WWFについて

WWFの歴史

WWFの歴史

(4)世界環境保全戦略

従来の野生生物保護に注力しながらも、WWFが「地球環境」という視野を活動の基礎として明確に定めたのは、1980年のことでした。この年、発足から20年目を迎えたWWFは、IUCN、UNEP(国連環境計画)とともに「世界環境保全戦略」を策定しました。

地球環境の保全をめざして

設立の当初、野生動物の保護に主体的に取り組んできたWWFは、活動の規模と範囲が広がるにつれ、生物の生息環境の重要性に注目するようになってきました。

動物を野生の状態で守り続けるためには、捕獲し繁殖させても意味がありません。やはり、動物たちが本来の姿で生きることが出来る、地球のさまざまな自然環境を守ってゆかねばならないのです。

実際、WWFがその設立に関わった、国立公園または自然保護区は、世界にのべ300カ所以上。絶滅寸前の野生生物種を救う、という活動は、特定の場所の自然環境を守る活動へと広がり、さらに大きな「地球環境」という視点を生み出すことにつながってゆくことになりました。

WWFがこの「地球環境」の保全を、活動の大きなテーマとして明確に定めたのは、1980年のことでした。この年、発足から20 年目を迎えたWWFは、IUCN、UNEP(国連環境計画)とともに「世界環境保全戦略」を策定。世界に地球環境の危機と、その保全の重要性を訴えたのです。

戦略の大きなテーマは、以下の3つでした。

「世界環境保全戦略」の発表© WWF Intl. / WWF-Canon

  1. 生態系と生命維持システムの保全
  2. 種の多様性の保全
  3. 種と生態系の持続可能な利用

新しい目標

この3つの原則が訴える、広い視野で捉えた地球環境の保全と、持続可能な社会の実現、という考え方は、世界中の環境保全活動に、「新しい目標」を示すものでした。

そしてこの呼びかけは、政治の壁や南北の格差を超え、ソビエト連邦のような当時のWWFの活動とは無縁だった国々や、発展途上各国にも強く支持され、以後現在に至るまでの世界の環境保全の基本方針となったのです。

WWFでは1980年以降、この「世界環境保全戦略」を具体化するため、積極的な活動に取り組みました。1982年の熱帯雨林キャンペーン、1985年の ウェットランドキャンペーン、そして1989年から1993年まで展開された「生物の多様性」キャンペーンなどは、その具体的な例といえます。

これらのキャンペーンの実施は、WWFが国際的な活動を展開できる団体に育ってきたこと、そして、多くの国で環境問題に対する関心が芽生え始めたことを物語るものとなりました。

しかし、活発になる活動の一方で、問題もまた深刻化の一途をたどっていました。そして、地球全体を脅かすような問題も起き、注目されるようになったのです。

アマゾンの熱帯林などをはじめとする、発展途上国での急激な自然破壊、ソ連チェルノブイリでの原発事故、そして、アラスカで発生し、多くの野生生物を犠牲にして、太平洋沿岸を長期にわたり汚染した、エクソン・バルディーズ号の座礁による大規模な油流出事故

1980年代は、地球の未来に対する危機感が一般に広がり始めた時代でもありました。

破壊が続くインドネシア、スマトラ島の熱帯林© Jikkie JONKMAN / WWF-Canon

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(5)新しい出発

環境問題が世界的にも注目されるようになってきた1980年代、WWFは名称を「世界自然保護基金(World Wide Fund for Nature)」へ改めました。野生生物の保護から、地球環境の保全へ、その活動と使命が拡大していることを広く知らせるためです。