめざす画期的な取り組みでもある。

 

 

>>>関連記事へ

2006/12/08

関連するWWFの活動

黄海エコリージョン

中国と朝鮮半島に囲まれた海、黄海。黄海は、太平洋・インド洋を代表する大陸棚を持った、豊富な漁業資源に恵まれた漁場であり、数多くの野生生物が息づく豊かな海洋環境です。WWFは、この黄海および渤海を含めた海域を「黄海エコリージョン」として、世界中で優先的に保全すべき自然環境の一つに選び、活動に取り組んで...続きを読む


黄海エコリージョン 優先保全地域マップ

黄海エコリージョン優先保全地域マップは、日本、韓国、中国の科学者が協力して、渡り鳥やアザラシ、魚類や貝など、さまざまな野生生物の生息地評価を実施し、それぞれの生物にとって重要なエリアを明らかにして作成したものです。この、生きものごとの重要地域の地図(マップ)を重ね合わせ、黄海の中で優先的に保全すべき...続きを読む