記者発表資料 2003年8月19日
【日本・東京発】本日、WWFインドネシアは、アジア最大級のパルプ製紙企業であるアジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)、及びその木材パルプ原料サプライヤーであるシナル・マス・グループ(SMG)と、スマトラ島リアウ州とジャンビ州にあるAPPのパルプ工場への原料木材の供給源となっている森林の管理に関する同意書に調印した。
WWFでは、スマトラトラ、アジアゾウ、スマトラサイなど森林破壊の脅威に晒されている野生生物種とその生息地である自然林の保護を目的に、20年以上前からスマトラ島で活動してきている。今、スマトラ島で起こっている森林破壊の大きな原因の一つが、パルプ工場への木材供給を目的とした、自然林のアカシア植林への転換である。APPは、スマトラ島で操業する最大の紙パルプ企業である。
今回、WWFがAPP及びSMGと同意書を結んだ目的は、APPが、そのパルプ工場への木材供給源である自然林や植林地において、社会的かつ環境的な価値を重視していることを確認するためである。これまでWWFはAPPに対して、保護価値の高い森林の保護を求めてきたのに加え、パルプ工場に運ばれる違法な木材を確認・排除するための厳格なシステムの開発、そして、地域コミュニティとの未解決の紛争を解決するよう求めてきた。
この同意書には、これらのゴールに向けた、(1)保護価値の高い森林の保護 (2)法の遵守と木材調達(3)コミュニティとの紛争解決(4)長期的な持続的木材供給、についての具体的な行動の約束事項が挙げられている。その中には、(1)伐採権地域内の保護価値の高い泥炭湿地林(58,500ha)を永久保護 (2)一時的伐採中止と代替地となる荒廃地調査(3)現行の木材調達システムによる適法性確保について独立監査 (4)コミュニティが所有権を主張する地域では紛争解決までアカシア植林への転換をしない (5)アクションプランの作成・実施と利害関係者から成る検討グループによる定期的協議、などが含まれている。
今回の合意は、何年にも及ぶ様々なNGOと世界中のAPP顧客企業からの働きかけと、それを補う形でWWFインドネシアが水面下で重ねてきたAPPとの対話の成果である。WWFは、APPが同意書にあるすべての約束事項を今後6カ月のうちに、確実に遂行するよう、引き続き働きかけていく。
日本はAPPにとって大きな市場の一つであり*、WWFジャパンは、生産現地のスマトラ島での適切な森林管理および自然林の保護を目指し、APPの日本の顧客企業数社と、実質的な解決へ一歩でも踏み出すための協議を重ね、速やかな対応を求めてきた。そしてその過程の中で、アスクル㈱はWWF参加のもとAPP/SMGとの協議の場を設け、㈱リコーは自社の取り扱う紙製品のすべての仕入先に対する環境規定を、WWFジャパンのアドバイスを参考にして作成した。
APPの主要取引先の一つであるアスクル(株)は、「まずは、今回の同意書調印に至るWWF並びにAPP/SMGの関係全ての方々のご努力に対して敬意を表したいと思います。アスクルとしても今回の同意書にある、APP/SMGが自然林を皆伐することなく植林出来るような代替荒地調査(WWF実施)に対して、一部ご支援をさせていただきました。アスクルは、紙製品の販売に関わる企業としての責任を果たしていくために、適切な森林管理に基づいた紙製品の流通・販売を目指しています。従って、今回の同意書調印はそのスタートとして認識しており、今後コミットメントが確実に実施されるよう求めていくとともに、森林認証に準拠した森林管理の履行を促していきたいと考えています」と、環境マネジメント室長の久原義己氏はコメントしている。
(株)リコーの社会環境本部環境経営推進室長の則武祐二氏は、「リコーでは、リコーグループが取扱う全ての紙製品の仕入先が、森林破壊を起こすことの無いように、『リコーとリコーファミリー・ブランドの紙製品に関する規定』を制定し、取引先様に徹底をお願いしております。今回、WWFとAPPが合意し、スマトラの森林保全が改善に向かうことについては大変歓迎できます。
リコーは、APP/SMGに対して、すでに規定に基づき、同社のオペレーションの改善を要求しております。この改善が期限内に実行されない場合には、残念ではありますが取引を停止することになります。同社の早期改善を望んでおります」とコメントしている。
WWFジャパンの森林保護プログラム・シニアオフィサー前澤英士は「日本は資源の多くを海外に依存しており、海外生産地において環境・社会問題が起こっていないかを、消費する側として十二分に確認する責任があると考える。今回の同意書は、APPの操業内容について、日本の顧客企業が確認していくための第一歩とも言えよう。今後、日本の顧客企業が、APPとの協議を至急進めるとともに必要なアクションを急ぎ起こし、自然林の保護と適切な森林管理に基づく資源の供給体制の確立へ、いち早く向かうことを強く希望する」と述べている。
- ※日本に輸入されるコピー用紙は2002年には26万2600トン(日経流通新聞MJ2003年2月4日付記事による)に達し、うちインドネシアからは21万4611トン(日本紙類輸出入組合による)。APPジャパンによれば、現在インドネシアから日本に輸入されるコピー用紙 月約2万トンのうち85-90%がAPP製品という。APPの主な市場は海外市場で、日本向けはAPPグループが生産するコピー用紙全体(月約10万トン)の約2割を占める。因みに、2002年の国産メーカーによるコピー用紙の国内出荷量は78万776トン(日本製紙連合会)。
WWFインドネシアとAPPの同意書に関する背景説明
2003年8月19日
スマトラ島における森林の破壊
50年前、スマトラ島はその全体を数千万ヘクタールもの森林で覆われていた。今日、各種の森林タイプや、アジアゾウやスマトラトラ等が絶滅の危機に瀕している。世界銀行は、スマトラ島の森林タイプの一つである低地熱帯雨林は2005年までに消滅するだろうと推測しており、残された低地熱帯雨林の中で最大のものは、リアウ州にあるテッソ・ニロである。テッソ・ニロは、これまで世界中で科学的に調査された中で最大の維管束植物種の多様性を有するとともに、絶滅危惧種のアジアゾウに残された最後の楽園の1つである。スマトラ島で同様に消滅が危惧されるもう1つの森林タイプは泥炭湿地林で、世界銀行はこの森林タイプは2010年以降すぐに全滅するだろうと予測している。今回APPが永久保護とモラトリアム(伐採停止)を実施するギアム・シアク・ケチル(Giam Siak Kecil complex) は、スマトラ島に残された泥炭湿地林の数少ない保護地の1つとなる。
あらゆる種類の木材への需要と、植林・プランテーション設置に必要な土地への需要がスマトラ島の森林へ大きなプレッシャーを与えている。かつて広範囲を森林に覆われていたリアウ州の場合、1985年には6,269,989ヘクタールあった森林が、2002年には3,292,820ヘクタールへと、ほぼ半減してしまった。この森林破壊を引き起こしている2大要因は、紙パルプ、ならびにオイルパーム産業である(1985年以前には、パルプ材植林もアブラヤシ・プランテーションも少なかった)。紙パルプ産業は大量の木材を必要とし、その多くは現在も自然林の皆伐により供給されており、そのうちには違法伐採によるものも含まれる。さらに、両産業ともに、植林やプランテーション設置のために広大な土地を必要とし、その土地の多くは自然林を皆伐して得られるのである。
WWFは、リアウ州において、ギアム・シアク・ケチルや、テッソ・ニロ森林とその周辺にある保護区及びそれらをつなぐ重要な森林の急速な破壊を止めることを目的として、土地利用や法施行の改善により、残されたスマトラ島の森林と、アジアゾウやスマトラトラ等の野生動物の保護を達成するべく、現地で様々な活動を続けてきた。WWFは、自然保護と同時に、地元コミュニティーが、アブラヤシを巡るゾウとの対立による被害の減少、農業による収入増大、新しい雇用創出などの利益を享受すること、また、民間企業、特に上述の2産業が、持続的な資源利用を達成することも目標としている。
森林の荒廃
70年代以降、製材・合板産業の需要供給のため、商業価値の高い大径木を標的にした不適切な択伐が続いた結果、スマトラ島の多くの森林が荒廃してしまった。これに対応し、インドネシア政府は、荒廃した森林を植林へ転換する政策を1985年に導入し、植林用コンセッションの貸与は1990年代に激増した。多くのNGOらは、関連企業が森林転換用のライセンスを手に入れるよう、伐採企業が故意に森林を過剰伐採し、荒廃させるケースがあるのではないかと推測している。
国内法に拠れば、森林を植林へ転換するためのライセンスは、荒廃した森林にのみ与えられることになっている。しかし、ギアム・シアク・ケチル内のコンセッションの例の様に、実際はライセンスの多くが、保護価値の高い森林を含む土地に与えられている。
しかし、ここで気をつけるべきは、全ての択伐事業が、森林が森林として機能できなくなるほどの荒廃を引き起こす訳ではなく、従って、択伐をうけた森林も、その全てが植林へ転換されるべきではないということである。2001年にWWFが委託した調査によれば、スマトラ島で択伐を受け続ける森林(テッソ・ニロ森林)が、それでもなお非常に高い多様性を有することが判っている。この調査によれば、テッソ・ニロ森林が、世界中でこれまでに科学的に記録された中で、最も多様性の高い維管束植物種(200m2プロット内に218種が存在した)を有する森林の一つであることがわかったのである。幸いにも、2001年にインドネシア政府は、林業政策の焦点を、資源搾取と土地転換から、森林の修復と保護へシフトさせた。この政策の実施の1つとして、政府は森林転換の新しい許可貸与を停止した。
インドネシアではすでに大型の木材は稀少になり、原料供給が確保できない合板工場の多くが閉鎖しており、合板の時代は終わったと信じる林業オブザーバーもいる。リアウ州でも、テッソ・ニロ森林や、ギアム・シアク・ケチルのうち国が設置する保護区ではない部分など、正式に保護されていない森林では、合板・製材工場が必要とする商業価値の高い樹種の大型のものは、これまでにその殆ど全てが伐採されてしまった。現在、これらの森林では、小規模な違法伐採が蔓延しており、パルプ工場の高い木材需要を満たす目的の伐採も多い。これらのパルプ用木材の違法伐採は、樹種やサイズを選ばず過剰な伐採を行い、樹冠に大きなギャップを開けるため森林生態系に与える影響は深刻で、時には古い伐採道に沿って100メートル以内の木が全て伐採されることさえある。現在の弱い法施行では違法伐採をコントロールできないことを考えると、これらの森林は、短期間のうちに転換用ライセンスが貸与され得る程度まで荒廃してしまうだろう。
紙パルプ産業
1988年から2002年の間に、パルプ年間生産量は60万トンから590万トンへ成長、紙生産量は120万トンから830万トンへ成長した。2002年のパルプ生産量は、2800万m3の木材需要に相当する。数十億米ドルもの価値を有する同産業は、十万人以上もの雇用を生み出し、インドネシア林産業セクターの主要な経済的牽引役の一つとなった。
紙パルプ産業の急速な成長の大部分は、スマトラ島で実現された。APPは、リアウ州とジャンビ州にパルプ工場を所有し、パルプ生産量は年間合計約250万トン(国内生産量合計の約40%)、紙生産量は合計年間375万トンで、インドネシア最大の紙パルプ生産者である。APP製品の主な市場は海外市場で、約250万トンの紙製品が輸出され、これは25億米ドルに相当する。
APPがスマトラ島に持つ2工場、インダ・キアット社及びロンタル・パピルス社では、パルプ生産のため、合計約1200万m3の木材を毎年必要とし、この木材供給を植林材のみで賄うためには、合計で47万3千ヘクタールもの植林を設置する必要がある。このためにAPPは、WWFのスマトラ島の森林と野生生物の保護を目指すキャンペーンの主要な協議対象の一つとなっているのである。
APPのパルプ工場は、SMG所有、またはジョイント・ベンチャー所有のコンセッション内の自然林の皆伐や、その他の自然林の第三者による皆伐によって得られる混交熱帯広葉樹(MTH)の供給を受けてきた。自然保護団体は、これらの自然林が保護価値の高い森林を含むのではないかと懸念している。更にもう1つの懸念は、APP工場が木材供給の中に混入している違法材を確認・除外するための確固たるシステムを有さないことである。NGOらによる調査では、APP工場に違法材が搬入されるのが何度も確認されている。
APPは、今後、合計約20万ヘクタールのアカシア植林を様々な形で入手し(自らの植林の他、ジョイント・ベンチャーや、コミュニティーによる植林など)、2007年以降、アカシア植林からの植林材で木材需要の100%を供給することを計画している。現在、インダ・キアット工場の木材供給の約3分の1がアカシア材である。NGOからの批判に応え、APPは現在、独立のコンサルタント会社(AMEC)に委託して木材供給の持続性に関する調査を行っている。同調査は2003年末に終了することが期待され、APPが持続的木材供給を達成するための勧告も行われる予定である。
WWFのポジション
WWFは、この2-3年の間に地元民間企業との対話に力を入れてきた。WWFは、企業は、インドネシアの森林保護を助ける利害関係者のうちでも、その経済的・政治的パワー、その活動の意義と、他への影響力のため、大変重要な役割を持っていると考え、林業セクターに対し、以下の改善を要求している。
WWFの要求
- 保護価値の高い森林(HCVF)の転換中止
- 地元コミュニティーの権利尊重
- 適切な森林管理(可能な限り認証を受ける)
- 実現可能な持続的木材供給計画
- 独立・透明なモニタリング
WWFは、紙パルプ生産企業に対し、コンセッション内の森林を皆伐・植林へ転換する前に森林の保護価値を調査することを要求している。森林の保護価値は、稀少・絶滅危惧種の生息地であるなど、環境的、生態的な価値のほか、地元コミュニティーにとっての社会経済的価値も含まれる(下表を参照)。パルプ工場が違法、非持続的な伐採による木材の供給を受け入れないよう、WWFは紙パルプ産業に対して、木材の供給源を確認(追跡記録)する確固たるCoCシステム(生産・流通・加工過程の追跡システム)を導入することも要求している。WWFは、これらの改善達成までに時間がかかることは認めるが、まずは目標達成までの明確な行動計画作成が不可欠だと考える。
| HCV1 | 世界的、地域的、国内的に重要な、生物多様性価値(固有種、絶滅危惧種、退避地など)の集中する森林地域。 |
|---|---|
| HCV2 | 世界的、地域的、国内的に重要な、自然な状態で存在するべき種の全て、またはその多くが存続可能な個体群として自然な分布・個体数で存在する、管理区画内に含まれるかまたは管理区画を含む広大な景観レベルの森林を含む森林地域。 |
| HCV3 | 稀少な、または絶滅の危機に瀕する、または絶滅寸前の生態系の中にあるか、またはそれを含む森林地域。 |
| HCV4 | 危機的な状況において自然の基本的なサービスを提供する森林地域(水源の保護、土壌侵食制御など)。 |
| HCV5 | 地元コミュニティーの基本的要求を満たす為に欠かせない森林地域(生存、健康など)。 |
| HCV6 | 地元コミュニティーの伝統的文化アイデンティティーにとって重要な森林地域(これらの地元コミュニティーとの協力のもとに確認される文化的、生態的、経済的、または宗教的重要性)。 |
WWFインドネシアが地元民間企業との交渉を円滑に進めるため、WWFジャパン、WWFドイツ、WWFアメリカはこれらインドネシア企業の各国の顧客・投資企業との協議を進めてきた。しかし、WWFの究極の目標は、これら各国の企業の購入規定や投資審査規定を改善することである。これまでにWWFジャパン、WWFドイツ、WWFアメリカは、APP等、インドネシア林業セクター企業から製品購入、またはこれらの企業に投資を行う各国企業と建設的な関係を築いてきた。これらの企業はWWFの要求を支持しており、同意書締結までの交渉期間中、今回同意書に盛り込まれたような、改善に必要な措置を取ることに合意するようSMG/APPに促してきた。
(WWFインドネシアとAPPの共同プレスリリース)
WWFとAPP、環境保全と森林管理に関する同意書に調印
2003年8月19日ジャカルタ発 本日、WWFインドネシアと、アジアパルプアンドペーパー(APP)およびその木材パルプ原料サプライヤーであるシナルマス・グループ(SMG)は、スマトラ島リアウ州とジャンビ州に遺された自然(APP訳は「自然遺産」)の保護に共同で取り組むことに合意し、同意書に調印した。
今回の合意は、インドネシアの紙パルプ産業とその利害関係者が、自国の自然資源を管理・保全するために協力するという点において、重要な転換を象徴するものである。
この合意のもとに、APPとSMGは、森林資源の持続性、保護価値の高い森林の保護、木材調達の合法性、そして地域コミュニティーとの土地紛争の解決について、多年度の行動計画を用意することになる。
いくつかの率先的活動のなかで、この合意は、スマトラ島の景観の生命豊かな部分を保護する一連の森林保護協定を確立するものである。今回、永久および一時的モラトリアム(伐採中止)となる地域は、ブキ・バツ(Bukit Batu)およびギアム・シアク・ケチル(Giam Siak Kecial)の2つの既存の保護地域をつなげるもので、16万5,000ヘクタール(シンガポールの面責の2倍強)に及ぶ保護地域ができあがることになる。SMGは今や、リアウ州のこの地域にある、政府から割り当てられたコンセッション(伐採権区域)の50%近くを、保護のために確保することになった。
WWF、APP、SMGはまた、地域コミュニティ、NGO、そして政府と協議しながら、この地域の管理計画を進めていくことに合意した。
WWFインドネシア事務局長のムバリク・アーマドは「WWFインドネシアは、APPとSMGのコミットメントを喜ばしく思っており、今後6ヶ月間、その実施に協力していく用意がある。これは、APPとSMGが、この地域において、自然環境の持続性と社会的責任を果たすための努力を継続させる上で、重要なステップである」と述べた。
調印の場において、APPとSMGの両代表は、インドネシアの民間企業と非政府組織の利害関係者の間で、協力関係を発展させていくに際し、主導的役割を果たせることに満足の意を表していた。
APPインドネシアのCEO代理であるマイケル・ブラック氏は「この合意に見られるとおり、APPは広範囲な利害関係者と共に活動していくつもりである。我々は、今日の進歩的な紙パルプ企業は、社会のためにも環境のためにもなるように努めていくものと認識している」と述べた。
WWF、APP、SMGは、また、SMGの植林用のコンセッション内で地域コミュニティが主張する森林の慣習的権利に関する紛争の解決に率先的に取り組むことにも合意した。
SMGを代表者してムクタル・ウィジャヤ氏は、「SMGの林業関連グループは環境保全の厳格な規則に従っていく。これには、我々ののコンセッションのかなりの地域を自然保護とコミュニティのために残すことも含まれているが、我々がこれらの地域を管理していくには、より広範なコミュニティの参加が必要なのである」と付け加えたy。
これらの土地管理手法の変更に加え、APPとSMGは共に、APPのインドネシア内のパルプ工場に搬入される木材の合法性を確証できる木材調達システムを発展させていく。これは、LEI(インドネシアのエコラベル)の流通・加工過程の手順に示されている合法的な検証プロセスに基づいて実施される。
本日調印された合意は、WWFインドネシアとSMGの協力関係の第2段階となる。SMGとWWFインドネシアはすでに、リアウ州のアジアゾウの生息地として重要な森林であるテッソ・ニロで、違法伐採者の進入路を封鎖するために共同作業を行ってきた。
ブラック氏は「APPは変わりつつある。我々は、我々の利害関係者の意見が、社内で明確に受け止められるようにするための手段を講じつつある」と続けた。
- ※「SMG」とは、PT. Arara Abadi、PT. Wira Karya Sakti、PT. Satria Perkasa Agung及びその合併企業を含むSMG林業会社グループを指す
添付資料
Asia Pulp and Paper Co. Ltd.とその木材パルプ原料サプライヤー・Sinar Mas Group forestry companies※とWWFインドネシアの2004年2月19日までの期間に関する同意書(Letter of Intent)
- ※「SMG」とは、PT. Arara Abadi、PT. Wira Karya Sakti、PT. Satria Perkasa Agung及びその合併企業を含むSMG林業会社グループを指す
1.保護価値の高い森林の保護について
APPとSMGは、森林の価値を保護するために、アカシア植林に転換する前に、転換予定の森林の保護価値を評価するべきであることに賛同する。
a. APPとSMGの調査の結果、BukitBatu及びGiam Siak Kecil保護地区周辺にあるSMGならびにジョイント・ベンチャー(JV)パートナー所有のコンセッション(伐採権地域)内にある58,500haの泥炭湿地は高い保護価値を有することがわかった。このため、APPとSMGはこの地域を永久保護下におくことに合意する(添付地図参照)。
b. WWFは、APPとSMGが、JV企業、政府、NGOや地域住民と協議し、州林業局の自然保護課(自然資源保護局、KSDA)との協力のもとにこの58,500ha地域の泥炭湿地林の保護価値を維持するための管理計画を作成するよう援助する。
APPとSMGは、SMGの植林内またはその近隣にある保護地域について、野生動物用の回廊や、より大きな境界地域保護などを含め、その自然保護の利益を最大限にするような配置をするべきであることに賛同する。
c. このため、SMGは、Bukit Batu及びGiam Siak Kecil保護地区周辺のSMG所有のコンセッション内にある8,500haの森林を即刻一時モラトリアム(伐採停止)下に置く(添付地図参照)。
d. WWFは、リアウ州に関して、これ以上自然林を皆伐することなく新規の植林を設置することが可能な、代替地としての荒地(waste lands)についての調査を行う。この調査の調査事項(ToR)に関してはSMGの意見を参考にし、調査結果は2003年10月31日までにAPPとSMGに共有されるものとする。
e. SMGは、植林への転換を予定している森林の代替の土地として、アカシアを植林することが可能な非森林地を入手する際、上述の調査結果を利用することができる。このプロセスの結果、SMGにとって入手可能かつ許容可能な代替地があった場合には、SMGは1cで触れたモラトリアム地域のうち、同じ広さ、最高8,500haまでの森林を直ちに永久保護下に置く。
2.法の遵守と木材調達について
APPとSMGは、森林、植林、紙パルプ産業に関する国内法を遵守し、合法な伐採や運搬によらない木材を漏れなく発見・拒否する木材調達システムを導入することに合意する。
a. APPとSMGは、現在APPが持つCoCシステムがAPP工場に供給される全木材の適法性を確保できるものか否か評価するため独立監査を委託する。同監査の調査事項(ToR)は、LEI のChain of Custody proceduresに概要が示されている適法性検証プロセスに基づくものとする。WWFは、ToR作成、並びに監査機関の選択に参加し、監査中、独立オブザーバーとして監査機関に同行する権限を持つものとする。
b. 監査結果とAPPの実施ステップは今年11月30日までにWWFと共有されるものとする。WWFは、実施ステップの計画に助言できる。
c. 監査結果と実施ステップは、「第4項:長期的持続性について」で述べるアクションプラン(行動計画)に組み込まれるものとする。
d. APPとSMGは、監査結果と実施ステップの発表6ヵ月後に、独立監査に委託して法の遵守と木材調達システムに関する進捗状況の評価を行う。この監査結果もWWFに提供されるものとする。
3.コミュニティーとの紛争解決
SMGは、地域コミュニティーとの土地争いについて、許可の重複など法的根拠があるものや、慣習法に基づくものについて、これらを解決することに合意する。
a. SMGは、そのコンセッション内で、コミュニティーが法的または慣習法に基づく正当な土地所有の権利を主張する場所では、これらの主張が解決されるまで森林のアカシア植林への転換を行わないことを約束する。
b. SMGは最近、コミュニティー・フォレスター専門家を雇用した。このスタッフは、SMG Forestry Divisionやその他の利害関係者の土地権利主張問題解決をサポートする予定である。
c. 法的、慣習的に正当な土地権利の主張が存在しない場合には、APPとSMGはコンセッションへの侵略の解決のため、適当な政府機関と働くものとする。
d. APPとSMGは、該当のコミュニティーが容認する第三者専門家が土地争いの解決を援助することに賛同する。
e. APPとSMGは、影響下にあるコミュニティーや関連NGOからのインプットをもとに、SMGとコミュニティーの間にある土地所有権を巡る争いを解決するための計画を作成する。この計画は、「第4項:長期的持続性について」で述べるアクションプランに組み込まれるものとする。
4.長期的持続性について
APPは、上記の全ての内容、及びAMECの12年間持続的木材供給調査によってカバーされる内容に関するアクションプランを作成、WWFと共有することに合意する。
a. APPとSMGは、2004年1月31日までに、AMECの12年間持続的木材供給調査、及びその他の調査(例えば、上述のWWFによる荒地調査、法の遵守と木材調達に関する独立監査など)に基づいて作成する2004年以降のアクションプランをWWFに提供する
b. このアクションプランは、APPとSMG及び/又はそのJVパートナーがリアウ州およびジャンビ州内に所有するコンセッション内にある保護価値の高い森林を保護するため持続的木材供給を達成し;違法又は合法性が疑われる木材を発見・拒否して完全な法遵守を確保し;地元コミュニティーとの間にある正当な社会紛争を解決するためにAPPが実施するべき期日付きの詳細な行動計画を含む。
c. アクションプランを作成するプロセスの一環として、ステークホルダー・レビュー・グループ(利害関係者による検討グループ)との協議が定期的に開催され、AMEC調査の結果がまとまり次第、順次これらを検討するものとする。
d. APPは、AMEC社がAPPに提出する持続的木材供給に関する最終報告書を、速やかにWWFに提供する。
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