今世界中の森では大量の木が伐採されています。こうした伐採はしばしば違法に行われ、かなりの量が、日本に輸入されているとされています。これらは、木材としてのみならず、製紙され種々の紙製品として市場に出回ることになります。
WWFは現在、世界各地で違法伐採を無くすため、さまざまな環境NGOや、環境意識の高い企業と共に活動を行なっています。
各国の森林で違法伐採を繰り返しているアジア最大級の製紙会社であり、日本企業にも大量の紙製品を供給しているAPP(アジアパルプアンドペーパー)の、森林伐採に関する最近の情報をお知らせします。
APPのその後:中国およびカンボジアでの自然林伐採
APPは2004年10月以降、保護価値の高い森林(HCVF)やオールドグロス林(原生高齢林)の保護に関するコミットメントを3回に渡って発表しています。1度目はインドネシアの1箇所の伐採地域(ケルムタン地域)で行われたHCVF分析結果を発表し確認されたHCVFを保護すると公約したこと、2度目は2箇所の地域(シアック(Siak)およびセラポン(Serapong))で伐採停止をしたうえでHCVF分析を行い、確認されたHCVFを保護すると公約したこと、そして3度目は、中国広東省海南に新設したパルプ工場においてはオールドグロス林(原生高齢林)や、HCVFから切り出された木材を使用しないこと、またその一環としてタスマニアや南オーストラリアからのチップ輸入を停止すると発表したことです。(※1)
しかし一方で依然として同社が違法伐採を続けていることを伝えるニュースが中国とカンボジアから相次いで届いています。
以下は、違法伐採に関するAPPの最近の動向を追跡する情報としてお知らせします。
中国、雲南省
グリーンピース中国は去年11月16日、APPが中国雲南省で行なうユーカリ植林・紙パルプ統合プロジェクトにおいて、大規模な自然林が違法に伐採されていると報告する調査レポート「Investigative Report on APP's Forest Destruction in Yunnan(英文および中国文のみ)」(※2)を発表しました。グリーンピースは、
- 同プロジェクトの合計約180万ヘクタールの土地のうち42%が自然林であり、これらの自然林がユーカリ植林を作るために伐採されている。
- APPは、正式な伐採許可やその他の承認が関係当局から得られていない状況下で伐採等を行っており、これは森林法の23、29、32、37及び、森林法の実施に関する規則15の違反である
- これまでAPP中国は「植林は不毛地にしか行っていない」と繰り返し述べているが、例えば思茅(Simao)地域においてAPPが約80万ヘクタールのユーカリ植林を作る予定のところ、思茅には実際、非森林地が約19万ヘクタールほどしか存在しないため、不足分のいくらかが自然林を伐採した土地で補充されるはずである
などとして、同レポートを中国国家林業省に提出、同プロジェクトにおける違法な活動の当事者を罰すること、同事業を即刻一時停止させることなどを求めたほか、APPに対しても、自然林の植林への転換及び違法活動を停止するよう求めました。グリーンピースは同レポートで、APPがインドネシアとカンボジアで引き起こす自然林伐採についてもまとめ、APPがその慣行である自然林破壊を、雲南省でも繰り返していると批判しています。
同レポート発表後、中国浙江省のホテル協会(約400軒が加盟)が自らの「グリーン・ホテル・ガイドライン」と同レポートに基づき、会員ホテルに対してAPP製品の購入停止を通達しました。グリーンピースによる主張についてAPPは、APPの中国における事業によって自然林は全く伐採していないとしており、既に12月8日付のプレスリリースで、第三者に委託して同事業に関する申し立ての真否を確認するための調査を行うことを自ら公約していたにも関わらず、同協会を名誉棄損で訴えてしまいました。同裁判の第一回法廷審問は1月14日に予定されています。
- グリーンピース中国はこれに対し12月16日、APPの計画のために広範囲にわたって自然林が皆伐されている新しい証拠として、地元住民による証言のビデオや写真、を公開しました(※3)その中で、グリーンピース中国は以下の内容を発表しています。
- APP瀾滄(Lanchang)社と雲南省瀾滄郡が取り交わした覚書によると、20万ヘクタールのユーカリ植林エリアのうち、73,333ヘクタールは森林および低木林地である。
- グリーンピースが地元の森林局から別途入手した2004年のあるAPPのユーカリ植林計画によると、そのエリア内に自然林が50ヘクタール、疎林が123ヘクタール、低木林が62ヘクタール含まれており、その全てが2004年11月以前にユーカリ植林に転換されていた
- こうした事実に対しグリーンピースはAPPに対し、伐採やプロジェクトそのものを即刻停止すること、これまで誤った行為をした旨を公式に認めること、今後自然林を伐採しないこと・法律の遵守・地域住民の権利の尊重を確保するこ
と、これらの公約及び12月8日に発表した海南島のパルプ工場の木材供給についての公約を実施するための時限付きのアクションプランを作成・実施すること、ならびに浙江省ホテル協会に対する訴訟を取り下げることなど、6つの要求をAPPに提出したが、APPはこれをすべて拒否した
グリーンピースは顧客に対し、「APPに立ち向かい、NOと言おう!」と述べています。
- ※1 この発表に対するWWFのコメント(2004.12.15)
- ※2 2004年11月16日付グリーンピース中国プレスリリース(英文)
http://www.greenpeace.org/china_en/press/release?item_id=649802&campaign_id=
2004年11月16日付グリーンピース中国調査報告書「Investigative Report on APP's Forest Destruction in Yunnan.〔英文〕
http://www.greenpeace.org/china_en/multimedia/download/1/683863/0/APP-Report-English.pdf - ※3 2004年12月16日付グリーンピース中国プレスリリース(英文)
http://www.greenpeace.org/china_en/press/release?item_id=683882
カンボジア
環境NGOである「グローバル・ウィットネス」の12月31日付プレスリリースによると、APPの子会社であるグリーン・エリート社がカンボジアの国立公園内で行った違法伐採に対し、カンボジア環境省は同社を相手に訴訟を起こす用意があると発表しました。
問題となっている国立公園はボタム・サコール(Botum Sakor)で、伐採が始まったのは2004年3月のことであり、天然のマングローブ林がアカシアの植林に変換されています。
数々の法律に違反している状況は明らかであり、裁判となった暁にはグリーン・エリート社の有罪は間違いないであろうとされています。
今回問題となっている国立公園内の18,000ヘクタール以外にもグリーン・エリート社は、30万ヘクタールもの伐採を政府に対し申請していますが、これは法定上限の30倍の広さにあたります。また、その多くの部分はカンボジアの希少な天然資源が含まれる保護区に指定されています。
カンボジアの情報の詳細については、以下グローバル・ウィットネスのプレスリリースをご参考ください。
(以下は環境保護のNGOであるグローバル・ウィットネスの2004年12月31日付プレスリリースをWWFジャパンにおいて仮訳したものです。英語オリジナルはこの下にあります)
カンボジア政府が、略奪的な巨大製紙企業に対して訴訟を起こすと発表
グローバル・ウィットネス プレスリリース(2004年12月31日)
カンボジア王国環境省は、アジアパルプアンドペーパー社(APP)の子会社であるグリーン・エリート社が過去9ヶ月間ボタム・サコール(Botum Sakor)国立公園内で違法伐採を行っていることに対し、法的措置を取る準備をしていると発表した。アジアで最も悪名高い製紙会社の略奪を止め、カンボジアの法を守ろうとする同省の尽力に対し、グローバル・ウィットネスは、万幅の助力を提供する考えである。
「グローバル・ウィットネスは、環境省大臣モク・マレス氏の今回の決断を心から歓迎する」グローバル・ウィットネスのマイク・デイビス氏は語る、「もしこの訴訟が完遂されれば、近年枚挙のいとまなく発生してカンボジアの保護区の制度を侵害している、違法伐採に歯止めをかけるための大切な第一歩となるだろう。私達は、他の省庁、国際的な援助供与団体やNGOに対し、同大臣の行動をサポートするよう強く求める。」
APP/グリーン・エリート社が、ボタム・サコール国立公園の多くの部分をアカシア植林に転換するという一定の目的のため、同国立公園内で伐採を始めたのは2004年3月のことである。APPの発言によるとこれは、中国のパルプ工場に木材を供給するための植林である。これまでにグリーン・エリート社は既に、マングローブ地帯の内陸側にある数百ヘクタールものコバノブラッシノキの森林を皆伐し、木を破砕してチップにする機器を設置し、またブルドーザーで公園内に新たな道路を切り拓いている。APP/グリーン・エリート社による伐採契約はとその活動は、1994年の保護区に関する宣言、2002年の森林法、2001年の国土法、1999年の環境影響評価に関する副法令 (Sub Decree)をはじめとする数々の国内法に違反している。
環境省は、訴訟内容として、APP/グリーン・エリート社が環境影響評価を求める法律に違反したこと、及びこの違反に関して2004年5月に同社に対して発行された伐採停止命令を選んだ。これらの問題は、APP/グリーン・エリート社の違反行為のうち、最も重大なものとは必ずしも言えないが、これらの問題に関する証拠は説得力ある内容である。
「APP/グリーン・エリート社が違反した数々の法律を前にして、環境省は、まずどの違法行為について彼らを起訴するべきか、難しい選択を迫られたはずである。これは単純明快な訴訟であり、もし正当な法的プロセスが守られるならば、判決に疑いの余地は無いだろう。」(デイビス氏)
APP/グリーン・エリート社にとって、ボタム・サコール国立公園の破壊は、カンボジア南西にある多くの天然林をパルプのために搾取しようとする策略の、控えめな第一歩でしかない。同国立公園内に18,000ヘクタールの植林を作ろうという違法契約の他にも、彼らは、コー・コン(Koh Kong)とカンポ(Kampot)地域で300,000ヘクタールもの伐採計画を政府に申請しており、これは法定上限の30倍もの面積にあたる。その上、この面積の多くが保護区内にあり、もしこのような契約が実現すれば、カンボジアの自然遺産の貴重な一部である森林が消失することになる。
この記事に関する問い合わせ先;gw.monitoring@online.com.kh; 電話: 00 855 23 219 478; HP: www.globalwitness.org
注記:
・APPは、スマトラ島の天然林破壊のために悪名高いインドネシア企業である。批判者の口を封じるためには強行手段を取ることを辞さない。同社は現在、APPが中国の工場で違法に入手した木材を使用しているという申立てに応え、協会会員ホテルに対してAPP製品購入停止をアドバイスした中国のホテル協会ZHAに対して訴訟を起こしている。この件に関しての詳細は、www.appwatch.blogspot.comを参照されたい。
政府高官により締結される違法コンセッション契約は、カンボジアの保護区にとって大きな脅威の1つである。APP/グリーン・エリート社の契約は、保護区が伐採対象になっていることが2004年に発覚した数件の違法契約のうちの一件である。こうした契約は、関係者の腐敗体質と透明性の欠如、そして全般的な統治の弱さを象徴するものであり、これらはカンボジアの天然資源管理の特徴ともなっている。2004年12月6―7日に実施された諮問委員会会議で問題の甚大さが認識されたため、2005年のパフォーマンス基準ベンチマークに要約される様に、国土や自然資源を侵食するような全ての土地開発について情報公開を行うことが、国際的な援助団体とカンボジア政府の間で合意されるに至った:
・経済的理由による土地開発、採鉱、漁業域に関する既存の契約、およびそれらの契約の履行状況(使用料やその他の主要な条件)について、即座にパブリック・ディスクロージャーを行うとともに、森林伐採の検査状況についても継続して情報公開を行い、自然資源の国家管理に関する透明性を強化させる。
国の管理する自然資源(国土、漁業資源、林業資源、鉱山)の民営の利用・管理に関しては、ESIA、投資家評価、地元コミュニティーとのコンサルテーション、パブリック・ディスクロージャーや新規契約を結ぶ前段階でのコメント期間設置を含む持続的管理計画を適用する。
カンボジア王国政府は、採鉱、軍事展開地域、土地開発その他、森林地や保護区内に位置し森林地や保護区の管理に関する法律に違反する開発契約について、その存在場所、法的現状と停止プロセスについて情報公開を行う。
・カンボジアにおいて、プロジェクトの環境影響評価への法的要求は、1996年環境保護と自然資源管理法および1999年環境影響評価に関する副法令に規定される。しかし、これらの法律が守られることは殆ど無い。担当官による、これらの方施行の確保とその違反者の処罰は殆ど前例が無い。
原文
Immediate release: 31 December 2004 PRESS RELEASE
Preparing to Pulp the Pulp Merchants? Cambodian Government Announces Legal Action against Predatory Paper Giant
The Cambodian Ministry of Environment has announced that it is preparing a legal action against Green Elite, a subsidiary of Asia Pulp and Paper company (APP) which has been illegally logging Botum Sakor National Park for the past nine months. Global Witness offers its full support to the Ministry's efforts to uphold Cambodian law and curb the predations of one of Asia's most notorious pulp companies.
“Global Witness wholeheartedly congratulates Minister of Environment Mok Mareth on this decisive move” said Mike Davis of Global Witness. “If followed through, this would be a crucial first step towards terminating the recent rash of illegal economic concessions that threaten Cambodia's protected area system. We strongly urge other government ministries, the international donor community and NGOs to support the Minister's action.”
APP/Green Elite began cutting in Botum Sakor in March 2004, with the stated intention of transforming large areas of the national park into acacia tree plantations. Statements by APP indicate that these plantations are designed to feed pulp mills in China. Thus far, the company has already clear-felled several hundred hectares of rear-mangrove Melaleuca forest, installed wood chipping machinery and also bulldozed a new road into the national park. APP/Green Elite's concession contract and its activities contravene a range of Cambodian laws, including the 1994 Declaration on Protected Areas, the 2002 Forestry Law, the 2001 Land Law and the 1999 Sub-Decree on Environmental Impact Assessment.
The Ministry of Environment has chosen to target its legal action on APP/Green Elite's failure to comply with legal requirements for environmental impact assessment and a related suspension order issued to the company in May. While not necessarily the most serious of APP/Green Elite's infractions, the evidence against the firm on this count is compelling.
“Given the range of laws that APP/Green Elite has broken, the Ministry must have faced a difficult choice as to which offence to prosecute them for first,” said Mike Davis. “This is an open and shut case. If due legal process is followed, the verdict cannot be in doubt.”
APP/Green Elite's demolition of Botum Sakor National Park is a modest first step in its plans to turn natural forests across Cambodia's southwest into pulp. In addition to its illegal contract to create a plantation on 18,000 hectares of Botum Sakor, APP/Green Elite has also asked the government for an additional 300,000 hectare concession across Koh Kong and Kampot provinces ? an area 30 times the legal limit. Much of this land falls within protected areas and represents a valuable part of Cambodia's natural heritage that will be lost if the deal goes ahead.
For further information, please contact gw.monitoring@online.com.kh; telephone 00 855 23 219 478; www.globalwitness.org
Notes to editors:
Asia Pulp and Paper is an Indonesian-owned company well known for its destruction of natural forests in Sumatra.
APP does not hesitate to use strong-arm tactics to silence its critics. The firm is currently launching a legal suit against a Chinese hotel association, ZHA, which advised its members against purchasing APP products following allegations that APP was using illegally sourced timber at its production facility in China. For further information, please refer to www.appwatch.blogspot.com.
Illegal concession contracts signed off by senior officials pose one of the main threats to Cambodia's protected areas.The illegal APP/Green Elite contract is one of several such concession agreements covering protected areas that have come to light in 2004. Such deals are indicative of the corruption, lack of transparency and overall weak governance that characterises management of Cambodia's natural resources. At the Consultative Group meeting of 6-7 December, recognition of the extent of the problem prompted international donors and the Cambodian government to agree the disclosure of all concessions to exploit land and natural resources, as summarised in the following performance benchmarks for 2005:
・Increase transparency of state management of natural resources through immediate public disclosure of existing contracts and compliance status (royalties and other key provisions) of contracts governing economic land concessions, mining concessions, fishing lots and continued disclosure of status of review of forest concessions
Application of sustainable management planning, including ESIAs, investor evaluations, consultation with local communities, public disclosure and comment period prior to entering into new contracts for private use/management of state managed natural resources (land, fisheries, forestry, and mines)
Royal Government of Cambodia disclose the location and legal status and process for termination of mining concessions, Military Development Zones, economic land concession and other development arrangements situated on forest land or in protected areas and inconsistent with law governing management of these areas
・The legal requirements for environmental impact assessment on projects in Cambodia are set out in the 1996 Law on Environmental Protection and Natural Resource Management and the 1999 Sub-Decree on Environmental Impact Assessment. However these laws are rarely if ever observed. Action by officials to ensure their enforcement and the punishment of offenders is almost unprecedented.
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